フードコーディネーターという仕事は、どうやってなれるのか、資格は必須なのか、収入は安定するのかなど、具体的にイメージしにくいかもしれません。
フードコーディネーターは、レシピ開発や撮影、スタイリング、企画などを通して、食の専門知識とクリエイティブな発想を直結させ、高い専門性とやりがいを実現できる仕事です。
この記事では、フードコーディネーターの仕事内容を図解で整理し、レシピ考案から撮影現場までの具体的な業務フローを解説します。さらに、専門学校や資格の必要性、フリーランスというキャリアの現実まで、すべてを網羅。
あなたがフードコーディネーターになるための具体的な一歩を紹介します。
【図解】フードコーディネーターの仕事は「食とクリエイティブ」をつなぐ最高のキャリア
フードコーディネーターの仕事は多岐にわたるため、まずはその全体像を整理して把握することが大切です。
フードコーディネーターの役割をひと言で表すなら、「食にまつわるすべての事柄を、よりおいしく、より魅力的に見せる演出家・プロデューサー」です。
料理研究家やパティシエが「食」そのものを生み出す職人であるのに対し、フードコーディネーターは「食」を市場やメディアで効果的に見せるための企画やスタイリングを行います。
主要な業務は、大きく分けて4種類に分類されます。この4種類のスキルを組み合わせることで、企業やメディアのニーズに応じた柔軟な仕事が可能になります。
宿泊業界に詳しいアドバイザーが、あなたに合う職場をいっしょにお探しします。
宿泊業界での職務経験はありますか？
フードコーディネーターのメイン業務は4種類！「開発」「撮影」「企画」「プロデュース」
lielos / stock.adobe.com
ここでは、フードコーディネーターの代表的な仕事内容である4つのカテゴリーについて、具体的な業務と求められるスキルを解説します。「食」と「クリエイティブ」をどのように結びつけるのか、詳細をみていきましょう。
栄養士や管理栄養士の知識が活きる「レシピ・献立開発」
この分野は、フードコーディネーターの基礎となる仕事内容であり、食の知識を直接活かすことができます。
料理教室や雑誌・Webなどメディア掲載用のレシピ考案では、ターゲット読者やテーマに合わせたレシピを作成します。
単に「おいしい」だけでなく、「作りやすい」「写真映えする」「栄養バランスが良い」といった多角的な視点が必要です。
また、飲食店のメニュー開発では、クライアントである飲食店のコンセプト、原価、ターゲット層に合わせた献立を考案します。
特に、大学で食や栄養学を学んだ経験がある方は、栄養士や管理栄養士の専門知識が活かせるでしょう。
たとえば、健康志向の商品開発や、特定の疾患をもつ人向けのレシピ企画など、単なる料理好きではない専門性で差別化できるかもしれません。
センスだけでなく技術も必要「フードスタイリング・撮影」
InstagramやYouTubeで見ているような、魅力的な食のビジュアルを作り出すのが、このスタイリングと撮影の仕事です。単なるセンスではなく、論理的な技術が求められる専門分野です。
撮影現場でのスタイリングは、料理がもっともおいしく見える瞬間を演出し、照明や小道具を駆使して撮影をサポートします。
またテーブルコーディネートでは、料理のテーマやクライアントの要望に合わせて、食器、カトラリー、テーブルクロス、背景などを総合的に選び、魅力的な空間を創り上げます。
このようなテーブルコーディネートのスキルは、特にメディア撮影におけるスタイリングの一部として必須であり、写真の印象を大きく左右します。
さらに盛り付けでは、食材の切り方、重ね方、色合いのバランスなど、見た目と食べやすさを両立させる高度な技術が求められます。
企業と消費者をつなぐ「企画力」
商品開発や企業のプロモーションに関わる、マーケティング色の強い仕事です。
食品企業や飲食店と連携した商品開発のプロセスに参画し、食のトレンドを反映させた新商品を提案します。
それに伴って、新商品の魅力を最大限に伝えるためのプロモーション企画や企画書作成を行います。
この仕事では、食に関する専門知識に加え、「どんな食品が今求められているか」を見極めるマーケティング視点と、それをクライアントに伝える企画力が不可欠です。
食の専門家としての総合力「イベント・空間プロデュース」
フードコーディネーターの食の専門家としての総合力が試される仕事です。
イベントやパーティーの企画・運営では、ケータリングのメニュー考案から、会場のテーブルコーディネート、進行管理までを一貫して行います。
近年、特に需要が増加している、ホテルや旅館など宿泊業でのフード・空間プロデュースでは、ホテルのレストランの新メニュー開発や、季節イベント時のビュッフェスタイリング、ウェディング企画など、食の体験価値を高める仕事を担当します。
