ホテルの無断キャンセルが増加!損失を防ぐための対策とは

宿泊業界が抱える大きな悩みごとのひとつは「宿泊予約の無断キャンセル」です。無断キャンセルが増加している背景や、無断キャンセルの発生によるホテルの損害、取るべき対応などについて紹介します。

目次

    増えるホテルの無断キャンセルは罪悪感が薄れているから?

    オンライン予約

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    ホテルに宿泊予約を入れたものの、当日になっても来館しない。無断でキャンセルすることに罪悪感をまるで感じない。そんな人が今、増えているそうです。なぜこのような事態になっているのでしょうか。その理由と、ホテルが取るべき対策を解説します。

    インターネットからの予約の普及でホテルの無断キャンセルが増加

    悪びれもせず無断キャンセルをする人が増えた大きな理由として、インターネットからの予約が普及したということがあげられます。

     

    ひと昔前までは、ホテルに予約を入れると言えば、電話を掛けて直接従業員とやりとりする必要がありました。

     

    それがインターネットからの予約が普及し、従業員とひとことも話さずに予約入れられるのが当たり前になりました。とても手軽で便利なものですが、それによって無断キャンセルすることへの罪悪感が薄れているのです。

     

    また、簡単に予約を入れられることから、候補に上がった複数のホテルに予約を入れて、最終的に利用しないことにしたホテルの予約をそのままにしてしまう人も居るのです。

    簡単に着信拒否できることも、ホテルの無断キャンセル増加の一因

    宿泊予約を無断キャンセルすれば、ホテルから確認の電話が掛かってきます。来なかったことに文句を言われたり、キャンセル料を請求されたり。

     

    実に勝手な考えですが、無断キャンセルした側からすればめんどくさくて出たくない電話なのです。

     

    携帯電話やスマートフォンなら、すぐに着信拒否の設定ができてしまいます。ホテルの電話番号を着信拒否してあとは知らんぷりしてしまえばいいという考えで、簡単に無断キャンセルをする人が増えたのです。

    宿泊を無断キャンセルされた!ホテルが受ける損害は?

    損害

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    予約のお客様が当日になっても来館しないことを、宿泊業界では「ノーショウ」と言います。ノーショウが発生すると、ホテルはどのような損害を被るのでしょうか。

     

    まずは客室が無駄になることです。キャンセルの連絡が事前にあれば、他のお客様を入れることができますが、来るか来ないか分からない状況ではそうも行きません。こうして客室ひとつ分の利益を失うのです。

     

    また、食事付きのプランでノーショウになれば、食材も無駄になります。その損失を補うため、多くのホテルではキャンセル料の規定を設けいます。

    ホテルでキャンセル料金の規定を設けましょう

    そろばん

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    前の項目で、多くのホテルではキャンセル料の規定を設けていると説明しました。

     

    キャンセル料は規定を設けなくても、キャンセルになったことによる損害を証明できれば請求は可能ですが、はっきり金額を証明するのは難しいので、予め規定を作っておきましょう。規定は宿泊約款やホテルのホームページ、予約ページに明記します。

     

    予約ページでは予約の確定ボタンを押す際、キャンセル料についての同意確認を入れて「同意する」を選択しなければ確定できないようにすると良いです。そうすることにより「キャンセル料の説明なんて無かった!」という主張を退けることができます。

    キャンセルの連絡をもらうタイミングで割合を設定

    キャンセル料の値段の設定はどの程度が適切でしょうか。「こうしなければならない」という決まりはありませんが、キャンセルの連絡が遅くなるほど高額に設定することが一般的です。

     

    例えば2日前に連絡をくれれば本来の宿泊料金の50%、当日キャンセルや無断キャンセルの場合は100%というようにします。

     

    こうすることで、なるべく早い段階でのキャンセル連絡を促す効果があります。

    やむを得ない無断キャンセルの場合、ホテルはキャンセル料を請求できる?

    無断キャンセルは無断キャンセルでも、お客様側にやむを得ない事情があるケースもあります。向かっている途中に交通事故に遭ったり、急病や身内の不幸でキャンセル連絡などしている場合ではないという時です。そんなケースでも、キャンセル料金は請求して良いのでしょうか。

     

    結論から言うと、事情はどうあれキャンセル料の規定を設けているのであれば、請求はして良いです。しかし、お客様の心情を顧みて請求しない、診断書や葬儀の案内などの提示をお願いし、事実の確認ができれば請求しないというホテルもあります。

     

    請求する権利はありますが、実際にするかどうかはホテルの裁量次第というわけですね。

    ホテルは請求したキャンセル料を回収できる?

