一般派遣と紹介予定派遣の違いとは?

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一般派遣と紹介予定派遣には、どのような違いがあるのでしょうか。4つの違いを解説します。
派遣契約満了後の雇用
一般派遣は、派遣会社から紹介を受け、勤めることになった派遣先企業での派遣契約期間満了後、別の派遣先企業を探し、新たな仕事に就く・新たな企業で働き出すというのが一般的です。
しかし、紹介予定派遣はそうではありません。紹介予定派遣は、派遣先の企業で「直接雇用」を前提に、派遣業務を行うという働き方を指すのです。
派遣契約の期間
労働者派遣法では、同一企業の同一部署で勤めることができるのは「最長3年まで」と定められています。そのため、いくら派遣先の企業が良いと思っても、3年が経てば別企業や別部署に移らなくてはならないのです。俗に言う、「派遣3年ルール」というものですね。
しかし3年ルールが適用されるのは、一般派遣に限ります。紹介予定派遣では、派遣先企業での直接雇用を前提としているため、派遣としての労働は「最長6カ月」という決まりがあり、よりシビアな派遣期間が設定されているのです。
最長6カ月の派遣契約期間満了後に、労働者・派遣先、両者の合意が取れた場合は、派遣先の企業での直接雇用へと切り替わります。
事前面談の有無
一般派遣では、派遣契約前に面談を行うことは原則禁止されています。しかし、紹介予定派遣の場合は直接雇用が前提ということもあり、派遣先企業で事前に書類選考や面接選考を行うことが認められています。
これは、求職者と企業のミスマッチを防ぐために設けられているもので、企業によっては通常の採用選考と同様に一次面接・二次面接・SPIなどの筆記試験を設けていることもあるようです。
直雇用契約のタイミング
一般派遣であっても、優秀な人材であれば企業から「このままうちで働かないか?」と派遣社員を呼び止めることは可能です。
しかし、求職者がそのタイミングでの雇用契約を結んでいるのは「派遣会社」であり、派遣先の企業で雇用契約を結ぶことは二重契約で法に触れてしまうため、派遣契約期間満了後でなければ派遣先で派遣社員を雇用することは不可能です。
一方、紹介予定派遣は、直接雇用が前提ということもあり、派遣期間内でも派遣先企業との直接雇用が可能となっています。その場合は、派遣期間中に雇用契約を「派遣会社」から「派遣先企業」へと変更する手続きを取る必要があります。
派遣の働き方は一般派遣・紹介予定派遣のほか、派遣会社と直接雇用契約を結ぶ「常用型派遣」や、類語とも言われる「人材紹介」など様々なものがあります。気になる方は下記からチェックしてみてくださいね。
一般派遣と紹介予定派遣の違い:メリット

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一般派遣と紹介予定紹介の違いをご紹介しましたが、どのようなメリットがあるのでしょうか。紹介予定派遣の視点から見たメリットを3つご紹介します。
派遣先で直接雇用の可能性ができる
紹介予定派遣の最大のメリットは、「直接雇用の可能性がある」ということです。今まで就職活動や転職活動に苦労をしており、一時的に派遣という道を選んだ、という方にとっては嬉しい制度と言えるでしょう。
直接雇用前に企業の雰囲気を知ることができる
就職・転職では、実際の労働環境は企業へ勤め始めてからでないとわかりません。
しかし、紹介予定派遣であれば、事前に勤め先の企業の雰囲気を知ることができるため、「いきなり直接雇用として就職をするのは少し不安がある……」という方にとっては、うってつけの環境と言えるでしょう。
加えて、直接雇用が前提ではあるものの、合わないと判断すれば申し入れを断ることもできる、というところに安心感を覚えて紹介予定派遣を受けるという求職者もいるようです。
未経験でも応募ができる
「正社員の試用期間」とも似た印象を受ける紹介予定派遣ですが、売り手市場が続く現代では、派遣先企業も試用期間のような位置づけで紹介予定派遣社員を採用していることがあります。
これは、企業が新入社員の能力を判断する試用期間のように、求職者側から企業を判断してもらう機会を設ける、という意味合いから紹介予定派遣を受けている企業もあるということ。
中小企業を中心に「まずは会社を知ってほしい」という理由で紹介予定派遣を受けているという企業であれば、未経験の募集・ポテンシャル採用も積極的に行っています。
未経験応募が可能で、紹介予定派遣の契約期間中はもちろん給与が支払われる、という点は、求職者にとってメリットと言えるでしょう。
一般派遣と紹介予定派遣の違い:デメリット

