群馬県北西部の山あいにある、四万温泉。田村坂を上っていくと、茅葺の屋根が見えてきます。室町時代からおよそ500年。変わらずに守られてきた佇まいです。
しかし、一緒に旅館を守り続ける仲間探しにおいては、伝統を未来へつなぐために過去の慣習に固執せず、時代に合わせた新しい手法を柔軟に取り入れています。
今回お話を伺ったのは、この老舗旅館「温泉三昧の宿 四万たむら」(有限会社田村旅館)の社長であり、女将を務める田村さんです。
自家源泉の湯を守り継ぎ、親子代々のお客様を「お帰りなさい」と迎えてきた宿が、移り変わる時代のなかで、どのように新しい仲間と出会い、未来を見据えた組織づくりへと歩みを進めているのか。
おもてなしHRの担当者とともに歩んだ採用の工夫について、女将ご自身の言葉でお届けします。

四万たむらといえば温泉。500年、変わらずお客様の成長を見守り続ける
群馬県の山奥にあるこの場所に、なぜこれほど多くのお客様が足を運んでくださるのか。
それはやはり、本物の温泉があるからです。私たちは自然湧出の自家源泉を持っており、その湯量の豊富さは全国でも有数だと自負しています。
この温泉の魅力こそが「四万たむら」の最大の宝であり、それを絶やさず大切にし続けてきた歴史そのものが、私たちの強みだと思っています。
長く続けていると、嬉しい出来事にたくさん出会います。
昔、おばあちゃんに連れられてきていた方が、今度はご自身のお孫さんを連れて来てくださる。お子さんが大きくなって家族旅行の機会が減っても、「四万たむらにだけは一緒に来てくれるんです」と笑ってくださる。
私たちにとって、お客様を「お帰りなさい」とお迎えできることは何よりの喜びです。

象徴的なのは、やはり旅館の入り口にある茅葺き屋根の玄関です。小さなお子様連れのご家族には、必ずこの玄関の前での記念写真をご案内しています。
暖簾の大きさは昔からずっと変わりませんが、毎年写真を撮るたびに、お子さんの背が少しずつ伸びていきます。
その成長を、私たちも一緒に感じさせていただく。それこそが、500年の歴史なのだと思っています。
時代の変化とともに、「待つ採用」から「発信する採用」へ
こうした歴史がある一方で、働く人をめぐる環境は昔と今で大きく変わりました。
昔は、地元の娘さんたちが花嫁修業の一環として働きに来てくれるなど、地元の近い人たちが自然と集まってくれていた時代がありました。
しかし情報社会になり、進学で都会へ出た若者はそのまま都会で就職するようになります。学校の先生とのつながりで紹介していただく手法も徐々に減り、地元だけで採用をまかなうことは難しくなっていきました。
今は、求職者の方がご自身でインターネットの求人情報を見て、自分の条件に合う場所を選ぶ時代です。
旅館という場所で待っていれば人が来てくれる時代は終わり、自分たちから魅力を発信して、遠方からでも「ここで働きたい」と思ってもらえるように動かなければいけない。そう痛感するようになりました。
親身な提案から始まった、おもてなしHRとの出会い