    多くのホテルではキャンセル料を規定し、宿泊約款などにきちんと掲示しています。

     

    しかし、平気で無断キャンセルをするような人が、素直にキャンセル料を払うでしょうか。答えはお察しの通り、もちろんNOです。キャンセル料を払ってくれる人は、わずか1割程度なのだそうです。

     

    キャンセル料は、ホテルの損害を補填するためのものです。このような事態が続けば、ホテルの経営が傾きかねない大問題でしょう。次の項目から、できる限りキャンセル料の踏み倒しをさせない適切な対応について説明します。

    無断キャンセルが発生した時、ホテルはどう対応する?

    請求書

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    それでは、無断キャンセルが発生した際、ホテル側はどう対応すればよのでしょうか。できる限り損害を抑えるための適切な対応を解説します。

    まずは電話やメールで連絡

    予約当日のチェックイン時間を過ぎてもお客様が来ない場合は、まずは電話で連絡をしてみましょう。

     

    不慮の事故や急病など、本当にやむを得ない事情で無断キャンセルとなっている可能性も考慮し、「お見えにならないのでスタッフ一同、心配しています」という姿勢で行くと角が立ちません。

     

    メールアドレスが分かる場合は、同様のメールも送りましょう。ただし悪質な無断キャンセルであれば、先述の通り電話もメールも着信拒否にしたり、無視する場合が多いです。

    住所が分かれば請求書を送付 

    電話もメールも応答なしで住所が分かっている場合は、キャンセル料の請求書を郵送するという方法もあります。この方法も、無視されてそれきりというパターンが多いですが、送らないよりは送った方が良いでしょう。

     

    また、内容証明付きで送ると封筒に「内容証明」という赤いスタンプが押されますので、インパクトがあります。無断キャンセルを多少なりとも「後ろめたい」「マズいことをした」と感じていれば、払ってもらえるかもしれません。

     

    また、内容証明付きで送っておけば、最終的に裁判に持ち込むことにした場合、有利な証拠になります。

    悪質な無断キャンセルの場合、ホテルの損害が大きい場合は裁判に持ち込む

    支払いに応じない相手からキャンセル料金を回収したいとなれば、裁判に持ち込む手段もあります。キャンセル料金についての規定をきちんと設けているホテルであれば勝てる可能性が非常に高いと言われています。

     

    裁判を起こすための手間や費用を考えれば、個人を相手取って裁判まで持ち込むことは、あまり現実的ではありません。しかし、あきらかに悪意のあるいたずらだったり、団体旅行の無断キャンセルなどで損害が大きい場合は裁判も検討してみてはいかがでしょうか。

    無断キャンセルにを防ぐにはホテルで対策が必要

    クレジットカード決済

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    上記のような方法でキャンセル料をできる限り回収するよりも、無断キャンセルの発生を防ぐことがベストです。無断キャンセルを防ぐための対策について解説します。

    決済方法をクレジットカード前払いにする

    決済方法をクレジットカードの前払いにすると、無断キャンセルの抑制になります。予約時にカードで決済をすれば、与信枠が確保されます。そのため、お客様はキャンセルするのであれば「連絡をしないと引き落としが掛かってしまう」と考え、きちんと連絡をくれるようになるのです。

     

    また、万が一無断キャンセルになった場合も、与信枠は確保しているので自動的にキャンセル料金を頂戴できるメリットもあります。

    前日までの確認連絡でホテルの無断キャンセルを防ぐ

    無断キャンセルが発生する原因のひとつは「キャンセルするのを忘れていた」ことです。宿泊先候補として複数のホテルに予約を入れてそのまま忘れる人や、用記事ができて行けなくなったがキャンセルするのを忘れる人は少なくありません。特に早期予約をした人は要注意です。

     

    うっかり忘れでの無断キャンセルを防ぐには、予約日の前日までに電話やメールで連絡を入れることが有効です。最近では自動メールシステムで予約者全員に前日までに確認メールを送るホテルが多いです。

    予約金を徴収してホテルの無断キャンセルを防ぐ

    宿泊料金の何割かを予約金として徴収する方法も有効です。キャンセルの場合は「何日前までに連絡をくれれば返金します」とすれば、早い段階でキャンセル連絡をしてくれるはずです。

     

