統合型リゾート(IR)のメリット|観光・雇用・地域活性化への効果を解説

2025年、大阪・夢洲で統合型リゾート(IR)の建設が本格的に始まり、観光業界や地域経済に大きな影響を与えるプロジェクトとして注目を集めています。

IRとは、カジノやホテル、国際会議場、ショッピングモールなどが一体となった複合施設のことです。

観光客の増加や新たな雇用の創出、インフラ整備など、地域にもたらすメリットは多岐にわたります。

また、奈良・和歌山・神戸など周辺エリアでも、観光動線の変化によって新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があります。

この記事では、統合型リゾート(IR)がもたらす主なメリットや海外の成功事例などをわかりやすく解説します。

目次

統合型リゾート(IR)のメリット①|観光客の増加により地域経済が活性化する

統合型リゾート(IR)は、従来の観光施設とは異なり、長期滞在と高額消費を前提に設計された大型複合施設です。

開業によって、地域に新たな人の流れと経済効果を生み出すことが期待されています。

IRは長時間・高単価の観光を生む複合施設

統合型リゾート(IR)は、カジノを中心にホテル、国際会議場、ショッピングモール、エンタメ施設などが一体となった複合観光施設です。

これまでの「立ち寄り型観光」とは異なり、IRはその場に数日間滞在する前提で設計されており、地域内での消費額が高くなる傾向があります

特に、ショッピングやビジネス目的の展示会、エンタメなど多彩なアクティビティが集約されているため、富裕層や長期滞在を希望する訪日外国人の需要も取り込める可能性があります。

大阪IRは年間2,000万人超の集客を想定

大阪府と市は、夢洲に建設中のIR施設に対し、年間2,000万人以上の来場者を見込んでいます。

IRの開業は2030年秋を予定しており、すでに現地では工事が本格的に進行中です。

この巨大プロジェクトによって、関西一円への観光需要が集まり、訪日外国人をはじめとした多くの旅行者が大阪・関西圏に流入すると予測されます。

宿泊業にとっては“IR周辺需要”がチャンスに

IRそのものに宿泊機能は備わっているものの、すべての宿泊ニーズを施設内だけで賄うことは難しいと見られています。

とくに団体利用やMICE(会議・展示会・イベント)参加者、長期滞在者など多様な観光客が訪れる中で、大阪中心部はもちろん、奈良・神戸・和歌山といった周辺エリアへの需要波及も十分考えられます

宿泊業にとっては、こうした“IR周辺需要”をいかに取り込むかが重要です。

IRでは提供しにくい温泉や地域食文化、自然体験などを活かした差別化が、宿泊施設選びの決め手となるでしょう。

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統合型リゾート(IR)のメリット②|雇用創出で地域に新たな働き手が生まれる

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統合型リゾート(IR)の建設・運営にあたっては、幅広い業種・職種で人手が必要になります。

地域に新たな雇用を生むだけでなく、既存の宿泊業とも人材ニーズが重なることから、経営者として人材戦略の見直しを考えるタイミングと言えるでしょう。

IR建設・運営には多様な職種が必要になる

IRは、建物をつくる段階から、開業後の施設運営に至るまで、非常に多くの人材が関わるプロジェクトです。

建設段階では建築・設備関連の技術職、開業後はホテル・レストラン・ショップ・エンタメ施設などで働く接客・管理系スタッフなど、多岐にわたる職種で人材が必要になります。

地元で暮らす人々にとって、新たな就職・転職の選択肢が生まれることはもちろん、観光業界における人材の流動性や競争が高まる要因にもなり得ます。

大阪IRでは年間最大8万人の雇用創出が見込まれている

大阪府の試算では、IR整備によって建設段階で約5万人、運営段階で最大8万人の雇用が生まれるとされています。

すべてが長期雇用とは限りませんが、IRの開業によって継続的な人材需要が発生することは確実です。

その影響はIR施設内だけにとどまらず、観光動線の広がりとともに、大阪を中心に奈良・京都・神戸など周辺地域へも波及していく可能性があります。

宿泊業とも親和性の高い人材ニーズが広がる

IR施設内で必要とされる人材には、宿泊業と共通する職種が多数含まれます。

たとえば、フロント業務・客室清掃・ホール接客・厨房スタッフ・警備などは、旅館・ホテルでもおなじみのポジションです。

そのため、業種間で人材の獲得競争が激しくなる可能性も否定できません。

今後、人材の確保や定着率の向上が、宿泊施設の安定経営における重要なテーマとなっていくでしょう。

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統合型リゾート(IR)のメリット③|インフラ整備が地域全体の魅力を底上げする

