ホテルの領収書を再発行しても問題ない?
領収書は金銭の受け渡しを証明する書類です。原則として、ホテルだけではなく、なかには不正利用を防ぐために領収書の再発行に対応していない事業者もいます。なぜなら、同じ内容の領収書が複数あると、予期せぬトラブルにつながる可能性があるからです。
一方では、ある条件をもって領収書の再発行に対応しているホテルもあるのです。
ホテル側がお客様からの領収書の再発行依頼を快諾することで、他者との差別化やサービスの向上、リピーターを増やすことも期待できるでしょう。
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ホテルの領収書を再発行する注意点
ホテルの領収書を再発行する際は、不正精算を避けるために、いくつか注意しなければなりません。
まず、お客様に領収書の再発行が必要な理由を確認してください。再発行の理由には紛失や汚損などが多いのですが、不正を予防するためにも念のため確認を怠らないようにしましょう。
次に領収書の再発行に対応できるのは原則1回と決めておく必要があります。際限がなくなるとこちらの業務も滞る可能性があり、それこそ不正利用されかねません。また、領収書の再発行には、必ず「再発行」の文字を記載するようにしてくださいね。
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ホテルの領収書の再発行はオンラインで対応してもいい?
大手チェーンのビジネスホテルでは、オンライン決済に限り、WEB領収書を再発行しているケースがあります。WEB領収書の場合でも「再発行」の文字を表示することが求められます。しかし、オンラインでの手続きとなると、領収書の発行が何度でもできてしまうという問題点も。
その際は、「再発行*」というように「*」が、再発行の回数として表示されるように設定し、不正利用を防ぐように対応する事例もあるようです。ぜひ参考にしてみてくださいね。
領収書の再発行に対応できないときにホテルができること
領収書の再発行が許されていないホテルでは、お客様から問い合わせを受けた場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。対策を一つずつご紹介します。
レシートで代用してもらう
レシートは宿泊費と明細が記載されているので、領収書に代わりとして精算の根拠に使うことができます。精算日と、お客様の宿泊した日付が一致していることが証明できれば良いのです。
領収書と違ってレシートには宛名を書く必要はありませんが、宛名がなくとも問題はありません。
クレジットカードの明細で代用してもらう
クレジットカードで決済すると、領収書とは別にクレジットカードカードの売上明細表が発行されます。その明細が、領収書として取り扱うこともできます。
支払明細には記載されない内容ですが、売上明細にはホテル名などが記載されます。さらにカード利用日や金額も確認できるだけでなく、金額のほかにカード名義も表示されるので、宿泊したお客様本人であれば、十分に領収書の代わりを果たすことができます。
支払証明書を発行する
領収書が再発行できないときには「支払証明書」を発行する方法もあります。
支払い証明書とは料金を支払ったことを証明する書類で、決まったフォーマットはないので各ホテルの裁量に任されます。
もし「支払証明書」を発行する手段をとる場合、お客様から発行料をいただくことになっています。相場は2,000円ほどですので、適正な価格を検討し徴収するようにしてください。
宿泊証明書を発行する
領収書の再発行が難しいとなれば、宿泊証明書を発行することも一つの解決策となります。宿泊証明書とは、お客様の宿泊の事実を証明する書類で、具体的な宿泊費の記載はありません。
ただし、宿泊証明書だけでは領収書の代わりにすることはできないので、「何か」と併用する必要があるのです。たとえば、以下のような書類をお客様に準備してもらうと良いでしょう。
【予約確認メール × 宿泊証明書】
サイトから宿泊予約をされたお客様には、予約確認メールを準備してもらうように伝えましょう。予約者名・宿泊ホテル・宿泊料金が記載されているので、予約確認メールを印刷してもらい、宿泊した事実として宿泊証明書を添える方法もあります。
【宿泊単価表 × 宿泊証明書】
お客様にはホテルのホームページなどから宿泊単価が記載された部分を印刷してもらい、予約確認メールと同様に宿泊証明書を発行してください。その際は、お客様がどの宿泊単価を支払ったのかなどを伝え、書類に不備のないように確認を行うと親切かもしれませんね。
関連資料:宿泊証明書の発行を頼まれたら何を書く?必須項目や用途を解説
サービス向上のためには「領収書の再発行」にも対応しよう
領収書の再発行に関しては、不正利用を防止するために、ホテルそれぞれの方針がありますよね。なかには、領収書の再発行は一切受け付けていないというホテルもあるでしょう。
しかし、サービス業である以上、お客様のご要望にはできる限りお応えするべきかもしれません。領収書の再発行自体は難しいとしても、領収書の代わりにできる方法はいくつかあるのです。
その際は、丁寧に領収書の再発行を受け付けていないことをお伝えしたうえで、代わりにできる対応を説明すると、きっとお客様も納得していただけるはずです。
また、領収書の再発行ができる場合も、トラブルを予防するために1度しか受け付けられない旨を伝え、了承していただく必要があるので注意してくださいね。