初めて中途採用を行うことになり、どのように進めればいいのかと悩んでいる企業の採用担当者の方もいるのではないでしょうか。そんな方に向けて、今回は中途採用の基本的な流れと成功させるためのポイントをわかりやすく解説します。また、求人票の作成から面接の進め方、内定後のフォローアップをする際のコツなども一緒に確認しておきましょう。

中途採用とは

中途採用とは、すでに社会での就業経験を持つ人材を対象にした採用活動のことを指します。

新卒採用と異なり、即戦力として組織に貢献できる人材を求めるケースが多く、職種に特化したスキルや知識、経験を持つ人材を採用することが主な目的です。

中途採用は、ポジションに空きが出たときや新たな事業展開に伴う人員増強など、企業の戦略的なニーズに応じて実施されることがあります。

【初めての中途採用】企業が中途採用をすることで得られるメリット

中途採用は企業にとって、多くのメリットをもたらすことがあります。ここでは、企業側が得られる代表的なメリットを確認しておきましょう。

即戦力の採用が期待できる

新卒採用と異なり、中途採用では業界や職種での実務経験を持った人材を採用できる可能性があります。これにより、研修期間や業務習得の時間を短縮し、すぐに戦力として活躍してもらえることが期待できるでしょう。

特に、急な人員補充が必要だったり、新たなプロジェクトで専門的な知識やスキルが求められたりするような場面では、中途採用は有効な手段となりそうです。

業務効率化が期待できる

中途採用の人材は即戦力であることが期待されるため、業務プロセスの改善や効率化にも寄与する可能性があります。

特に、他社での成功事例や効率的な業務フローを持ち込むことで、既存のやり方に新たな視点が加わり、企業の業務改善に貢献することが考えられるでしょう。

これは、ほかの社員への刺激にもなり、組織全体の生産性向上にもつながるかもしれません。

採用プロセスを短縮できる

中途採用は、一般的に新卒採用よりも採用プロセスが短縮されるケースが多いといわれています。

なぜなら、中途採用者はすでにある程度の社会人経験を積んでいるため、企業が求める能力や適性を判断しやすいからです。

また、新卒採用は年に一度、企業ごとに決められたスケジュールに沿って行われますが、中途採用の場合は企業の人材ニーズに応じて通年で行われます。

欠員が生じた場合や事業拡大などのタイミングで随時募集がかかり、即座に人材を確保することになるため、採用スピードも早い傾向があるのが特徴です。

このような理由から、採用決定までの時間が短くなることがあります。特に、急ぎの採用案件では大きなメリットとなり得るでしょう。

【初めての中途採用】中途採用の基本的な流れ

ここでは、採用をスムーズに進めるために、中途採用の基本的な流れを押さえておきましょう。

1.採用ニーズの確認

中途採用を開始する最初のステップは、採用ニーズを明確にすることです。企業内でどのポジションに人材が必要かを確認し、その役割や職務内容を具体的に定義する必要があります。

この際、採用の背景となる理由をしっかり把握しておくことが重要です。たとえば、業務の拡大に伴う人員増強、欠員補充、もしくは特定の専門スキルの補完が必要な場合などが考えられるでしょう。

これにもとづき、採用するポジションに求められるスキルセットや経験、資格、さらには採用予定の人数を決定していきます。

2.採用計画の立案

採用ニーズが明確になったら、次は具体的な採用計画を立てていきましょう。まず、採用のスケジュールを設定し、どの時期にどのようなプロセスで候補者を選ぶかを計画します。

また、採用活動にかかる予算も確定させ、どのような手段で採用候補者や求職者にアプローチするかを決めていきましょう。

なお、中途採用では求人サイトや転職エージェント、リファラル（社員からの紹介）など、複数の採用手法を組み合わせて人材を募集することが多いようです。

関連記事

おもてなしHR

中途採用に適した採用手法とは？欲しい人材を獲得するために

現代では数多くの採用手法がありますが、中途の採用を行う場合、どのような手法で採用活動を行うべきなのでしょうか。まずは中途採用で重視するべき点を知り、ターゲットを絞り込むことで適切な採用の手法が見えてくるはず。中途採用の手法のトレンドについて、ご紹介していきましょう。

3.求人票の作成・掲載

採用計画が固まったら、具体的な求人票を作成していきます。求人票には、ポジションの職務内容や求めるスキル、経験に加え、会社の魅力や働く環境、給与や待遇についても詳しく記載しましょう。

これにより、候補者がそのポジションに自分が合うかどうかを判断しやすくなるからです。求人票の作成が終わったら、求人サイトや転職エージェントなどに掲載し、募集を開始させます。

