人手不足の職場で「仕事を辞める」と言えない理由とは?
人手不足に陥るのは会社の問題であり、従業員の責任ではありません。にもかかわらず「仕事を辞めたいけど人手不足だから言えない……」と悩んでしまうのはどうしてなのでしょうか。
代表的な理由を見ていきましょう。
上司の反応が怖くて言い出せない
人手不足の職場では、責任者がピリピリしていることが多いでしょう。
忙しく余裕のない状況で上司に「退職したい」と打ち明ければ、怒鳴られたり強引な引き止めに遭ったりするのではないかと怖くなってしまいますよね。
また、上司がいつもスケジュールに追われている状況で「退職の話を切り出しても取り合ってもらえないかもしれない……」と悩む人もいるのではないでしょうか。
辞めた後の職場が心配で言い出せない
ぎりぎりの人数で何とか業務を回している職場で働いていると「自分が辞めたらどうなるのだろう?」という懸念があって、辞めると言いづらくなるものです。
また「自分が辞めた後に連鎖退職が起こるのでは?」といった不安を抱く人もいるでしょう。
直近で退職した人がいて言い出せない
直近で退職した人がいて、まだ人員が補填されていなかったり辞めた人の仕事の割り振りが未定だったりという時期も「辞めたい」と言えなくなりがちです。
組織の体制が立て直されていないタイミングで辞めることに、申し訳なさを感じるのですね。
宿泊業界に詳しいアドバイザーが、あなたに合う職場をいっしょにお探しします。
宿泊業界での職務経験はありますか?
人手不足の状況から「辞めたい」と言えない場合に考えたいこと
「辞めたい」と思いながらも言い出せない人は、心のどこかに「辞めるべきではない」という気持ちを抱いている場合があります。
辞めるにしても続けるにしても後悔することがないように、本当に辞めるべきなのかどうかを考えてみましょう。考えるべきポイントは以下の3つです。
負担が許容範囲ではないか
人手不足の職場では、従業員ひとりあたりの業務負担が大きくなりがちです。その負担が許容範囲なのかどうかを考えてみてください。
例えば残業時間が増えた場合を考えてみましょう。感じる負担の大きさは人それぞれですが、36協定で定めた「原則月45時間・年間360時間」に収まっているのであれば、一般的には許容範囲と言えるでしょう。もし今の職場を辞めたとしても、転職先で同じくらいの残業があるかもしれません。
一方、月45時間を超える残業が常態化していたり残業時間が過労死ラインに達していたりする場合は、許容範囲とはいえません。重すぎる業務負担で心身を壊す前に、辞めた方がよいでしょう。
人手不足が解消されるなら続けたいか
「人手不足が解消されるなら続けたいかどうか」は、特にしっかり考えたいポイントではないでしょうか。人手不足によってどのような悩みが生じているのか、人手不足以外に不満点はあるのかといったことを、冷静に分析しましょう。
もし「人手不足が解消されるなら続けたい」という気持ちがあるのなら「辞めたい」と伝える前に上司などと話し合うことがおすすめです。退職せずに、抱えている悩みを解消する方法が見つかるかもしれません。
人手不足が解消される見込みはあるか
勤務先が「人手不足」という問題にどう向き合っているのかを見極めましょう。
人手不足解消のために採用活動をしている、業務負担軽減のため職場環境の改善を進めているといった動きがあるなら、しばらく様子を見ていてもよいかもしれません。適切な取り組みをしている企業であれば、人手不足がやがて解消される可能性があるためです。
一方、こうした取り組みを一切していない企業は「既存社員でなんとかなっているのだからこれで大丈夫」と考えているのかもしれません。そのような場合は人手不足が解消される見込みが薄いため、辞める決断をしてもよいでしょう。
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
人手不足の職場で「仕事を辞めたい」と言えないことによるリスク
人手不足の職場で辞めたい気持ちを我慢して働くことには、さまざまなリスクが伴います。
どのようなリスクがあるのかを理解すれば、一歩踏み出す勇気が湧いてくるかもしれません。考えられるリスクを見ていきましょう。
人手不足がさらに深刻化するリスク
あなたが辞めたいと思っている職場は、他の人にとっても辞めたい職場かもしれません。
「辞めたいけど言いづらい……」と悩んでいる間に他の従業員が辞めて、人手不足がさらに深刻になるリスクがあります。そうなれば、より多くのしわ寄せが来て、労働環境はますます過酷なものになるでしょう。
今よりよくない状況に陥る前に、辞めることが得策ではないでしょうか。
病気にかかるリスクがある
仕事に忙殺される上に「辞めたい」と言い出せないことは大きなストレスです。ストレスを抱えながら働き続けることで、心身共にダメージを受けるおそれがあります。
心の病気やストレスからくる胃痛などのリスクが高まりやすいので、限界を迎える前に退職に向けて動き出した方がよいでしょう。
転職のチャンスを逃すリスクがある
辞めたい会社に留まることで希望の転職をかなえるチャンスを逃してしまうリスクがあります。
特に、よい条件で働ける企業はライバルが多く、求人の募集がすぐに締め切られる傾向が見られます。「辞める」と決めたら素早く動くことが重要ではないでしょうか。
人手不足の職場で「仕事を辞めたい」と言えない……対処方法は?
