国内外で人気のファーム・ステイとは
「ファーム・ステイ」とは、名前の通り農業を体験しながら滞在する旅行のことを指します。牛や羊のお世話、野菜や果物の植え付けを体験しながら、言語や生活文化についての理解を深めることが目的とされています。
ファームステイは現在海外、国内ともに人気が高まっています。それぞれどんなプランがあるのか紹介します。
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日本から海外へ行くファーム・ステイ
日本国内から海外へ行くタイプのファーム・ステイは主に、農作業を体験しながら語学を学ぶことが目的です。ニュージーランドやオーストラリア、アイルランドは特に人気が高いエリアです。
農作業を体験しながら、ホストファミリーや近隣の人々と交流し、語学の理解を深めるのです。また、雄大な環境に囲まれた静かな場所にステイできるので自主勉強がはかどる点もメリット。ニューヨークやパリでは誘惑が多くて勉強に集中できない!という人に向いています。
海外でのファーム・ステイは、大きく分けて、下記の2種類のタイプがあります。
ホリデー型ファーム・ステイ
ホリデー型のファーム・ステイは、娯楽要素のある農作業がメインです。一般的なツアーパッケージと同じように、参加者がお金を払い、アクティビティとして以下のような農作業を体験させてもらいます。
- 羊やヤギの毛刈り
- 果物や野菜の簡単な収穫作業
- 牛の乳しぼり
- バターづくり
この他、乗馬や動物への餌やり、新鮮な作物を使ったクッキングなどが体験できることもあります。
また、農作業は任意なので疲れたら休んでも問題ありません。滞在に掛かる費用は、ステイ先にもよりますが、一週間で20万円以上が相場です。この他渡航費や、プランによっては学費も掛かるのでトータルで30万円~60万円くらいになるでしょう。
エクスチェンジ型ファーム・ステイ
もうひとつのファーム・ステイは「エクスチェンジ型」と呼ばれるものです。滞在させてもらう代わりに労働力を提供するタイプです。しっかりと働くことが求められますが、ホリデー型よりもずっと安く抑えられます。
受け入れ先によっては食費も労働力の提供で良しとしている場合もあります。50万円程度あれば半年~1年などの長期滞在が可能で、運が良ければ滞在費用が全くかからないということもあり得ます。
また、ワーキングホリデービザを活用し、賃金を貰って働くこともできます。本格的に海外の農業を学びたい人や、語学をしっかりと身に着けたい人におすすめです。
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海外へファームステイに行くには
海外でファーム・ステイを体験するにはどうしたらいいのでしょうか。ホテルに宿泊したり、観光地を巡るのとは違って難しそうなイメージを持つ人も多いのでは無いかと思います。
しかし実際はそれほど難易度が高いことではないのでご安心を。一般的な申し込み方法・手続きを紹介します。
留学エージェントやファーム・ステイのシステムサイトを活用
海外の農家に知り合いの伝手がある人はそう多くないですよね。日本人が海外へファーム・ステイをしに行くには、留学エージェントを使うことが一般的です。
留学エージェントはが提供するサービスには次のようなものがあります。
- ステイ先の確保
- 留学前のカウンセリング
- ビザ申請のサポート
- 語学学校の紹介、入学手続きの代行
- 航空券の手配
これだけのサポートを受けることができるので、どんな手続きが必要なのかも何から手を付けたらいいのかも分からない!という人でも安心ですね。
また、留学エージェントを通さずに海外の農家と直接交渉するという方法もあります。ファーム・ステイのためのシステムサイトがありますので、登録されている農家の中から条件の合うところを選んで申し込みます。
ビザ申請や航空券の手配もすべて自分でやることになりますが、エージェントを利用するだけの費用が抑えられるので、海外旅行に慣れている人にはおすすめの方法です。
ワーキングホリデービザが必要なことが多い
