東証プライム上場企業のホテルとは?
2022年4月、東京証券取引所の市場区分が再編されました。従来の区分は東証一部・東証二部・マザーズ・JASDAQ(スタンダード・グローバル)の4区分。現在はプライム市場・スタンダード市場・グローズ市場の3区分に変わっています。
それぞれの市場に上場するためには、設けられた審査基準をクリアしなければなりません。中でも最上位の東証プライムは特に審査基準が厳しく、上場できる企業は大企業と言えるでしょう。
ホテル業界で東証プライムに上場しているホテルの傾向や、就職市場で人気が高い理由、働くメリット・デメリットについて解説します。
参考:東京証券取引所の市場区分について/JPX 日本取引所グループ
宿泊業界に詳しいアドバイザーが、あなたに合う職場をいっしょにお探しします。
宿泊業界での職務経験はありますか?
ホテル業界で東証プライムに上場している企業の例
東証プライムに上場していることが多いのは、以下のようなホテルです。これらのホテルが全て上場しているわけではありませんが、ホテル業界への就職を考える際の参考にしてください。
また、株価の動きも就職先・転職先を選ぶ目安になるでしょう。
高級路線ホテル
誰もが1度は名前を聞いたことがあるような高級ホテルや、会員制のリゾートホテルは東証プライム上場企業のリストの中に、多く見られます。
東証プライムに上場することでホテルの知名度やブランド力が上がり、イメージを高められるのですね。
ビジネスホテルチェーン
日本全国にチェーンを展開しているビジネスホテルを経営する企業も、東証プライムに多く上場しています。
ビジネスホテルは高級路線のシティホテルやリゾートホテルよりも採用のハードルが低い傾向にあります。ホテル業界初心者でも、安定の上場企業で採用されるチャンスが大きいため、求職者からの注目度は高いでしょう。
鉄道グループのホテル
大手鉄道グループは、鉄道の運営だけでなく多岐にわたる事業を展開しており、ホテルの運営もそのひとつです。
ホテル業は景気に左右されやすい弱点がありますが、手広く事業を手がける大手鉄道グループであれば、ホテルが不調な時も他事業の収入でカバーできます。
そのため、堅実な就職先・投資先として安定した人気があるのです。
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
東証プライム上場企業のホテルで働くメリット
東証プライム上場企業は、就職先として高い人気があり、ホテル業界においてもその傾向は同様です。東証プライム上場企業のホテルで働くことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
雇用が安定している
東証プライムに上場するための審査基準を、いくつか抜粋して見てみましょう。
- ・最近2年間の利益合計が25億円以上
- ・売上高100億円以上かつ時価総額1000億以上
- ・純資産50億円以上
財政状態についての基準が特に厳しく設けられています。東証プライム上場を果たした企業はこの審査をクリアしたということで、しっかりとした経営をしているのではないでしょうか。
世相の影響を受けやすいホテル業界の中で、倒産やリストラのリスクが低いことは、大きなメリット。コロナの影響を受けている今は特に重要な要素です。
参考:東証プライムの審査基準について/JPX 日本取引所グループ
社会的な信頼が厚い
東証プライム上場企業の正社員ともなれば、社会的な信頼が厚いでしょう。長期に渡って安定した収入が見込まれるため、ローンを組んだり、クレジットカードを作ったりする際の審査に通りやすくなります。
また、誰もが名前を知っているような大企業なら、お見合いや結婚のあいさつ、サークル活動といった場面でも歓迎されやすい傾向にあります。
もちろん勤め先のランクがすべてというわけではありませんが、人生をより豊かなものにする材料のひとつと言えるでしょう。
待遇が良い傾向にある
ホテル業界=ブラック労働というイメージがつきまといますが、東証プライム上場企業は福利厚生や制度が整っているため、良い待遇で働きやすい傾向にあります。
また、社員数が多いためひとりが休んでも周りがカバーできる、コーポレートガバナンスが整備されているため、公平な評価を受けられるといったこともメリットでしょう。
経営陣の独断では会社を動かせない
株式会社は重要事項を決定する際、臨時株主総会を開いて株主の同意を得なければなりません。臨時株主総会の開催が必要となる主な事項は、以下のようなものです。
- 役員の選出
- 合併や会社分割など組織の再編
- 本社の移転
- 役員報酬の改定
- 増資
- 減資
株主総会を通すことによって、役員だけが不正に利益を得たり、無理な組織再編で失敗したりするリスクを避けられます。株式会社は株主の目によって、公正性や合理性が保たれているのですね。
東証プライム上場企業のホテルで働く際の注意点
東証プライム上場企業のホテルで働くことには、大きなメリットがあります。その一方、東証プライム上場企業ならではの注意点があるのも事実。気を付けたいポイントを見ていきましょう。
ライバル多数
東証プライム上場企業は就職先としての人気が高く、大勢の優秀な求職者がエントリーします。
特に老舗の高級ホテルや鉄道グループ系のホテルは競争倍率が高く、中途採用であればサービス業の経験が求められます。競争を勝ち抜いて入社した後も、出世競争のライバルは多数です。
また、従業員数が多いため何か光るものを持っていないと「その他大勢」として埋もれがちです。ホテル内で居場所を確立することは、簡単ではないと心得ましょう。
スピード感に欠ける
東証プライム上場企業は、ベンチャー企業・中小企業と比べると現場の裁量は小さい傾向にあります。現場の人材が「ここをこうしたい」と思ったら、上層部にお伺いを立てたり、株主総会を通したりしなければ話が先に進まないこともあるでしょう。
東証プライムに上場できる基準はクリアしていても、自由な経営を続けるためにあえて上場していないという企業もあります。
安定している代わりに、スピード感をもって常に現場を変えていくという動き方は難しいのではないでしょうか。特に、ホテルのような「その場のお客様の要望にすぐに応えること」が求められる仕事では、対応に苦慮するかもしれません。
過ちが許されない
有名企業に務めていると、不祥事はもちろん悪意のないミスでも厳しい処分を受けることがあります。必要経費の単純な計算間違いで横領の疑いが掛かったり、ちょっとした発言がハラスメントとして大問題になったりするかもしれません。
東証プライム上場企業ともなれば、自社のブランドイメージを非常に重要視するでしょう。従業員の不正行為は絶対に許さないという姿勢を示すために、厳しい目を光らせているのです。
また、ライバル多数の大企業において、隙を見せることは避けるべき。仕事においてもプライベートにおいても、注意深く行動しなければ生き残れないのです。
東証プライム上場でも優良企業とは限らない
東証プライムに上場している企業が全て優良企業なのかといえば、そうではありません。
株式市場には粉飾決済やブラック労働が問題になった企業なども上場しています。東証プライム上場という看板にひかれて入社し、ギャップに苦しむリスクはゼロではないのです。
東証プライム上場かどうかは目安のひとつとして考えよう
ホテルは独自の文化を持つ企業が多く、入社後に問題なくやっていけるかどうかが重要です。東証プライムへ上場しているかどうかはひとつの目安として考えてくださいね。希望や経歴にマッチするホテル・旅館の仕事を探すなら、おもてなしHRがお手伝いします。