全国のホテルの軒数・客室数(部屋数)の平均は?
厚生労働省が2019年1月に発表した「衛生行政報告例」によると、2018年3月時点の全国のホテル数は10,402軒、総客室数は907,500部屋ということが明らかになっています。
国内の総宿泊施設数82,150軒から見ればホテルの割合はそう多くないものの、旅館数は過去10年間で24%減少していることに対し、ホテルは8.3%増えていることからもわかる通り、堅実に軒数を伸ばしています。
ホテルの増加に伴い客室数(部屋数)も増え続けていますが、自ホテルの客室数が平均以下なのか、平均以上なのかがわからないというホテル関係者も多いでしょう。
全国のホテルの軒数・客室数を都道府県単位にまとめましたので、ぜひ自ホテル状況を把握すため、またホテル新規開業のための参考にしてみてはいかがでしょうか。他県の状況と見比べてみるのも、面白いかもしれません。
参照:観光や宿泊業を取り巻く現状及び課題等について / 観光庁
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都道府県別のホテル軒数・客室数(部屋数)!
2017年度の衛生行政報告例のデータを基に、全国のホテル軒数と客室数をまとめました。早速、全国ランキングのトップ5・ワースト5、各ブロックごと・都道府県別のホテル軒数・客室数をみていきましょう。
全国ランキング:トップ5・ワースト5
- 【ホテルの軒数】(トップ5/ワースト5)
- 1.東京 :718軒 / 徳島:45軒
- 2.北海道:702軒 / 佐賀:58軒
- 3.長野 :509軒 / 鳥取:60軒
- 4.大阪 :498軒 / 奈良:66軒
- 5.兵庫 :434軒 / 島根:68軒
- 【ホテルの部屋数】(トップ5/ワースト5)
- 1.東京 :110,600部屋 / 徳島:3,200部屋
- 2.大阪 :71,200部屋 / 奈良:4,400部屋
- 3.北海道:66,800部屋 / 鳥取:4,500部屋
- 4.福岡 :42,500部屋 / 佐賀:4,700部屋
- 5.沖縄 :35,800部屋 / 島根:4,900部屋
ランキングからもわかる通り、ホテル軒数と部屋数は必ずしも比例しているという訳ではないようです。軒数上位は観光客が多いエリア、部屋数の上位は観光に加え、出張者が多いということも関係しているのではないでしょうか。
北海道・東北地方
- ・北海道:702/66,800(軒数/部屋)
- ・青森 :140/11,700
- ・岩手 :175/12,300
- ・宮城 :268/23,200
- ・秋田 :91/7,800
- ・山形 :133/8,300
- ・福島 :264/18,100
札幌・仙台の主要都市を含む北海道と宮城県は、ホテルの軒数ならびに部屋数が多い結果となりました。福島の数値が大きいのは、温泉・スキーなどのレジャー施設が多いことや、観光エリアが浜通り・中通り・会津若松と分かれていることが背景にあると考えられます。
関東地方
- ・茨城 :293/15,700(軒数/部屋)
- ・栃木 :168/11,500
- ・群馬 :227/12,600
- ・埼玉 :374/17,700
- ・千葉 :190/33,700
- ・東京 :718/110,600
- ・神奈川:338/32,600
首都東京を中心とした1都3県のホテルの部屋数が多いのは頷けますが、千葉のホテル軒数の少なさには驚きです。成田空港や某有名テーマパークを有していることから、収容人数を意識したホテルが多いのかもしれませんね。
中部地方
- ・新潟:294/20,300(軒数/部屋)
- ・富山:99/8,800
- ・石川:134/12,300
- ・福井:76/5,200
- ・山梨:128/8,400
- ・長野:509/27,000
- ・岐阜:210/11,900
- ・静岡:380/29,800
- ・愛知:301/28,800
中部地方のホテル軒数・部屋数は、比較的人口や土地面積に比例しているという印象です。
近畿地方
- ・三重 :99/9,500(軒数/部屋)
- ・滋賀 :132/9,100
- ・京都 :269/27,000
- ・大阪 :498/71,200
- ・兵庫 :434/29,600
- ・奈良 :66/4,400
- ・和歌山:103/5,900
ホテルの軒数では、大阪・兵庫が群を抜いて多い結果となっています。京都・和歌山は、ホテルよりも圧倒的に旅館数が多いようです。
中国・四国地方
- ・鳥取:60/4,500(軒数/部屋)
- ・島根:68/4,900
- ・岡山:167/12,500
- ・広島:190/18,600
- ・山口:90/7,200
- ・徳島:45/3,200
- ・香川:132/8,000
- ・愛媛:170/10,800
- ・高知:88/6,200
中国地方は関西からのアクセスが良い岡山と、8大主要都市である広島がホテル軒数・部屋数ともに多い結果となっています。四国地方では愛媛が最も多く、広島・山口・福岡と地続きという好アクセスがホテル増の鍵になっていると読み解くことができます。
九州・沖縄地方
- ・福岡 :418/42,500(軒数/部屋)
- ・佐賀 :58/4,700
- ・長崎 :84/8,100
- ・熊本 :133/9,600
- ・大分 :175/13,000
- ・宮崎 :139/11,300
- ・鹿児島:176/14,900
- ・沖縄 :396/35,800
福岡・沖縄にホテルが多いのは言わずもがなでしょう。大分は温泉、鹿児島は奄美大島や屋久島などの観光資源がホテル軒数・客数に影響しているはずです。
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都道府県別のホテルの平均客室数(部屋数)は?
