ホテルの宿泊証明書とは?
ホテルの利用案内をよく読むと「宿泊証明書が必要なお客様はフロントにお申し付けください」と書かれていることがあります。この「宿泊証明書」は、何を証明するための書類なのでしょうか。
答えは、「宿泊証明書」という名前の通り、そのホテルに宿泊したという事実を証明するための書類です。領収書との違いや、宿泊証明書に記載が必要な項目、どんな用途があるのかについて見ていきましょう。
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宿泊証明書は何に使うの?
領収書は宿泊に掛かった金額や、支払が済んでいることを証明する書類です。
一方、宿泊証明書は「そのホテルに泊まった」という事実を証明する書類ですが、宿泊の事実の証明が必要になるのはどんな時でしょうか。宿泊証明書の用途を解説します。
出張の記録として勤務先に宿泊証明書を提出する
宿泊証明書のもっともポピュラーな用途は、出張の記録として、勤務している企業や団体に提出することです。いつ、どの社員がどこのホテルに宿泊したかという記録を残しておく必要があるのですね。
宿泊費の精算も兼ねて、領収書の提出のみで充分ではないかと思われるかもしれませんが、領収書には発行年月日は記載されても宿泊年月日までは記載されない場合があります。
また、企業によっては宿泊費用を実費ではなく一律の金額で清算する場合もあるので、領収書ではなく宿泊証明書の提出が必要になるのです。
福利厚生で旅行補助金を請求するときに宿泊証明書が必要
福利厚生や自治体の制度を利用し、社員旅行や町内会の行の補助金を請求するときも、宿泊証明書が必要な場合があります。
不正な請求でないことをしっかりと確かめなければいけませんので、領収書には記載されない宿泊日数や宿泊人数などが記載された宿泊証明書が必要なのですね。
宿泊証明書で提携する施設の優待サービスが受けられることも
宿泊証明書を提示することで、ホテルと提携する施設の優待サービスが受けられることもあります。
例えば、日本でいちばん来園者の多いテーマパークでは、混雑状況によっては入場制限が掛かる場合があります。そんな日でも、提携ホテルの宿泊証明書を見せれば確実に入場できます。遠方からはるばるやってきたのに入れない!という事態にならないので安心ですね。
その他、全国各地の観光地で提携ホテルの宿泊証明書を提示すると入場料の割引が受けられるなどのサービスが展開されています。
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宿泊証明書の発行を依頼されたら
お客様から「宿泊証明書が欲しい」と言われたら、ホテル側ではどうやって発行するのでしょうか。口コミサイトなどを見ていると稀に「宿泊証明書が欲しいと申し出たが、フロント係がなんのことだか分からない様子だった」という投稿があります。
宿泊証明書の何たるかを知らなければ、ホテル従業員として頼りないですよね。いざ発行を依頼された時に困らないよう、基本をしっかり押さえておきましょう。
宿泊証明書はフロント係が書くことが一般的
宿泊証明書の内容は、ホテルの従業員が記載するべきものです。発行が必要なお客様は、フロント係にその旨を申し出ますので、大抵の場合はフロント係が書くことになります。
お客様からお申し出があったら、必要項目やフォーマットを持参しているかどうかの有無を確認しましょう。
宿泊証明書に決まったフォーマットは無い
宿泊証明書には、特に決まったフォーマットは無く、最低限下記3点の情報があれば、宿泊した事実の証明にはこと足ります。
- 宿泊者名
- 宿泊日
- 宿泊施設の印鑑
しかしながら、提出先の規定によって必要事項が異なるため、上記に加えて宿泊人数や同行者の氏名、利用したプランなども書いてほしいと言われる場合があります。
宿泊証明書の用紙を備えたホテルもありますが、宿泊証明書に記載が必要な項目は人それぞれ違うのです。
お客様にとって必要な項目を記入する欄が無かったり、反対に不要な項目を記入する欄があったりするでしょう。そのため、必用項目を過不足なく記入できる用紙を持参するお客様も多いのです。
また、ホテルにも用紙の備えが無く、お客様も持参していなければ白紙に最初から作成するということもあり得ます。お客様の要望に合わせて、必要な情報を書いてあげましょう。
宿泊証明書は領収書の代わりにはならない
出張の記録や補助金の請求などに利用できる宿泊証明書ですが、領収書の代わりとして使うことはできないので注意しましょう。
宿泊証明書はあくまでも、宿泊した事実を証明するための書類で、金額の記載は必須ではありません。そのため、出張費の清算や確定申告には使用できないものなのです。
もし、お客様から「これって領収書の代わりにはなるんですかね?」などとと質問されて、うっかり「はい、領収書代わりにお使いいただけますよ」などと誤った案内をしてしまうと、後々クレームになる恐れがありますので覚えておきましょう。
宿泊証明書の発行は臨機応変に
出張慣れしていないお客様の中には「宿泊証明書の必要項が分からない」という方も居るでしょう。そんな時、「確認してからお申し付けください」と最初から突っぱねてしまうのはのは良くありません。
最低限「宿泊者名」「宿泊日」「泊施設の印鑑」があれば、宿泊の証明になるという基本を思い出してください。それをお客様に案内した上で、そのほか必要になりそうな項目が無いか聞いてみましょう。
それでも必要項目が分からなけば、最終的には提出先に確認してもらう他ありません。しかし、案内できる範囲のことは案内するのがプロフェッショナルな対応と言えるでしょう。
特に決まったフォーマットが無い宿泊証明書の発行は、最初のうちは戸惑ったり困ったりすることも多いかもしれませんが、臨機応変に対応してくださいね。