    また、無断キャンセルされた場合は返金しないという規定にすれば、キャンセル料金を丸ごと回収できないよりかは損失を軽減できます。

     

    ただし、予約金の徴収は「お客様を信用していない」ことが分かってしまうやり方です。導入するのであれば慎重に検討してくださいね。

    ホテルのキャンセル料を踏み倒したらどうなるか

    裁判沙汰

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    本来払うべきキャンセル料を払わないと、ホテルは損害を被ります。一方、踏み倒した側にも下記のような不利益が起こります。こうならないためにも責任を持って対応してください。

    そのホテルや系列ホテルを利用できなくなる

    キャンセル料金の支払を踏み倒すという事は、信頼を大きく損なうということです。そんな人に泊まってほしいと思うホテルはありませんよね。

     

    一度でもキャンセル料金を踏み倒すと、今後そのホテルや系列のホテルで宿泊をお断り場合があります。全国展開のホテルチェーンであれば利用できないのは不便です。また、恋人や友人との宿泊を断られて大恥をかく恐れもあるので踏み倒しはやめましょう。

    予約サイトからの予約であれば、サイトを利用できなくなる

    予約サイトを利用して予約したホテルのキャンセル料金を踏み倒すと、「キャンセル料金未払いのためサービスをご利用いただけません」という旨のメッセージが現われ、今後そのサイトを利用できなくなることがあります。

     

    ネット予約ができなくて不便な思いをする上に、貯まっていたポイントも利用できなくなる恐れがあります。

    裁判沙汰になる可能性がある

    訴訟を起こす手間や費用を考えれば可能性は低いですが、裁判沙汰になることも無いとは言い切れません。法律相談のサイトに「ホテルのキャンセル料金を支払わなければ裁判を起こす」と通達が来たがどうすれば良いかという相談も寄せられています。

     

    金額のことよりも、踏み倒しが許せなくて裁判を起こすというケースもありますので、大事にならないうちに支払いに応じた方が賢明です。

    ホテルの無断キャンセル・キャンセル料金にまつわるちょっといい話

    円満解決

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    やむを得ず無断キャンセルやキャンセル料が発生した場合でも、素直に支払いに応じるお客様と、心遣いのできるホテルの間には素敵なエピソードが生まれることがあります。円満に解決した事例をふたつ紹介します。

    団体のランチコースをうっかり無断キャンセル

    あるホテルでは、団体でのランチの予約が無断キャンセルとなってしまいました。予約代表者に電話で確認したところ、別の担当者が手配した店に行くことになり、伝達ミスでキャンセル連絡を入れていなかったということが判明しました。

     

    そこでホテルでは、ただキャンセル料金だけを請求するのではなく、用意した料理や食材を買い取ってもらうことを提案。お客様も納得し、円満に解決したとのことです。食材も無駄にならず、お客様にもホテルにも損のない方法ですね。

    キャンセル料金支払後、ホテルから丁寧な手紙と特産品が届いた

    ある女性はホテルの宿泊予約を入れていましたが、急用ができて予約日の前日にキャンセルの連絡を入れました。

     

    そのホテルでは、前日のキャンセルの場合、宿泊料金の100%をキャンセル料金として徴収する規定だったため、口座振り込みで支払いに応じました。

     

    そしてその支払いをした数日後、ホテルから丁寧なお手紙と地域の特産品が届き、とても感激したそうです。このような心遣いのあるホテルには「次回はぜったいに泊まろう!」という気持ちになれますね。ホテル側もきちんとキャンセル料金の支払いに応じてくれたお客様は大切に扱います。

     

    ホテルは商売なので、請求するべきものは請求しないわけにはいきません。しかし、相手が悪質でない限りは双方が納得できる方法で、とても円満に解決できる可能性があるのです。このふたつの事例を参考にぜひ、お客様の気持ちに寄り添った対応を探ってみてくださいね。

    無断キャンセルによる損害やトラブルを防ぐためにホテルができること

    リスク管理

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    無断キャンセルによってホテルが被る損害は、決して馬鹿にできないものです。また、キャンセル料金の支払いを巡って争いになるなどのトラブルも起こり得ます。

     

    一部のモラルの低い人たちに負けないためには、キャンセル料金の規定を明文化し、クレジットカードの前払いや予約金などを導入するなどの対策が必要不可欠です。

     

    お客様の心情に寄り添った柔軟な対応を心がけながら、しっかりホテルを守っていきましょう。

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