接客におけるロープレの目的

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接客力の向上を目的とした研修や新入社員に対して、接客のロープレが行われることがあります。接客販売業では、コンテストなどの開催もあるほどで、ロープレの重要性や効果を感じている企業は多くあるでしょう。
接客におけるロープレの目的は、接客の疑似体験です。接客力は、座学で学ぶだけでは身に付ける事は難しい技術で、効果的な接客方法を学ぶ手段としてロープレは非常に有効です。
ロープレは単なる接客の練習ではなく、技術習得のための訓練と考えるのが良いかもしれません。
接客に活かせるロープレにするための準備

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ロープレの効果を実際の接客に活かすためには、事前の細かい準備が肝心です。ロープレ前後の取り組み方と、注意点についてご紹介します。
チェックシート作成
ロープレでチェックしたい項目を一覧にしたチェックシートが必要です。ロープレでは実際の接客のシーンを想定し、そこで役割を演じながら実務に必要なスキルを体得します。
また、接客の基本ができているかを確認したり、クセを知るにも良い機会にもなります。
そのため、ロープレの際には必ずと言ってよいほどチェックシートが用いられます。
挨拶や表情やしぐさのような接客の基本から、質問の仕方や声の表現力、また接客して欲しいと思えたか、など項目は多岐に渡ります。
実施するロープレのシチュエーションにあわせて、確認したい接客のポイントや強化したいぎ技術を見極め、それらを数値化することで客観視することができるため、チェックシートはロープレ後の復習にも活用できます。
設定を決める
どのようなシチュエーションで、どういったお客様を対象にするのか、ロープレのシーンを細かく設定する必要があります。販売業などでは、出迎えからお見送りまでの一連の流れを、時間を計りながらロープレすることもあります。
ロープレの中には、細かく設定をせずお客様役に応じた臨機応変な対応を求めるロープレもありますが、ダラダラと長引いてしまう可能性もあるため、事前に設定することをおおすすめします。
ホテルの場合は、フロントでのチェックインやお客様を客室に案内する場面などでロープレをすることがあります。
お客様が心地よく感じる出迎え方、視線の向け方、正しい荷物の運び方や置き方、こういったスキルを事前のロープレで身に付けることで、実践で慌てることなくスムーズに応対することができます。
役割を決める
ロープレは役割演技とも言われます。ロープレの設定に合わせた役割を決め、複数人で実施することが効果的です。
- ・接客担当者
- ・お客様
- ・観察者
接客のロープレの場合には、三人一組で実施することが好ましいでしょう。ここでの観察役の役割は、ロープレを客観的に見てフィードバックを行うことにありあす。お客様役がフィードバックを行う前提で二人一組で実施されることもありますが、ロープレでの役割に集中した結果見逃してしまうこともあり得るので、観察者を用意することおすすめします。
ロープレで接客スキルを上げるには?

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ロープレは訓練だとお伝えしました。ロープレで接客スキルを上げるためには、どういった点を大切にすると良いのでしょうか。
効果的なフィードバック
ロープレの役割で大切なのは、観察者です。観察者になるのは、同僚であったり上司であったり立場さ様々です。可能であれば、様々な立場の人に観察者になってもらうことをおすすめします。
ロープレ後には必ず、フィードバックが行われます。ここでお、自分自身の接客を振り返ることができますし、客観的な意見を聞くことができます。
フィードバックは指摘ばかりでも褒めるばかりでも良くありません。必ず、具体的な例をあげて、どこのどんな部分が悪かったのか、良かったのかを伝えましょう。
一連の流れからシーンを切り取り、より良くなるパターンを提示したり、どうしてそのような行動を取ったのかを聞き取るなど、細かく伝えていくことが大切です。
ロープレのコツは実際の接客を意識すること

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ロープレで会得した技術を、実際の接客で活かすためにはどういったことを意識するとよいでしょう。
ロープレは学習であり、訓練です。
ところが、実際のロープレの場面では役割を演じることや他人から見られていること、同僚や上司から直接評価されることを意識し過ぎて本来の目的を達成できないことがあります。
恥ずかしさや緊張で基本的なことを忘れてしまったり、普段とは違う姿を見せてしまうこともあります。
ロープレは本気で挑むことが何よりも重要です。これは接客担当者だけでなく、お客様役も同様です。設定に合わせて役になりきること、本番だと思って取り組むこと、そうでなければロープレはただのごっこ遊びになってしまいます。
そしてもう一つ大切なのは、不得意なシチュエーションを想定することです。ちょっと苦手なタイプのお客様や質問の内容は誰にでもあるはずです。そういった場面をロープレに取り入れることで、新たな発見ができるかもしれません。
定期的なロープレでホテルの接客シーンを共有しよう

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ホテルでの接客には、臨機応変さも重要です。決まった流れ、マニュアル通りに進行することばかりではありません。
お客様の状況もありますし、実際は相性もあります。全てがスムーズにいくものばかりではないからこそ、ロープレを活用するべきなのです。
ロープレで、実際に遭遇したことのないシチュエーションやお客様を設定し疑似体験をすることは、接客の引き出しを増やすのに効果的です。ロープレを通して、他のホテルマンの行動や言動を参考にするものおすすめです。
実際には初めてのシチュエーションでも、二度目と思って対応することができれば心に余裕を持つこともできます。
接客シーンに合わせて、私ならこうする!こうした方がもっと良いのでは?と従業員同士の意見や意識の共有ができれば、より効果的なロープレになるでしょう。