日本のホテル・旅館ではお客様からチップを貰えるの?
日本のホテル・旅館では宿泊代や食事代にサービス料金が含まれているため、お客様からチップや心付けをもらう機会は少ないですよね。それでも渡される機会が全く無いわけではありません。
日本のホテル・旅館でチップや心付けを貰うとすれば、どのような場面で金額はいくら程度なのでしょうか。また、貰った場合は自分のものとして受け取って良いのでしょうか。
あまり馴染みのないチップ・心付けについて理解を深め、スマートに対応できるように準備しましょう。
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日本のホテル・旅館でチップを渡されるのはどんな時?
日本のホテル・旅館でお客様からチップを貰うとすれば、1000円~3000円くらいが相場です。これは、小銭を渡すのは相手に失礼という感覚があるためです。
1000円といえば、地方のホテル・旅館のパート・アルバイトの時給に少し足りないくらいの金額ではないでしょうか。気前の良いお客様に出会えば、時給よりも多い金額をチップや心付けで稼ぐことができるのです。
それではどんなお客様から、どんなタイミングでチップや心付けを渡されることがあるのか見ていきましょう。
海外からのお客様・海外に慣れているお客様から
チップ文化のある国から来たお客様や、海外に行く機会の多いお客様からは習慣としてチップを渡されることがあります。
客室まで荷物を運んだ後や、ルームサービスの提供時、レストランでの会計など何かしらのサービスを提供するごとに、チップを渡されるかもしれません。
また、客室清掃係にあてて客室にチップを残して行くこともあります。
チェックインの後
かつて旅館に宿泊する際は、仲居さんに「滞在中のお世話をよろしく」という意味で心付けを渡す習慣がありました。
サービス料金を設定することが一般的になった現代では薄れた習慣ですが、今でも仲居さんに心付けを渡すお客様も居ます。チェックイン後、客室までご案内したタイミングで渡されることが多いでしょう。
また、ホテルにおいてはチェックイン後にある程度まとまった金額のチップを渡しておいて、滞在中の用事を頼みやすくするというお客様も居ます。このパターンでは5000円~10000円程度が多いようです。
良いサービス・気遣いを受けたとき
重い荷物を駅まで運んでくれた・飲み物をこぼして絨毯を汚したがクリーニング代を請求されなかったなど、特別なサービスや気遣いを受けた場合に、チップを渡すお客様も居るでしょう。
また、特別な扱いはなくとも満足度の高い滞在であったため、感謝の気持ちをチップで示すということもあります。
ご祝儀として
新婚旅行や還暦の旅行など、お祝いごとのあるお客様からご祝儀を渡されることもあります。ご祝儀の場合は一般的なチップよりも大きな金額であることが一般的です。
受け取るのに気が引けてしまうかもしれませんが、お祝いごとに水を差すのはNGです。気持ちよく頂戴しましょう。
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日本のホテル・旅館でチップを貰ったらどうする?
従業員がお客様から直接渡されたチップをどうするかについて、日本のホテルや旅館ではいろいろな考え方があります。一般的な日本のホテル・旅館の考え方を解説します。
渡された人が貰って良い
まずは、チップは良いサービスを提供した報酬であるため、渡された人が貰って良いという考え方です。
アメリカなど、チップが浸透してる国においてはお客様からチップを受け取ることを前提とし、サービス業の給与は低く設定されています。そのため、チップは自分の給与の一部として受け取ることが普通なのです。
日本ではアメリカほど割り切った考えでは無いものの、質の良い接客を行った証としてそのまま従業員に受け取らせるホテル・旅館があります。
チップが欲しいから良い接客をする、というわけではありませんが自分の頑張りが目に見える形で返って来るので張り合いがあるのではないでしょうか。
従業員全員で分ける
お客様からチップや心付けを渡されるのは接客の担当者です。しかし、お客様に満足をもたらすことができるのは、バックヤードも含めたスタッフ全員の尽力があってのことことですよね。
そのため誰がチップを受け取ったにしても、チップや心付けは従業員全員のものとする考え方もあります。
この場合はいったんチップや心付けを集計して山分けにする・貢献度に応じて割り振るなどの他に、休憩室用のお菓子や飲み物を購入する費用などに充てられます。
サービス向上のために使う
お客様から貰ったチップは、お客様のために使おうという方針のホテル・旅館もあります。
従業員が受け取ったチップや心付けを貯めておき、お客様に喜ばれる商品の開発や新しい設備を導入する費用に充てるのです。
お客様にお返しをする
老舗の温泉旅館などでは、心付けをくれた客様にお返しとしてお土産品などをプレゼントします。
貰った金額とお返しの品代でほぼプラマイゼロにすることが多いでしょう。心づけの金額よりも明らかに高価な品物を渡すと、お客様が恐縮してしまうのでさじ加減が大切です。
売り上げとして計上する
チップや心付けを、売上に計上するホテル・旅館もあります。
気持ちの良いサービスもホテル・旅館の売り物であり、それによってもたらされた利益はホテル・旅館のものだという考え方です。そのようなホテル・旅館ではチップを受け取ったら報告・記録を付けるなどのルールを設け、しっかりと管理していることでしょう。
チップや心付けの扱いはホテル・旅館のルールに従おう
チップや心付けは、法的にはお客様から従業員個人に贈与されたものとされています。それなら貰った人がそのまま受け取っても良いのでは?と思いますよね。しかし、チップや心付けの扱いに関する就業規定があれば、それに従わなくてはなりません。
ホテル・旅館が正式に決めているルールを確認することがポイントです。例えば、売上に計上するのがルールなのに先輩から「貰っていいよ」と言われて自分の物にしてしまえば、横領の罪に問われる恐れがあります。
また、本当は渡された従業員が貰って良いとされているのに、上司が独断で回収し自分の懐に入れることも考えられますよね。
チップや心付けはホテル・旅館によってルールが異なり、曖昧になりがちです。トラブルを回避するためにも、きちんと就業規定を確認しましょう!
チップ・心付けをくれたお客様の気持ちを大切に
チップ文化に馴染みのない日本において、お客様から渡されるチップには「これからも良いサービスを提供する宿であってほしい」という気持ちが込められているはずです。
もし、あなたがお客様からチップや心付けを渡されたら、その気持ちをお金以上に大切に受け止めましょう!