4.応募受付・書類選考

求人の募集を開始したあとに応募があれば、応募者からの履歴書や職務経歴書が企業に集まってきます。

これらの書類をもとに、応募者が求めるスキルや経験に合致しているかどうかを判断し、書類選考を行っていきましょう。

書類選考で基準を満たした候補者には、次の面接ステージに進んでもらいます。書類選考は迅速に行い、応募者にタイムリーなフィードバックを提供することが重要です。

5.面接の実施

書類選考を通過した候補者には、1次面接から最終面接まで複数回の面接を実施していきます。

1次面接では、主に候補者のスキルや経験、これまでの実績を確認し、会社やチームとのマッチ度も見極めましょう。

2次面接では、より技術的な質問や具体的な業務内容に関する質問を行い、実際の業務遂行能力を深堀りして確認することが大切です。

そして、最終面接では役員や直属の上司などが参加し、最終的な採用判断を行うことになります。

6.内定・採用の提示

面接を通じて採用が決まった候補者には、内定を出しましょう。給与や待遇、入社日などの具体的な条件を提示した採用通知書を作成します。

この段階では、候補者と条件の交渉が発生することもあるため、柔軟な対応が求められるでしょう。給与や待遇について双方が合意に達したら、正式に内定を承諾してもらいます。

7.入社準備・新人研修

内定を受け入れた候補者がスムーズに業務に着手できるよう、入社準備を進めます。パソコンやデスクの準備に加え、必要な入社書類の手続きや研修の計画を整えておきましょう。

新人研修の初期段階では、会社のルールや業務プロセスを説明し、新入社員が早く組織に馴染み、戦力として活躍できるようサポートする必要があります。

8.入社後のフォローアップ

入社後も、定期的に新入社員に対してフォローアップを行うことが大切です。仕事の進捗やチームへの適応状況を確認し、必要に応じて支援を行いましょう。

特に中途採用者は、即戦力としての期待が高い反面、早期退職のリスクもあるため、適切なサポートを提供することで定着率を向上させられる可能性があります。

【初めての中途採用】求人票の作成のコツと注意点

求人票は、中途採用活動において求職者を惹きつけるための重要なツールです。ここでは、中途採用者向けの求人票を作成する際に押さえておくべきコツと注意点を紹介します。

明確かつ具体的な仕事内容を記載する

求人票には、具体的な仕事内容を明確に記載することが重要です。あいまいな表現を避け、求職者が実際にどのような業務を行うのかを想像できるようにしましょう。

たとえば、単に「マーケティング担当」とするのではなく、「SNSを活用したプロモーション戦略の立案と実行」などと記載することが大切です。

このように具体的な職務内容を記載することで、募集した求人に対して適切な候補者が集まりやすくなるでしょう。

求めるスキルと経験を具体化する

どのようなスキルや経験を求めているのかを明確にするようにしましょう。中途採用では、即戦力となる人材を採用するため、求めるスキルセットを具体的に記載することが必要です。

ただ単に「マーケティング経験」と記載するのではなく、「5年以上のBtoCマーケティング経験」や「SEOに関する専門知識」などのように具体的な表現にしましょう。

このように具体的に記載されていると、求職者が自分のスキルが条件に合うかどうかを判断しやすくなる可能性があります。

企業の魅力や働きやすさを伝える

求人票は、企業の魅力をアピールする絶好の機会でもあります。企業のビジョンやミッション、働きやすさ、福利厚生など、他社と差別化できるポイントを明確に記載しましょう。

たとえば、「フレックスタイム制度導入」「在宅勤務可」「年間休日120日以上」など、求職者にとって魅力的な情報を提供することで、応募を促進できる可能性があります。

応募条件を厳しくしすぎないようにする

求人票に記載する応募条件が厳しすぎると、優秀な人材でも応募をためらってしまうおそれがあります。

特に、スキルや経験の要件を必要以上に高く設定しすぎると、候補者の母数が減ってしまうかもしれません。

応募条件はできるだけ必要最低限の条件を示す内容にとどめておき、柔軟に考える姿勢を持ちましょう。

必要なスキルと歓迎されるスキルを分けて記載すると、より多くの候補者にアプローチできるかもしれません。

【初めての中途採用】面接の準備と成功する進め方

面接は、候補者のスキルや適性を見極めるだけでなく、企業の魅力を伝える重要な場でもあります。特に中途採用では、候補者がすでに他社での経験を持っているため、より具体的な質問や評価が求められるでしょう。

ここでは、面接を効果的に進めるための準備と成功させるための進行方法について解説していきます。

事前準備をしっかり行う

面接の成功は、事前準備にかかっています。まず、候補者の履歴書や職務経歴書を詳細に確認し、これまでの経験やスキルについて把握しておきましょう。

また、候補者に質問する内容を事前に考えておくことも重要です。特に、候補者の過去の実績や具体的な業務の取り組みについて質問することで、即戦力として活躍できるかを判断しやすくなるでしょう。