そうした採用の手法を見直すなかで出会ったのが、おもてなしHRでした。きっかけは「就職・転職 合同説明会」でしたが、正直に言えば、最初は担当の方からのご提案を、まずは受け入れてみることから始まりました。
それまでの私たちは、ハローワークや限られた求人サイトを利用する程度にとどまっていました。
世の中の旅館が活用しているような大手の求人サービスには、費用の問題や心理的なハードルもあり、なかなか踏み出せずにいたんです。
だからこそ、おもてなしHRからお話をいただいたときは、できるだけ柔らかなスタンスで向き合ってみようと思いました。
費用をかけて新しい手法を取り入れることには慎重になりがちですが、「まずはやってみて、違っていたらその時にまた考え直せばいい」と。
伝統のある老舗ほど、新しい挑戦へのハードルは高いものだとよく言われます。
けれど、500年間、変わらないものを守ってきたからこそ、時代に合わせて変わっていくことを、私たちは決して恐れずにいたいんです。
女将の柔軟なスタンスと、現場の熱意が掛け合わさって
そんな私自身のスタンスもあり、自分一人ではできなかったことを、新しく四万たむらに入ってくれた仲間たちが「挑戦してみよう」という意気込みで形にしてくれています。おもてなしHRとの本格的なお付き合いも、その挑戦の一つでした。
当時、直接やり取りを行い、「ぜひ導入したい」と社内に強く提案してくれたのは、旅館の運営責任者である総支配人です。彼の中には、活気ある旅館づくりのための採用活動に対する強い熱意と覚悟がありました。
採用活動を行っている会社がすべて同じ環境ではないように、求職者の方も一人ひとり違います。だからこそ、施設の特徴や未来に対するビジョンを明確に伝え、求職者の個性をしっかりと感じ取ること。
そして、時代に合わせたデータに基づく採用活動を行っていくこと。それができれば、私たちは必ず前進できる。そうした現場の明確なビジョンが原動力となり、私たちの「新しい採用」は動き出しました。
動画での発信と、包み隠さない面接
具体的には、動画を使った発信などに挑戦しました。
これまでは求人票の文字や写真だけで伝えていましたが、私たちが話している動画や、スタッフが館内で働いている様子を撮影して発信することで、静止画では伝わりきらない「人が動いている生きた温かさ」を届けることができたと思います。
面白いことに、この動画は外部の方だけでなく、社内のスタッフからも「うちの旅館ってこういう魅力があったんだな」と再発見してもらえる良いきっかけになりました。
そして面接では、背伸びをせずに「この不便な山奥で、本当に暮らしていけるか」というリアルな問いかけを大切にしています。
どんな職種であれ、この環境を受け入れたうえで「ここで前向きに仕事をしたい」と思ってくれる人柄を何より重視して採用を行っています。
\「ここで働きたい」と思ってもらうために/
採用のプロに相談する課題から目を背けず、四万温泉「一山一家」で未来をつくる

新しい挑戦を続けていますが、採用の課題がすべて解決したわけではありません。経験豊富なキャリア層の採用にはまだ苦戦している部分もありますし、せっかく応募があっても連絡が途絶えてしまうこともあります。
高い費用をかけている以上、おもてなしHRに対しても「もっとご縁をつないでほしい」と本音をお伝えすることもあります。それでも、新たに入社してくれた未経験の若手スタッフたちは、本当に真面目で前向きに頑張ってくれています。
彼らが一生懸命働く姿を見ると、周りのベテランスタッフたちも「しっかり教えてあげよう」と活気づくんです。そうした良い相乗効果が社内に生まれ始めていることは、確かな成果だと感じています。
地域とともに歩む、これからの旅館の形
四万温泉には、昔から「一山一家(いちざんいっか)」という言葉があります。この山にある旅館やお店は、すべて一つの家族のように助け合って生きていくという精神です。
移住してきてくれたスタッフが長く定着するためには、旅館の中だけでなく、地域とのつながりやプライベートの充実が不可欠です。
今後は待遇面の改善とともに、地域の芸術祭などの活動と旅館の仕事を両立できるような、新しい働き方も提案していけたらと考えています。
何十年、何百年先も温泉文化を守り続けるために
「とりあえず、やってみよう」。私たちが軽やかに新しい挑戦へと踏み出せるのは、裏を返せば、何としてもこの場所を残していくという強い思いがあるからです。
未経験のスタッフでも、経験の浅いスタッフでも、あるいはベテランのスタッフでも。皆が時代の流れに合わせながら成長し続けられる環境をつくること。
そうすることで、これから先も「四万たむら」がこの素晴らしい温泉文化を守りながら、何十年、何百年と存在し続けられると信じています。
だからこそ、おもてなしHRには単なる求人活動の支援にとどまらず、スタッフのスキルアップに必要な研修なども含め、採用から人材育成までを一貫して伴走していただくことが私たちの理想です。
私たちは、500年の歴史を持っています。その伝統をただ守るだけでなく、今の時代に合った魅力をしっかりと発信し、この「一山一家」の精神に共感して一緒に未来をつくってくれる仲間と出会うために。これからも、チーム一丸となって歩みを進めていきます。
1
静止画では伝わらない、人が働く様子を発信する
2
「この山奥で暮らせるか」を正直に問いかける
3
時代に合わせ、勘ではなく根拠をもって動く
\あなたの宿の採用、ともに考えます/
おもてなしHRに相談する

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