辞めたい気持ちを我慢して仕事を続けることには、さまざまなリスクがあるのですね。しかし、人手不足が深刻な職場で「仕事を辞めたい」と伝えるのは勇気が必要なことかもしれません。
精神的な負担を軽減し、スムーズに伝えるための対処方法を紹介します。
転職先を決める
まずおすすめしたいのは、在職中に転職活動を進めて内定を得ることです。次の仕事が控えているため、言わないわけにはいかなくなります。
また、在職中に次の仕事を決めることは、経済的な困窮やあせって転職先選びに失敗するといったリスクの回避にも有効です。
在職中の転職活動については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご参照ください。
上司の反応別に対処方法を考えて臨む
「上司の反応が怖くて辞めたいと言えない……」と悩んでいる人は、反応を想定して対処方法を考えましょう。怒鳴られた場合や引き止められた場合にどう答えるかを決めておけば、落ち着いて話せるはずです。
また、就業規則や法律における退職の扱いを理解し、根拠として示せるように準備しておくこともおすすめです。それでもらちが明かなければ、弁護士や退職代行業者を頼ったり内容証明付きで退職届を郵送したりする方法もあります。
以下の記事では、引き止め対策について解説しています。併せてご参照ください。
引き継ぎをしっかり行う
「自分が辞めたら職場に迷惑がかかるのでは?」「仕事の仲間の負担が増えるのが心配……」といった理由で「辞めたい」と言い出しづらい場合は、引き継ぎをしっかり行うことを考えましょう。
確かに人手不足の職場にとって退職者が出ることは、大きなダメージになり得ることです。しかし、それは退職者の責任ではありません。退職者が果たすべき責任は、きちんと引き継ぎを行うことではないでしょうか。
辞めることに対して後ろめたさを感じる場合は「やるべき仕事を片づけてから辞める」と決意することがおすすめです。「自分の役割をまっとうして退職する」という心構えができれば、言い出しづらさが軽減されることでしょう。
転職エージェントに相談する
退職に関する不安は、転職エージェントに相談することもおすすめです。転職エージェントは希望にマッチする転職先を提案し、無事に入社するまで手厚くサポートしてくれる存在。
人手不足で「辞める」と言いにくい職場において、どのように切り出せばよいのかといったアドバイスも期待できます。また、転職活動に味方がいると思えば、退職の意思を伝えるための勇気が出るでしょう。
以下の記事では、転職エージェントの活用方法について詳しく解説しています。併せてご参照ください。
人手不足の職場でもまずは「仕事を辞めたい」と意思表示することが重要
「仕事を辞めます」と伝えてスムーズに辞められるかどうかは、伝えてみないと分かりません。
中には「人手不足で言いにくい……」と悩んでいても問題なく辞められるケースもあるのではないでしょうか。まずは自分の意思をしっかりと示すことが重要です。悩んだときは転職エージェントなども活用し、スムーズな退職をめざしましょう。
なお、ホテル・旅館の仕事に関する悩み事は、おもてなしHRが力になります。