＼ホテル業界の「クリエイティブ求人」を見つける／
宿泊業界特化の専門チームに無料相談するホテル＆旅館業界の就職・転職についての記事
仕事はどこにある？フードコーディネーターが活躍できる主な仕事場所・業界
uumm / stock.adobe.com
フードコーディネーターが活躍できる仕事場所は、非常に多岐にわたります。「食とクリエイティブ」のスキルを活かせる主な現場を、表で確認してみましょう。
| 活躍できる主な業界 | 具体的な仕事内容 |
|---|---|
| 食品メーカー | 新商品開発、広報誌やWebサイトのレシピ考案、撮影立ち会い |
| 広告代理店・制作会社 | 食品広告の企画、撮影ディレクション、スタイリング |
| 出版社・メディア | 雑誌・Webメディアのレシピ開発、撮影、スタイリング |
| 飲食店・ホテル・旅館 | 新メニュー・献立開発、レストランプロデュース、イベント企画 |
| 料理教室 | 講師、レシピ開発、教材企画 |
| フリーランス | 複数企業との契約、メディア出演、レシピ本出版など |
特に、ホテルや旅館などの宿泊業界では、近年体験型の食事提供に力を入れており、フードコーディネーターの活躍の場が広がっています。
そのため、ホテルのメインダイニングのメニュー開発から、ラウンジのアフタヌーンティーのテーブルコーディネートまで、クリエイティブな発想が求められる求人が増加する傾向があります。
フードコーディネーターになるには「資格」と「専門スキル」がカギ
FON's Fasai / stock.adobe.com
フードコーディネーターに必須となる資格はありませんが、プロの専門家として未経験から現場へ進むためには、「資格」と「専門スキル」が知識と実力を証明するカギとなります。
必須ではないが有利になる「資格」と「認定」
資格の取得は、特に未経験から転職する場合、自分の専門知識や意欲を客観的に証明する大きな武器となります。
取得メリットが多い「フードコーディネーター資格認定試験」
これは、日本フードコーディネーター協会（JFCA）が認定する公式資格です。
3級から1級まであり、企画、開発、演出、経営など、フードコーディネーターに求められる知識を体系的に学ぶことができます。
特定の専門知識に偏らず、食のプロデュース全般の知識を習得できるため、未経験から企業の求人へ応募する際に、意欲と基礎知識をアピールできます。
現場で強い「調理師・栄養士」
フードコーディネーターとしての仕事の幅を広げ、現場で強い専門性を発揮したいなら、食の国家資格の取得も有力な選択肢です。
| 資格名 | フードコーディネーターとしての実務における強み |
|---|---|
| 調理師 | 衛生管理の知識や調理の基礎技術を証明でき、レシピ考案の精度が高まる |
| 栄養士・管理栄養士 | 栄養バランスに基づいた献立作成、健康志向の商品開発で重宝される |
もし、大学や専門学校で食に関する知識を学んでいるなら、栄養士や管理栄養士の資格とフードコーディネーターの知識を組み合わせることで、自分のスキルを存分に発揮できるでしょう。
学生のうちに身につけるべき「3つの専門スキル」
フードコーディネーターの仕事は、未経験でもポテンシャルを評価してくれる求人が存在しますが、専門職であるため、入職前に基礎スキルを身につけておくことが成功への近道となります。
未経験を脱するための基礎力「料理・調理スキル」
レシピ考案や撮影現場のスタイリングにおいて、料理の基礎がなければ仕事になりません。以下の3点について意識しておくとよいでしょう。
- 複数の調理法を習得する
- 食材の仕入れや保存方法に関する知識を深める
- プロの料理教室などに通い、自己流ではない基礎技術を学ぶ
スタイリングに必須の論理的知識「色彩・デザインスキル」
食とデザインを学んでいる場合、その知識がもっとも活きるスキルです。
魅力的なフードスタイリングは、センスだけでなく色彩学やデザインの論理に基づいています。
そのため、食材の色を対比させたり、トーンを統一したりするなど、食材と背景・食器の色彩バランスを理論的に理解することが大切です。
また、写真撮影における「三分割法」「日の丸構図」など、料理がもっとも美しく見える配置を学ぶ、構図の知識も必要になってくるかもしれません。
クリエイティブを実現するビジネス力「企画・提案スキル」
どれほど素晴らしいクリエイティブなアイデアも、企画書としてクライアントに伝わらなければ仕事になりません。
