調理師として長年働いてきたものの、「収入が思うように上がらない」「もっと自由に働ける道はないか」と感じている方も多いのではないでしょうか。
近年注目されているのが、自宅や会場に出向いて料理を提供する「出張料理人」という働き方です。
資格や届出は不要で始められ、案件単価も高めといわれていますが、収入は依頼件数に左右されるため安定性に不安を抱く人も少なくありません。
この記事では、出張料理人になる方法や収入の相場、メリット・デメリットを解説し、さらに安定して働けるホテル所属という選択肢も紹介します。
自分に合った働き方を考えるきっかけにしてみてください。
出張料理人になるには?資格や届出は原則不要
出張料理人として活動するために、特別な資格や複雑な届出は必要ありません。料理人としての経験やスキルがあれば、誰でも挑戦できる点が大きな特徴です。
一般的に、出張料理人はお客様の自宅や会場に出向き、現地のキッチンや設備を利用して調理・提供を行います。
そのため、飲食店のように固定の店舗を構えて営業許可を取得する必要はなく、法律上も調理師免許は必須とされていません。
実際に出張料理人を始める流れもシンプルです。大まかなステップは以下のとおりです。
- 働き方を決める(独立 or 会社所属か)
- 必要な調理器具やプロフィールを準備する
- マッチングサイトやSNSに登録して発信する
- 初案件を受注する
ただし、自宅やシェアキッチンで仕込みをして料理を持ち込む場合や、ケータリングのように調理済みの料理を運搬・提供する場合は、食品衛生法に基づく営業許可が求められるケースがあります。
活動スタイルによって判断が分かれるため、不安な場合は事前に管轄の保健所に確認しておくと安心です。
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出張料理人の収入・料金相場
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出張料理人として働く場合、気になるのは「どれくらいの収入になるのか」という点でしょう。
ここでは調理師全体の平均年収と比べながら、案件単価や月収モデルを見ていきます。
調理師全体の平均年収は約337万円
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、調理師(飲食物調理従事者)の平均年収は約337万円となっています。
もちろん職場の規模や雇用形態、勤務地によって差はありますが、飲食店やレストランで働く調理師の収入は、この数値がひとつの目安になると考えてよいでしょう。
出張料理人の案件単価
出張料理人の場合は、案件ごとにまとまった報酬が得られるのが特徴です。とある出張シェフサービスの公開情報によると、1回あたりの総額は4〜6万円程度が多いとされています。
料金の仕組みは「コース料金(1人あたり約1万円が目安)×人数」に、交通費や食器レンタル代などが加わる形式です。
金額には食材購入・調理・出張費・後片付けまで含まれており、レストラン利用と同等かそれ以上のサービスを提供する内容となっています。
利用シーンや人数によって変動はありますが、案件単価は飲食店の時給労働と比べると高めに設定されているのが一般的です。
出張料理人の月収・年収モデル
出張料理人は、1件あたり4〜6万円の案件をどれだけ受注できるかによって収入が大きく変わります。
以下は、件数ごとのシミュレーション例です。
月の件数 | 1件あたり4万円の場合 | 1件あたり5万円の場合 |
---|---|---|
月5件 | 月収20万円(年収240万円) | 月収25万円(年収300万円) |
月10件 | 月収40万円(年収480万円) | 月収50万円(年収600万円) |
月15件 | 月収60万円(年収720万円) | 月収75万円(年収900万円) |
件数を増やせば年収600万〜900万円といった高収入も現実的に目指せますが、依頼が少なければ大きく収入が落ち込むリスクもある点には注意が必要です。
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出張料理人のメリット・デメリット
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出張料理人として働くと、収入や働き方の自由度など大きな魅力がある一方で、個人で活動するからこその課題もあります。ここでは代表的なメリットとデメリットを整理しました。
出張料理人として働くメリット | 出張料理人として働くデメリット |
---|---|
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出張料理人として働くメリット