質問のバランスに注意する

中途採用では、候補者がどれだけ優れたスキルや経験を持っていても、企業の雰囲気や働き方に合わなければ、うまく仕事を進められないことがあり得ます。

そのため、候補者が企業の価値観やチームの雰囲気に合っているかどうかを確認することが重要です。

スキル面だけでなく、仕事に対する考え方やコミュニケーションスタイルについて質問するとよいかもしれません。

また、候補者が自分を十分にアピールできるよう、オープンな質問をすることも重要となります。

たとえば、「あなたのこれまでの経験で、特に誇りに思っているプロジェクトは何ですか？」など、自由に話してもらえるような質問を用意しておきましょう。

関連記事

おもてなしHR

中途採用で面接官側がするべき質問と心得とは？

中途採用の面接では、即戦力となるスキルがあるか、人物像が社風に馴染むかどうかをしっかりと判断しなければなりません。中途採用の面接官としての心得や、雇用のミスマッチを防ぐために有効な質問について解説します。

関連記事

おもてなしHR

中途採用面接で応募者の本心を見抜く質問をするためのコツ！

中途採用の面接中、応募者の本心が見えてこないと悩む面接担当者も少なくないはずです。応募者の本心を知るためにはどのような質問をすればよいのでしょう。面接官が、応募者の本心を見抜くコツとあわせ、本心を見抜くために活用しやすい質問例、ホテル・旅館への求職者の本心を見抜くための質問例をご紹介します。

企業の魅力を伝える

面接は、企業にとって候補者を選ぶ場であるだけでなく、候補者が企業を選ぶ場でもあります。

特に、ほかの企業にも応募している可能性が高い候補者には、企業の魅力や働きやすさをしっかりと伝えることが必要です。

たとえば、チームの雰囲気やキャリアパス、福利厚生の充実など、候補者が企業で働くことに興味を持てるような情報を具体的に伝えましょう。

評価基準を統一する

面接後に候補者を公平に評価するためには、面接官全員が同じ基準で判断することが大切です。

たとえば、スキルだけでなく、その人が会社の雰囲気に合っているか、将来的にどれくらい成長できそうかも考慮する必要があるでしょう。

そのために、評価のポイントをあらかじめまとめた「評価シート」を作っておくと、面接官が誰でも同じ基準で評価しやすくなります。

これにより、面接官ごとの主観的な評価を減らすことができるため、公平な選考が可能となるでしょう。

【初めての中途採用】内定から入社までのフォローアップ

中途採用のプロセスで、内定が決まったあとも重要なステップが残っています。それが、内定から実際の入社までのフォローアップです。

ここでしっかりと候補者とのコミュニケーションを取り、候補者のモチベーションを維持し、スムーズに入社を進められるように準備をしておきましょう。

採用通知書の発行

内定することを決めたら、正式な採用通知書を発行します。採用通知書には、給与や雇用条件、入社日など、候補者にとって重要な情報を明確に記載しておきましょう。

特に中途採用の候補者は、現職の退職手続きやスケジュール調整が必要な場合が多いため、条件を正確に伝えることが求められます。

入社前のコミュニケーション

内定を出したあとも、候補者と定期的にコミュニケーションを取ることが大切です。内定から入社までの期間が長いと、候補者の不安や疑問が生じやすく、他社からのオファーを受けるリスクもあります。

そのため、オリエンテーションの日程やチームメンバーとの顔合わせなど、入社前に会社と候補者がつながりを持てる場を設けると、候補者の安心感が高まるでしょう。

入社日前後の準備

候補者が入社する日までに、業務をする際に必要なものの準備を整えておきましょう。また、在籍する予定のチームや関係部署にも事前に周知しておくことが大切です。

さらに、最初の数日は社内のルールや文化に慣れてもらうための時間を設け、必要に応じて入社オリエンテーションや新人研修も行いましょう。

初めて中途採用を成功させるために事前準備をしっかりしておこう

初めての中途採用では、スキルや経験だけでなく、会社の雰囲気や働き方に合う人材を採用することが大切です。

中途採用には即戦力が得られるなどのメリットがありますが、成功させるにはしっかりとした準備と計画が必要となります。

求人票を丁寧に作成し、面接ではスキルだけでなく、会社との相性を確認することがポイントです。

また、内定後も候補者とコミュニケーションを続け、入社までフォローすることで、スムーズに採用活動を進められるでしょう。

おもてなしHRでは、宿泊業界に特化した人材採用の支援を行っています。スキルや経験が豊富な登録者の中から、求める人材像に合った方を紹介させていただきますので、ぜひご利用ください。

おもてなしHRに採用の相談をする