ターゲットやコンセプト、期待される効果（KPI）などを明確に記載するスキルを企画書作成に、また、自分のアイデアを熱意をもって、かつ論理的に伝えるコミュニケーションスキルをプレゼンテーションで活かすことが重要でしょう。
＼未経験から挑戦！／
ポテンシャル重視の求人を専門チームに相談するフードコーディネーターの現実｜「収入」と「キャリア」の壁
78art / stock.adobe.com
フードコーディネーターの仕事は華やかなイメージがありますが、キャリアを決めるうえでは、収入や仕事の大変さといった現実的な側面を知っておくことも大切です。
フードコーディネーターの平均年収は働き方で大きく変わる
フードコーディネーターの収入は、企業勤務かフリーランスかによって大きく変動します。
| 働き方 | 平均年収の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 企業勤務 | 350万～600万円程度 | ・食品メーカーやメディアなどの企業に正社員として勤務する場合 ・安定した収入と福利厚生がある |
| フリーランス | 年収に幅があり、不安定な場合も | ・仕事の量や単価によって大きく変動 ・人気コーディネーターになれば、1,000万円以上の高収入の可能性もある |
上記はあくまで目安であり、企業の規模や経験年数、専門スキルによって大きく異なります。
なお、未経験で企業に就職する場合、初年度は300万円台からスタートする求人が多い傾向にあります。
安定を選ぶか？挑戦を選ぶか？「独立・フリーランス」という選択肢
将来的にフリーランスや独立を視野に入れている方も多いでしょう。それぞれのメリットとデメリットを理解し、キャリアプランを立てることが重要です。
| 働き方 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 企業勤務 | ・収入が安定する ・福利厚生が充実している ・企業のリソースを活用して大規模な仕事ができる ・未経験からでもOJTを受けやすい |
・仕事内容が限定的になりやすい ・収入の大幅アップは昇進に依存する |
| フリーランス | ・仕事を選ぶ自由がある ・高収入の可能性がある ・クリエイティブな裁量権が大きい |
・収入が不安定になりやすい ・すべての求人獲得（営業）を自分で行う必要がある ・事務処理の負担が大きい |
フリーランスとして独立するには、企業での実務経験を通じてクライアントとのコネクションや、交渉・提案スキルを磨いておくことが不可欠です。
まずは企業で安定的に専門スキルと現場経験を積むのが現実的なルートといえます。
＼納得感のあるキャリアと給与を実現／
市場価値に合った転職プランを提案してもらうフードコーディネーターに関するよくある質問
monitor6 / stock.adobe.com
フードコーディネーターという専門職への転職やキャリアチェンジを考えるとき、収入や未経験からのなり方など、具体的な不安や疑問が浮かぶのは自然なことでしょう。ここでは、フードコーディネーターを目指す方が抱きやすい、仕事の現実や将来性に関する疑問について、具体的にお答えします。
未経験からフードコーディネーターになれますか？
専門学校と独学、どちらがおすすめですか？
料理研究家やパティシエとの違いは何ですか？
フードコーディネーターの仕事で「きつい」「大変」と言われる点は何ですか？
フードコーディネーターの仕事は将来性がありますか？
＼書類添削・面接練習で不安を解消！／
万全の対策で内定を掴む 出典：フードコーディネーターとは/特定非営利活動法人 日本フードコーディネーター協会 出典：フードコーディネーター/職業情報提供サイト（job tag）食分野でクリエイティブに働きたいなら「おもてなしHR」に相談しよう
今回は、フードコーディネーターの仕事内容から、資格の必要性、収入の現実まで、食とクリエイティブを仕事にするための具体的な情報を解説しました。
もし未経験からプロの専門職へ進むのであれば、どの企業の求人を選ぶか、どのようなスキルをアピールするかが重要になってきます。
私たち「おもてなしHR」は、宿泊・ホテル業界に特化した転職エージェントです。ホテルや旅館のフードプロデュース、メニュー開発といったクリエイティブな求人も多数保有しています。
あなたの「食とクリエイティブ」を活かせる最適なキャリアプランをいっしょに考え、履歴書の添削や面接練習など、内定獲得までの道のりを徹底的にサポートします。
まずはお気軽に、あなたの目指すキャリアについてご相談ください。
＼入社後の定着まで徹底サポート！／
業界特化エージェントにすべてお任せする
Facebookでシェア
X(Twitter)で投稿