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統合型リゾート(IR)の整備は、施設単体の建設にとどまらず、交通アクセスや周辺インフラの強化にも波及効果をもたらします。

こうした整備が進むことで、IRを起点とした広域的な観光回遊や、地域全体の観光価値の向上が期待されています。

アクセス改善で観光地としての回遊性が向上

IRが建設される大阪・夢洲では、鉄道の延伸や道路の整備といった交通インフラの整備が進められています。

これにより、大阪市内はもちろん、奈良・神戸・京都など周辺エリアとのアクセスもスムーズになります。

従来は移動のハードルがあった観光地も、IRに来たついでに足を延ばすという選択肢として注目されるようになるでしょう。

結果的に、関西全域における観光動線が再構築され、エリア全体の回遊性が高まることが見込まれます。

言語・決済など訪日外国人向けサービスも強化

IR施設では、海外からの観光客を前提に、多言語対応やキャッシュレス決済などが当たり前のサービス水準として求められます。

こうした基準は、次第に周辺施設にも波及していくと考えられます。

たとえば、案内表示の多言語化や、外国人にとって使いやすい予約・決済システムなど、宿泊施設にも対応の見直しが求められるでしょう。

IR整備は、インバウンド対応力を一段引き上げるきっかけにもなり得ます

地域全体の観光資源価値が高まりやすくなる

IRのような巨大観光施設ができると、「ついでに周辺地域にも立ち寄ってみよう」という動きが自然と生まれやすいです。

とくに訪日客は、日本の歴史や自然、伝統文化への関心が高く、IRからのアクセスが整えば、近隣地域の観光資源が見直されるきっかけになります。

地域に根差した食文化や温泉、自然景観など、IRでは提供できない“地元ならでは”の体験が再評価されることで、宿泊業や観光業の新たな強みにもつながります。

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統合型リゾート(IR)の海外成功事例

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統合型リゾート(IR)は世界各国ですでに導入されており、観光振興や経済活性化、雇用創出といった多くの成果を上げています。

ここでは、代表的な成功事例としてシンガポールとアメリカ・ラスベガスの2都市を紹介します。

  1. シンガポール
  2. ラスベガス

シンガポール|IR導入により観光客数・収入ともに大幅増を実現

IR導入によるインパクトは、数値にも明確に表れています。

シンガポールではIR開業からわずか4年で観光客数が約60%、観光収入は約90%増加しました。

この背景には、民間事業者による集客施設との一体整備という成功戦略があります。

マリーナ・ベイ・サンズ

  • ホテルに加えて、国際会議場・展示場(最大4万5,000人収容)を併設
  • MICE需要の取り込みに成功し、高額消費層の長期滞在を実現

リゾート・ワールド・セントーサ

  • ユニバーサル・スタジオ、水族館、博物館などファミリー向け施設が充実
  • カジノの収益を観光施設に再投資し、国全体の観光価値向上と財政にも寄与

シンガポールのように、観光・ビジネス・家族向けコンテンツをバランスよく備えることで、大阪IRも持続的な地域活性化につながる可能性があります。

ラスベガス|IRを軸に“エンタメ+ビジネス”都市として進化

ラスベガスは、世界有数のカジノ都市として知られる一方で、統合型リゾート(IR)を活用し、観光・ビジネス・先端技術の集積地として進化を続けています。

大型コンベンションの誘致に成功

  • 「CES」など国際展示会・企業イベントの開催地として高い実績
  • カジノだけでなく、MICE需要の獲得に注力
  • プライベートイベントなどを通じて、ビジネス層の集客も強化