全国のホテルの軒数・客室数に続き、1施設あたりの平均客室数をご紹介します。貴ホテルの部屋数は平均とどれほど差があるのかを、ぜひチェックしてみてくださいね。なお、小数点第2以下は四捨五入をし表記しています。
全国ランキング:トップ5・ワースト5
- 【ホテルの平均客室数】(トップ5/ワースト5)
- 1.千葉:177.4部屋 / 埼玉:47.3部屋
- 2.東京:154.0部屋 / 長野:53.0部屋
- 3.大阪:143.0部屋 / 茨城:53.6部屋
- 4.福岡:101.7部屋 / 群馬:55.5部屋
- 5.京都:100.4部屋 / 岐阜:56.7部屋
前項でご紹介したホテルの部屋数のみで言えば、上から東京・大阪・北海道・福岡・沖縄と続いたものの、平均客室数では異なる結果となりました。ただし、ある程度予測が立つような観光資源のある都道府県が上位に食い込んでいます。
一方、徳島・奈良・鳥取・佐賀・島根と続いた客室数・下位5都道府県は、総入れ替えとなりました。ホテルの軒数・客室数・都道府県別の平均客室数が全く異なるのは、面白い結果ですよね。
なお、全国の平均客室数は1施設あたり「87.3」となっています。貴ホテルは全国平均と比べ、どんな結果だったでしょうか。次項からは、全都道府県の平均客室数を列挙した後に、総評をご紹介します。
北海道・東北地方
- ・北海道:95.2(部屋)
- ・青森 :86.3
- ・岩手 :70.3
- ・宮城 :86.6
- ・秋田 :85.7
- ・山形 :62.4
- ・福島 :68.6
北海道・東北地方の平均客室数は「78.9部屋」となっています。
関東地方
- ・茨城 :53.6(部屋)
- ・栃木 :68.5
- ・群馬 :55.5
- ・埼玉 :47.3
- ・千葉 :177.4
- ・東京 :154.0
- ・神奈川:96.4
関東地方の平均客室数は「93.2部屋」となっています。
中部地方
- ・新潟:69.0(部屋)
- ・富山:88.9
- ・石川:91.8
- ・福井:68.4
- ・山梨:65.6
- ・長野:53.0
- ・岐阜:56.7
- ・静岡:78.4
- ・愛知:95.7
中部地方の平均客室数は「74.2部屋」となっています。
近畿地方
- ・三重 :96.0(部屋)
- ・滋賀 :68.9
- ・京都 :100.4
- ・大阪 :143.0
- ・兵庫 :68.2
- ・奈良 :66.7
- ・和歌山:57.3
近畿地方の平均客室数は「85.8部屋」となっています。
中国・四国地方
- ・鳥取:75.0(部屋)
- ・島根:72.1
- ・岡山:74.9
- ・広島:97.9
- ・山口:80.0
- ・徳島:71.1
- ・香川:60.6
- ・愛媛:63.5
- ・高知:70.5
中国・四国地方の平均客室数は「73.9部屋」となっています。
九州・沖縄地方
- ・福岡 :101.7(部屋)
- ・佐賀 :81.0
- ・長崎 :96.4
- ・熊本 :72.2
- ・大分 :74.3
- ・宮崎 :81.3
- ・鹿児島:84.7
- ・沖縄 :90.4
九州・沖縄地方の平均客室数は「85.2部屋」となっています。
6ブロックでは、上から順に「関東」「近畿」「九州・沖縄」「北海道・東北」「中部」「中国・四国」という並びとなりました。関東・関西をはじめ、人気の観光エリアは平均客室数も多い傾向にあるということがわかります。
現存のホテルではそう簡単に客室数を増やすことはできませんが、自ホテルの立ち位置を知ることは大切です。ぜひ今後の経営のヒントにしてみてくださいね。今後ホテルの開業を検討している方も、ぜひ参考にしてみてください。
今後ホテルの軒数・平均部屋数は増えていくのか?
2020年に予定していたオリンピック需要を見越し、ホテルの新設が相次いだことが記憶に新しいという方も多いはずです。しかし、軒数・平均客室数で見ればそう大きく変化するという予測は立てられていません。
国内の観光需要は飽和しています。そのため、今後ホテル新設の鍵となるのは訪日外国人観光客というのは言うまでもないでしょう。引き続き、外国人観光客は増加の見通しがあるため、ホテルの軒数自体はある程度増えていくと考えられています。
しかし、単身で訪れる外国人観光客が2割程度に留まることをきっかけに、大都市圏ではシングルを減らしてダブル・ツインを増やす、というような客室構成へシフトしているホテルも増加傾向にあるようです。
加えて、国内外問わず客室数が少ないコンセプトホテルのニーズも高まりつつあるため、平均客室数で見れば今後減少していくと捉えることもできます。ホテルの新設を検討している方は、ぜひ時流に敏感になり、先を見据えたホテル設計を行うようにしましょう。
ホテルは客室・部屋数に適した人員を確保すべき!
ホテルの客室数を中心に話を進めてきましたが、ホテルの良し悪しを部屋数だけで判断するお客様は少ないでしょう。つまるところ、ホテル経営はターゲット設定・コンセプト設計・集客・顧客満足度を軸とした稼働率が重要となるのです。
お客様に「行ってみたい!」と思わせ、「また来たい!」と感じさせる土台となるのはそこで働く従業員です。集客に優れているスタッフや、手厚いサービスを提供できるスタッフが多いだけ、お客様から求められることも多いはずです。
よってホテルは、客室数・稼働率にあわせ1人でも多くの優秀なスタッフを配置を意識しましょう。そうすればきっと、目指すべき経営が叶うはずです。
「優秀なスタッフを集めたい!」と考えるホテルは、当サイト「おもてなしHR」をぜひ頼ってください。貴ホテルにぴったりの人材をご紹介いたします。相談料は無料ですので、お気軽にお問い合わせくださいね。