- 案件単価が高めで効率的に稼げる
- 自由度の高い働き方ができる
- 料理の腕を直接評価される
- 多様な現場経験が積める
出張料理人は1件ごとの単価が高めに設定されているため効率的に収入を得やすく、勤務時間や案件数を自分で調整できる自由さがあります。
また、お客様からの評価を直接受けられることでやりがいにつながり、家庭料理からパーティーまで幅広い経験を積めるのも大きな魅力です。
出張料理人として働くデメリット
- 収入が安定しにくい
- 経費や手数料で手取りが減りやすい
- トラブル対応を一人で抱えやすい
- 集客・営業に時間を取られやすい
出張料理人は自由度ややりがいが大きい反面、安定性や経済面での負担が課題になりやすい働き方でもあります。
依頼件数によって収入が大きく変動しやすく、交通費や食材費などを差し引くと想定よりも手取りが少なくなるケースがあります。
さらに、キャンセル対応やトラブル処理を一人で担う必要があり、集客や営業にも時間と労力をかけなければなりません。
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自分に合う調理求人に応募する出張料理人は独立だけでなくホテルでも活躍できる
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出張料理人というと個人で活動するイメージが強いですが、近年はホテルが自社のサービスとして「出張料理プラン」や「ケータリングプラン」を展開している例も増えています。
ホテルに所属しながら出張サービスに関わることで、安定した環境と新しい経験を両立できるのが特徴です。
ホテルが展開する出張料理サービスの事例
札幌グランドホテル|アットホームレストランプラン
シェフが自宅に訪問し、家族の記念日や来客をもてなすホームパーティー向けに料理を提供するサービス。調理から配膳、後片付けまで行い、自宅にいながらホテルの味を楽しめるのが特徴です。
森のスパリゾート 北海道ホテル|ケータリングサービス
大人数の会合や社内行事などにシェフが出張し、洋食・和食・中華まで幅広いメニューを提供。お皿や備品もセットで用意されるため、会場をレストランさながらの雰囲気に演出できます。
こうしたサービスは、個人では対応が難しい大規模イベントや高級志向の需要に応えており、ホテルならではの強みが活かされています。
ホテル所属で出張料理人として働く魅力
ホテルに所属して出張料理サービスに携わる魅力のひとつは、安定収入や社会保険といった福利厚生が得られる安心感です。
独立に比べて生活基盤が安定するため、家族を持つ料理人にとっても働きやすい環境といえるでしょう。
ホテルでは大規模な調理設備や補助スタッフの協力を得られるため、準備から片付けまでを一人で担う必要がなく、調理に集中できます。
また、ブランドの信頼感があることも強みです。お客様からの期待や安心感が高く、初めての利用者ともスムーズに関係を築きやすいでしょう。
さらに、通常の厨房業務だけでは得られない経験を積めるのも魅力です。ホテル勤務をベースに出張サービスに携わることで、将来的なキャリアの選択肢を広げることにつながります。
\ホテル所属で出張料理サービスに挑戦!/
サービスのあるホテルにエントリーする出張料理人を目指すときに気になるよくある質問
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出張料理人に興味はあっても、実際に始める前に気になる疑問は多いものです。ここでは、出張料理人に関する質問をまとめました。
出張料理人になるのに資格は必要ですか?
食材は誰が準備するのですか?
集客はどうやって行うのですか?
\不安を解消したら次の一歩に踏み出そう/
宿泊業界の調理求人をチェックする出典:令和6年賃金統計調査/e-Stat 政府統計の総合窓口出典:札幌グランドホテルのシェフがご自宅に/札幌グランドホテル出典:ケータリングサービス/森のスパリゾート 北海道ホテル
ホテルの出張料理サービスで働くなら宿泊業専門求人サイト「おもてなしHR」
出張料理人は特別な資格や届出がなくても挑戦でき、案件単価が高い点や自由な働き方ができる点が魅力です。
一方で、依頼件数によって収入が変動したり、集客やトラブル対応をすべて自分で担わなければならなかったりするなど、安定性に課題もあります。
そのため、長年の調理経験を活かしながら安定収入や福利厚生を得たい方には、ホテル所属という働き方もおすすめです。
出張料理サービスを展開するホテルであれば、サポート体制の中でスキルを活かしつつ、新しい挑戦にも取り組めます。
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