キャリアアップ助成金とは?7つのコースの概要と受給の条件・申請時の注意ポイントを解説!

7つのコースで構成されたキャリアアップ助成金は非正規労働者の正社員化を進めたり、労働格差をなくすたに始まったものです。それぞれのコースの概要や、助成金を受け取るための条件や金額、申請に関する注意事項について解説します。この記事でキャリアアップ助成金のあらましを理解し、有効に活用しましょう。

キャリアアップ助成金を活用して公平な雇用を推進しよう!

キャリアアップ

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契約社員などの非正規雇用者を正社員や無期雇用へ転換したり、非正規雇用者の労働環境を整えるための取り組みを行うことによって、国からキャリアアップ助成金を受け取ることができます。

返済不要な資金調達法として上手に活用している企業もありますが、キャリアアップ助成金を受給するにはどのような条件があるのでしょうか。

種類別の受給条件や、申請の際に注意するべきポイントを解説します。

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キャリアップ助成金の種類を把握しよう

キャリアアップ助成金とは、正社員になることを望んでいてもなれない非正規労働者をサポートしたり、働き方改革や同一労働・同一賃金を推進するために設けられた助成金です。

キャリアップ助成金には、以下の7つのコースがあります。それぞれの受給条件や、金額を見ていきましょう。

なお、各コースで増額となる「生産性の向上が認められる場合」につきましては、以下の条件で適用となります。

助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が、

・その3年度前に比べて6%以上伸びていること または、

・その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること(※)

※ この場合、金融機関から一定の「事業性評価」を得ていること

「事業性評価」とは、都道府県労働局が、助成金を申請する事業所の承諾を得た上で、事業の見立て(市場での成長性、競争優位性、事業特性および経営資源・強み等)を与信取引等のある金融機関に照会させていただき、その回答を参考にして、割増支給の判断を行うものです。

なお、「与信取引」とは、金融機関から借入を受けている場合の他に、借入残高がなくとも、借入限度額(借入の際の設定上限金額)が設定されている場合等も該当します。キャリアアップ助成金においては、取組実施日が平成29年5月1日以降の場合に限ります。

出典:キャリアアップ助成金のご案内9ページ目

正社員化コース

正社員化コースは、有期雇用労働者などを正規雇用労働者などに転換、または直接雇用した場合に助成金が受けられるコースです。

受給できる額は以下の通りです。これらに加え、派遣社員を派遣先で正規雇用にする、35歳未満の非正規雇用者を正規雇用にするなど、条件を満たせばプラスされる助成金もあります。詳細については、厚生労働省の案内をご確認ください。

【有期雇用から正規雇用へ転換】

  • 中小企業の場合…1人当たり57万。生産性の向上が認められる場合は72万円
  • 中小企業以外の場合…1人当たり42万7500円。生産性の向上が認められる場合は27万円

【優位雇用から無期雇用へ転換】

  • 中小企業の場合…1人当たり28万5000円。生産性の向上が認められる場合は36万円
  • 中小企業以外の場合…1人当たり21万3750円。生産性の向上が認めらえる場合は27万円

【無期雇用から正規雇用へ転換】

  • 中小企業の場合…1人当たり28万5000円。生産性の向上が認められる場合は36万円
  • 中小企業以外の場合…1人当たり21万3750円。生産性の向上が認められる場合は27万円

賃金規定等改定コース

賃金規定等改定コースは、有期雇用労働者などの基本給の賃金規定などを増額改定し、昇給した場合に受けられる助成です。金額については対象となる労働者の人数や、昇給額の割合に応じて異なります。

例として、中小企業で7人から10人の有期労働者などの賃金規定を2%以上増額改定し、昇給した場合には1事業者あたり28万5000円、生産性の向上が認められる場合は36万円の助成金が支給されます。

また、中小企業において3%以上5%未満の増額改定の場合は助成額が加算されるなどの細かな規定が設けられています。こちらについても詳細は厚生労働省の資料をご確認ください。

健康診断制度コース

健康診断制度コースは、有期雇用労働者などを対象に、法定外の健康診断制度を新たに規定し、延べ4人以上に実施した場合に助成金を受け取ることができます。なお、1事業所につき1回のみの助成とされています。

金額は、以下の通りです。

  • 中小企業の場合…1事業所当たり38万円。生産性の向上が認められる場合は28万5000円
  • 中小企業以外の場合…1事業所当たり28万5000円。生産性の向上が認められる場合は36万円

賃金規定等共通化コース

賃金規定等共通化コースは、同一労働・同一賃金の推進に活用したいコースです。

有期雇用労働者などであっても、正規雇用者と同等の職務を行った場合は、同等の賃金を支払うといった規定などを新たに作成し、適用した場合に受給できます。

金額は以下の通りです。

  • 中小企業の場合…1事業所当たり57万円。生産性の向上が認められる場合は72万円
  • 中小企業以外の場合…1事業所当たり42万7500円。生産性の向上が認められる場合は54万円

また、共通化した対象労働者2人目以降から、上限20人まで以下の通り助成額の加算が受けられます。

  • 中小企業の場合…1人当たり20000円。生産性の向上が認められる場合は24000円
  • 中小企業以外の場合…1人当たり15000円。生産性の向上が認められる場合は18000円

諸手当制度共通化コース

有期雇用労働者などの福利厚生を充実させるなら、諸手当制度共通化コースを活用しましょう。こちらは、有期雇用労働者等に対して、正規雇用労働者と同じ諸手当の制度を新たに設け、適用した場合に助成金が受けられるコースです。