エクスチェンジ型のファーム・ステイの場合はワーキングホリデービザの取得が必要な場合が多いです。賃金が発生する場合はもちろん、滞在先の国によっては無給でも労働とみなされてワーキングホリデービザが必要になる場合もあります。
ファーム・ステイで自分が滞在する国で必要なビザの種類はしっかりと確認しましょう。
事前にアレルギー検査を受けましょう
農作業にあたる上で、注意したいのはアレルギーです。日本国内の生活ではとくにアレルギーの症状が出たことが無いという人でも、海外で馴染みのない動植物に触れて発症することがあります。
海外で病院に掛かるというのは、保険や医療通訳の依頼などの手続きが必要な場合もあり、なかなか大変なことです。そうならないためにも出発前にはアレルギー検査を受けることをおすすめします。
日本でもファーム・ステイを受け入れている
ここまで海外でのファーム・ステイについて紹介しましたが、日本の農家でのファーム・ステイも人気があります。日本のファーム・ステイは「農泊」とも呼ばれますが、農業の他、漁業や林業も経験できるプランがあります。それでは具体的に体験ができるのか見ていきましょう。
農業体験のファーム・ステイ
農業を体験するファーム・ステイは、畜産・酪農・農作物がメインです。海外のファーム・ステイ事情と同じく、農作業や自然遊びをアクティビティとして楽しむタイプから、住込みアルバイトとして本格的な労働を任されるところまでさまざまです。
宿泊する施設も、古民家を改装した民宿、機能的な寮、農家の人のご自宅に一緒に住むスタイルなど多種多様です。自分の希望に合ったステイ先を選びましょう。
漁業体験のファーム・ステイ
漁業体験のファーム・ステイは漁師さんが経営する民宿などに宿泊し、定置網を仕掛けたり、釣り船を出してもらうなど、アクティビティとして漁業を楽しむスタイルがほとんどです。
収穫したての海の幸を船の上で捌いてもらったり、漁師さん秘伝の料理を習うなどのお楽しみ要素が盛りだくさんで、釣り好きや美食家にはたまらない内容です。
このようなアクティビティとしての漁業体験がきっかけで、本格的な漁師の道に進む人も少なくありません。漁業に限らず、ファーム・ステイは新しい生き方を見つけるチャンスがあるのですね。
林業体験のファーム・ステイ
林業は今、深刻な人手不足が問題になっている業界です。人材確保につなげるための取り組みとして、林業を体験できるファーム・ステイが展開されています。
将来の仕事として考えてもらうためのファーム・ステイなので、樹木や森林についての知識や、道具の使い方を学び、林業の現場を見学するなどの学習プログラムが中心です。
林業に興味のある方はぜひ、参加してみてはいかがでしょうか。
訪日客にもファーム・ステイは人気
日本から海外へファーム・ステイへ行く人が居るように、海外から日本へファーム・ステイに来る人も居ます。訪日客にはどのようなファーム・ステイが人気なのでしょうか。成功事例を紹介します。
山梨県南アルプス市でにあるモモやサクランボなどのフルーツを栽培する果樹園には、年間約2000人もの外国人客が訪れるそうです。この果樹園は、労働力の提供と引き換えに宿泊場所を無償で提供しています。
長期滞在が可能なため、日本のものづくりや文化を深く知りたいと考える外国人から、受け入れきれないほどの申し込みが殺到しているのです。
また、農園主の方は英語のホームページを作成し、果樹栽培や日本で生活する上でのマナーも解説しています。
マナーについては受け入れを始めたばかりの頃には悩まされることが多く、トラブルも多発していたと言います。そこで、来日前にマナーの啓発や、マナーを理解しているかどうかの審査を行かなりの改善が見られたのだそうです。
言葉と生活文化の壁を取り払い、外国人が参加しやすいファームステイが実現できたのですね。
世界で広がるファーム・ステイ
「ロハス」や「健康」がトレンドで、団体旅行よりも個人旅行の人気が高まっている今、ファーム・ステイは地域活性化のチャンスがある分野です。経済面のみならず、農業の魅力や地域の文化を幅広く知ってもらうことができるでしょう。
農家の方や地方自治体の方はぜひ、ファーム・ステイへの参入を検討してみてはいかがでしょうか。