ホテルの所有・経営・運営の明確な違いがわからない!
ホテルを事業を開始するにあたり、必ず必要となるのはホテルの「所有」「経営」「運営」についての知識ですよね。しかし、なんとなく理解はしているものの、詳しい説明を求められた場合に堂々と答えられるほどの自信はない、と感じている方も少なくないはずです。
よく混同されてしまいがちなこの三者には、一体どのような違いがあるのでしょうか。
ホテル事業で扱う際の「所有」「経営」「運営」の違いを、具体例をまじえながらわかりやすく解説します。
宿泊業界に詳しいアドバイザーが、あなたに合う職場をいっしょにお探しします。
宿泊業界での職務経験はありますか?
ホテルの所有・経営・運営の違い:「所有」とは?
まずは、最もわかりやすい「所有」についてご紹介します。
ホテルは、複数のお客様に対して宿泊・飲食をする空間を提供する施設であるため、ある程度大きな建物でなければ経営は難しいものですよね。
仮に1人で企業し、ホテル経営を始めようと一念発起した方であれば、ホテルの建設費用を手元に用意するのは少々難儀です。この場合には、賃貸として建物をリースをするという選択肢を取ることもできます。もちろん自社で施設を建築し、所有し続けることも可能です。
よって、ホテルの所有は必ず下記のいずれかになるということが言えます。
- ・自社でホテルを所有する
- ・他者のホテル(建物)を借りる
ホテル業界では、建物・施設の所有者をオーナーと呼ぶため、「オーナーを自身とするか、他社とするか」という観点で考えると、理解もスムーズに進むでしょう。
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
ホテルの所有・経営・運営の違い:「経営」とは?
続いて、「運営」と混同してしまいがちな「経営」について詳しくみていきましょう。
経営をする主たる理由は、利益の追求です。企業は収益を最大化するため、人を雇い、事業を拡大していきます。この行為のことを「経営」と呼ぶのです。
ホテルの場合、立地・ターゲット・価格帯などを鑑みて経営方針が定められますので、「ホテルの経営」を考える時には、「どのような手段で利益を上げるのか」という視点で考えれば理解が早まるはずです。経営を「ビジネスモデル」と言い換えるのも良いでしょう。
- ・単独で自社独自の経営をする
- ・チェーンストア方式で経営をする
ホテルの経営形態は、上記に2分されます。自社経営の場合は小回りが利くというメリットがある一方、業績が経営状態にダイレクトに反映されるため、損失が出た際に負担が大きくなるというデメリットがあります。
チェーンストア方式で経営するメリットは、なんといってもブランド力があるということでしょう。あわせて知見も横展開されるため、自社経営よりも経営の負荷がかからないとうメリットがあります。
デメリットとして考えられるのは、企業全体で意思を統一することが難しくなることでしょう。また、経営のスピード感は自社経営に劣ります。直営でない場合には、加盟料が発生するということもデメリットの1つに挙げられます。
ホテルの所有・経営・運営の違い:「運営」とは?
「運営」とは、経営方針に基づき、実際に事業を実施することを指す言葉です。そのため、「ホテルの運営形態」を見る際に注目していただきたいのは、「誰がお客様と対峙するのか」ということです。
下記はホテルの運営形態・運営方式の一例です。
- ・建物の所有・経営・運営の全てを自社で行う
- ・建物の所有と経営は自社で行うが、実務の運営は他社に依頼する
- ・他者が持つ建物を借り、経営・運営は自社で行う
- ・建物の所有・経営・運営を全て分離する
日本では、ホテルの経営・運営ともに1つの企業が担う場合が多いことから混同されてしまうことも多いようですが、経営と運営を混同してしまえば理解することが難しくなります。
ホテルの経営と運営、両者についての知識を蓄える際には、全くの別物と捉え分離して考えるようにしてくださいね。
ホテルの経営形態・運営方式についてより理解を深めたい方は、下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
ホテルの経営形態、運営形態はどう違う?運営形態で変わるホテル運営会社の役割と責任
日本と海外でホテルの所有・経営・運営の扱いが異なる?
ホテルの「所有」「経営」「運営」についてご紹介をしてきましたが、多くの方が混同してしまう背景には、日本のホテル企業の体制が関係しています。
と言うのも、国内の宿泊関連企業の多くが「所有」「経営」「運営」を切り分けず、全てを自社で完結させているからです。業界用語で言う「所有直営方式」を取っているホテルが多いことも、それぞれを分離して考えることが難しくなる1つの要因でしょう。
ただ、海外のホテルや国内にある外資系ホテルでは「所有」「経営」と「運営」が切り分けられている場合が多いようです。このように運営を別企業に委託する運営形態を、業界用語では「マネジメントコントラクト方式」と呼びます。
海外のホテルで、運営を外部企業に委託することが好まれる理由は、より早い企業成長が経営の命題であると考えられているためです。海外であれば、ノウハウの蓄積に時間がかかる所有直営方式は合理的ではない、と判断されることが多いのも頷けます。
日本で所有直営方式が好まれたのは、責任を1社に集約して顧客の信用を得たい・高めたい、という日本ならではの理由があるかもしれませんね。
ホテル開業の際は所有・経営・運営を分離して考えよう!
ホテルの所有・経営・運営の違いをご紹介しましたが、それぞれを分離させること、あるいは分離をさせないことには必ずメリットとデメリットがあります。
ですので、ホテルの開業を検討している方は、様々な方式の持つメリットとデメリットを見比べることが重要です。検討を重ね、ご自身が目指す経営ができるような方式を選択してくださいね。
また、経営を始める際には人材の雇用が必要になります。そんな時は、当サイト「おもてなしHR」をぜひご活用ください。専属アドバイザーが、貴ホテルにぴったりの人材をご紹介します。利用は無料ですので、気軽にご相談くださいね。