金額は以下の通りです。

  • 中小企業の場合…1事業所あたり38万円。生産性の向上が認められる場合は48万円
  • 中小企業以外の場合…1事業所あたり28万5000円。生産性の向上が認められる場合は36万円

また、2人目以降の対象労働者については、上限を20人までとして、以下の通り助成額の加算があります。この加算の対象となる手当は、対象労働者が最も多い手当1つのみです。

  • 中小企業の場合…対象労働者1人当たり15000円。生産性の向上が認められる場合は18000円
  • 中小企業以外の場合…対象労働者1人当たり12000円。生産性の向上が認められる場合は14000円

そしてもうひとつ、同時に共通化した諸手当がある場合は2つ目以降から上限を10手当までとして以下の金額も加算されます。

  • 中小企業の場合…諸手当1つあたり16万円。生産性の向上が認められる場合は19万2000円
  • 中小企業以外の場合…諸手当1つあたり12万円。生産性の向上が認められる場合は14万4000円

選択的適用拡大導入時処遇改善コース

選択的適用拡大導入時処遇改善コースは、の背景には、「社会保険の適用拡大措置」の導入があります。

この措置は2016年10月に、それまで社会保険に加入する資格がないとされていたパートタイムなどの労働者についても条件を満たせば、資格を得ることができるというものです。

ただし、条件を満たしていても加入は義務ではなく、労使の間で合意があれば可能ということです。

選択的適用拡大導入時処遇改善コースの助成金を受けるには、まず有期雇用労働者などの働き方の意向を把握し、保険の適用や働き方の見直しに反映させるための取り組みを行います。

その上で、社会保険の適用拡大措置によって、有期雇用労働者などを新たに被保険者とした場合に、以下の金額が支給されます。

  • 中小企業の場合…1事業所あたり19万円。生産性の向上が認められる場合は24万円
  • 中小企業以外の場合…1事業所当たり14万2500円。生産性の向上が認められる場合は18万円

また、新たに社会保険に加入した有期労働者などの基本給を、一定の割合以上で増額した場合は、割合に応じて助成金の加算があります。

こちらも詳細は厚生労働省の資料でご確認ください。

短時間労働者労働時間延長コース

短時間労働者労働時間延長コースは、短時間労働者の週の所定労働時間を延長するとともに、処遇の改善を図り新たに社会保険の被保険者とした場合に助成金を受けられるコースです。

令和3年の3月31日までの間、支給額が増額されており、2020年10月現在では以下の通りです。

  • 中小企業の場合…1人当たり22万5000円。生産性の向上が認められる場合は28万4000円
  • 中小企業以下の場合…1人当たり16万9000円。生産性の向上が認められる場合は21万3000円

また、社会保険への加入に伴って労働者の手取り収入が少なくならないよう、週の労働時間を延長するとともに基本給を昇給した場合にも、助成金が支給されます。

週の労働時間をどの程度延長するかによって額が変わりますが、例としては以下の通りです。

  • 中小企業で週に1時間以上2時間未満、労働時間を延長した場合…1人あたり45000円。生産性の向上が認められる場合は57000円
  • 中小企業以外で週に1時間以上2時間未満、労働時間を延長した場合…1人あたり34000円。生産性の向上が認められる場合は43000円

こちらも詳細については、厚生労働省の資料「キャリアアップ助成金のご案内」にてご確認ください。

参照:キャリアアップ助成金の種類・金額などについて/キャリアアップ助成金のご案内

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キャリアップ助成金を申請する際の注意事項

注意

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さまざまな角度から、企業と労働者を支えてくれるキャリアアップ助成金ですが、受け取るためにはいくつか注意したいポイントがあります。

いざという時に慌てないために、しっかり押さえておきましょう。

申請漏れに注意

まず注意したいのは申請漏れです。キャリアアップ助成金を受け取るためには、事前に計画を作成し、労働局やハローワークへ提出する必要があるのです。

その後、就業規則の改定や正社員化、取り組みの実施などを行い6カ月間賃を支払った後に、申請を行い、審査を受けて受給という流れになります。

たとえ条件を満たしていたとしても、正社員化やその他の取り組みを実行してからでは、申請することができません。これは非常にもったいないことなので、手順はきちんと守りましょう。

提出書類や労働規約などの不備に注意

提出書類の間違いや、労働規約の不備には細心の注意を払ってください。キャリアアップ助成金の申請は、不正受給を防ぐ観点から、一度提出した書類などは差し替え・訂正は認められません。

社労士の先生など、専門家に任せたほうが確実でしょう。

受給には時間がかかる

申請漏れの項目でも説明した通り、キャリアアップ助成金は計画を提出・取り組みを実行した後、6カ月間賃金を支払って始めて申請できるものです。

すぐに申請・受給ができるというものではありません。キャリアアップ助成金を頼りに、今月のピンチを自転車操業で乗り切ろう、という使い方はできないので注意しましょう。

不正受給には厳罰がある

キャリアアップ助成金の不正受給には、厳罰が待っています。金額の20%増しで返還が求められ、不正受給した日の翌日から返還までの間、年3%の遅延金も発生します。

それだけではなく、不正受給をしてから5年間は、公正に条件を満たしていてもキャリアアップ助成金を受給することができなくなります。

また、不正受給によって支給決定が取り消しになった場合は、都道府県の労働局が事業主名など公開する可能性もあります。そうなれば、企業としての信頼は地に落ち、給付金を返還するだけでは済まない事態になるでしょう。

正しい申請でキャリアアップ助成金を活用しよう!

キャリアップ助成金は大きな助けになってくれる制度です。不正受給はもちろん、申請漏れや提出書類の不備に注意し、従業員と企業のために有効活用しましょう。

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