家族向けエンタメ都市への転換

  • エンタメショー・コンサートなどが充実し、家族で訪れられる観光都市へ進化
  • カジノを軸としつつ、娯楽の多様化によりリピーター層の拡大に成功

イノベーションの実証都市に

  • 自動運転レンタカー、スマートシティ化、5Gインフラなど先端技術の導入拠点に
  • 市と企業が連携し、観光・生活の両面で新たな価値を創出

ラスベガスのように、「IR=ギャンブル施設」という固定観念を越え、地域全体の再設計・価値創出のハブとして育てられるかが、大阪IRの今後を左右するといえるでしょう。

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統合型リゾート(IR)がもたらす懸念点と具体的な対策

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統合型リゾート(IR)には多くのメリットがある一方で、周辺の宿泊施設にとっては無視できないリスクもあります。

ここでは、代表的な3つの懸念と、それぞれの対策について整理します。

宿泊施設との競合激化が懸念される

IR施設内には高級ホテルの開業も予定されており、富裕層やビジネス層といった宿泊ニーズがIR内に集約されることで、周辺の宿泊施設との間で顧客の奪い合いが起きることも考えられます。

人材の流出と採用難のリスク

IR開業により、条件のよい求人が一斉に増えることで、周辺施設の人材確保が難しくなるおそれがあります。給与以外にも、働きやすさややりがいを感じられる職場づくりが求められます。

地域連携不足による取り残され懸念

IRだけで完結してしまうと、地域への経済波及効果が限定的になるおそれがあります。自治体やDMOとの連携を深め、地域全体で観光ルートや体験パッケージを設計する視点が重要です。

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統合型リゾート(IR)に関するよくある質問

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統合型リゾート(IR)の開業は、宿泊業や地域観光にとって大きな転換点となる可能性があります。ここでは、IRに関するよくある質問をまとめました。

統合型リゾート(IR)の整備によって、宿泊業にはどのような影響がありますか?

宿泊需要の拡大と同時に、競争環境の変化が見込まれます。IR開業により、周辺地域にも観光客が流入し、宿泊業にとっては大きなチャンスとなりますが、IR施設内のホテルと競合する可能性もあります。地域特性を活かした差別化が、今後の経営における重要な戦略となるでしょう。

統合型リゾート(IR)の経済効果は本当に周辺地域にも波及しますか?

IRは地域全体に観光客を呼び込む“ハブ”としての役割を持ちます。実際、インフラ整備や周遊ルートの拡大により、奈良・京都・神戸など広域にわたって観光需要が波及する動きも見込まれます。IRを地域全体で活かす視点が、波及効果を最大化するカギとなります。

統合型リゾート(IR)の開業で、人材の確保は難しくなりますか?

IRでは宿泊業と共通する職種の求人が増えるため、人材の流動が活発になる可能性があります。高待遇求人に人材が流れるリスクもあるため、職場環境や育成制度の見直しが求められます。採用だけでなく「辞めない環境づくり」が重要な時代に入るでしょう。

統合型リゾート(IR)の建設によって地域の治安や風評に悪影響は出ませんか?

IRにはカジノが含まれるため、一部で治安悪化への懸念もあります。ただし、厳格な入場規制や依存症対策が法律で定められており、運営管理体制の整備が進められています。地域との信頼関係構築が、風評リスクの抑制にもつながるでしょう。

統合型リゾート(IR)の開業を見据え、どんな準備が必要ですか?

まずは、自社の強みの見直しと人材戦略の再構築が必要です。IRによる変化を脅威ではなくチャンスと捉え、自社ならではの魅力やサービスを磨きましょう。地域連携やインバウンド対応も含め、今から準備しておくことが大切です。

統合型リゾート(IR)整備に備え、今こそ経営と採用戦略の見直しを

IR推進法の施行により、観光・宿泊業界には大きな変化の波が訪れようとしています。

集客チャンスと同時に、競争激化や人材確保の難化といった課題にも向き合う必要があります。

今こそ、自社の特色を活かした経営と採用のあり方を見直すタイミングです。

地域に選ばれる宿泊施設であり続けるために、持続的な人材戦略を検討してみませんか。

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