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一見メリットが多く見える紹介予定派遣ですが、デメリットも多くあります。デメリットをしっかりと理解していないと、あなたにとって不利益となることもありますので、派遣契約を結ぶ前には必ず確認しておきましょう。
必ずしも直接雇用されるという訳ではない
紹介予定派遣は「派遣先での直接雇用が前提」とご紹介をしましたが、あくまで「前提」であるだけで、必ずしも直接雇用が保障されているという訳ではありません。
一般社団法人日本人材派遣協会の調べによると、紹介予定派遣として2018年度に派遣された人数は約30,000名に対し、直接雇用へ至ったという人数は約半数という結果でした。
もちろん、派遣社員側から「直接雇用を結ばない」という選択をしたことも考えられますが、派遣先の企業から「やはり直接雇用はせず、派遣契約期間満了で労働契約は終了」と言い渡される可能性があることを覚えておきましょう。
必ずしも正社員雇用という訳ではない
「直接雇用」と聞くと正社員を思い浮かべてしまうものですが、必ずしも正社員での雇用ではないということも覚えておかなくてはなりません。
正社員でない場合は契約社員としての雇用が多いようですが、契約社員はその名の通り雇用の契約期間が定められています。つまり、契約期間満了後は退職を余儀なくされるのです。加えて、賞与ない場合が大半であり、出世がしにくいというデメリットもあります。
仮に正社員登用であった場合でも、総合的に見て「派遣社員としての雇用契約の方が個人として条件が良かった」ということもありますので、紹介予定派遣を受ける前に条件をしっかりと確認しておくことをおすすめします。
求人数が少ない
一般派遣と比較すると、紹介予定派遣は圧倒的に求人数が少ないということもデメリットと言えるでしょう。感覚としては、一般派遣の10%ほどの求人数と考えておくのが無難です。
限られた求人の中から、ゆくゆく直接雇用を目指すという企業を選ぶよりも、制限無しに求職活動を行うことにメリットを感じる方であれば、紹介予定派遣は向いていないかも知れません。
紹介予定派遣前に書類選考や面接がある
紹介予定派遣は、一般派遣とは違い、基本的に派遣契約前に面接があります。一次面接や二次面接、さらには筆記試験があるという企業もあることから、「ここまでするのであれば紹介予定派遣ではなく、通常の就職活動をした方が良いのでは?」と感じる方も多いようです。
もちろん、派遣会社は後ろ盾となってはくれますが、求人数が少なく、派遣会社の後ろ盾があるということに魅力を感じないという求職者であれば、自ら求職活動を行った方がよいでしょう。
一般派遣と紹介予定派遣:正社員との違い

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ここまで記事を読んでいる方であれば、「紹介予定派遣の派遣期間と、通常の正社員雇用の試用期間の違いは何か?」と疑問に思われた方もいることでしょう。
最も大きな違いは、雇用主です。
正社員などの直接雇用の場合、試用期間中でも雇用契約を結んでいるのは「勤め先の企業」である一方、紹介予定派遣の派遣契約期間中の雇用主はあくまでも「派遣会社」ということに変わりはありません。
労働条件は大差無い場合も多くありますが、正社員の試用期間であれば、その間も有給付与までの対象期間になったり、先だって社会保険に加入できるなどのメリットがあるということを覚えておきましょう。
宿泊業における一般派遣と紹介予定派遣の違い

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宿泊業における一般派遣と紹介予定派遣の違いは、他業界とも変わりはありません。
しかし、宿泊業は一般派遣の比率が圧倒的に高く、自社エンジニアなどかなりの技術が必要になる業種・職種でなければ、紹介予定派遣の求人はほぼ無いと言っても過言ではないでしょう。
宿泊業で長く勤めたいと考えている求職者であれば、一般派遣として派遣社員となり正社員としての声掛けをしてもらえるほどの成果を残す、もしくは通常通り、直接雇用を狙った求職活動を行った方が道は開きやすいかも知れません。
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一般派遣と紹介予定派遣の違いを押さえ就職活動をしよう!

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一般派遣と紹介予定派遣の大きな違いは、「派遣先での直接雇用の可能性がある」ということでしょう。同じ派遣社員という扱いでも、進む道は大きく異なりますので、しっかりと違いを踏まえたうえで求職活動を行ってくださいね。
「派遣社員としての求職活動は自分には合わないな」と感じた求職者がいれば、人材紹介会社を経由した就職・転職支援サービスもぜひ活用してみてください。
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