有給休暇が余ったら?繰越できる?
有給休暇はそもそも、勤続年数や毎月の勤務日数に応じて付与される、賃金が支払われる休暇日のことを言います。条件を満たした従業員に毎年一定の有給休暇を付与することが「労働基準法」によって、義務付けられています。
- ・雇入れの日から起算して、6カ月間継続的に勤務していること
- ・その6カ月間の全労働日の8割以上を出勤していること
上記2つの条件を満たす全ての労働者が、有給休暇付与の対象者です。全ての労働が対象ですので、正社員以外の雇用形態であっても付与されます。
有給休暇が付与されるタイミングや日数は、雇用開始日や雇用期間によっても変わります。有給休暇を使用することは、労働者の権利であることから、使うために特別な理由は必要ありません。必要なタイミングで有給休暇を申請することが可能です。
そうはいっても、付与された日数全てを使いきれないということもあるでしょう。正社員の場合、年間の有給休暇日数は、最低で10日間、最高で20日間です。所定休日に加えてそれだけの日数休むというのも、困難な場合もありますよね。
使うのは権利でありながら、使い切ることは難しい。そういった場合であっても、条件を満たせば、余った有給休暇は翌年に繰越すことができます。繰越し可能な期間、日数については制限があるので注意が必要です。
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有給休暇の繰越に時効はある?
余った有給休暇は、使い切るまで永遠に繰り越せるのでしょうか?有給休暇の繰越期限についてご紹介します。
有給休暇の繰越期限
有給休暇の繰越には期限があります。有給休暇の最初の付与日は、雇用開始日から6カ月後と定められています。その後は1年ごとに、勤続年数に応じた日数が付与されます。
有給休暇の請求権の行使、つまり使用期限は、2年とされています。2年か経過すると時効となり、自然消滅してしまいます。付与された年に使い切れなかった場合、翌年までであれば繰越すことができます。
正社員入社した人の場合、入社6カ月が経過すると10日間の有給休暇が付与されます。最初に付与された有給休暇を一切使用しないまま2年目の付与日を迎えたとすると、20日以上の有給休暇を保有することになります。
繰越が発生した場合、消化する順番については特に定めはありませんが、繰越期限のことを考えれば、前年度に付与されたものから先に消化することが一般的です。本年度分から消化する場合、就業規則にその旨が記載されていることもありますので、確認すると良いでしょう。
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有給休暇の繰越に日数制限は?
有給休暇の繰越に時効があるのなら、日数にも制限はあるのでしょうか?余ったら余った分だけ繰り越せるのでしょうか?付与日数と繰越日数の関係についてご紹介します。
付与日数と繰越日数
有給休暇の付与日数は、勤続年数によって段階的に増えていきます。
勤続年数が長ければ長いほどに付与日数は増えていきます。正社員の場合は、初年度となる入社6カ月のタイミングで10日間。勤続年数が6年半を超えると年間で20日間もの有給休暇を保有することになります。付与日数の上限は20日間ですので、6年半以降は毎年20日間の有給休暇が継続的に付与されます。
段階的に増えていくことは嬉しい話ですが、全て消化しなければならないとなると、難しいこともあるでしょう。その場合は当然、翌年に繰越すことになってしまいますね。
有給休暇の繰越日数には、40日間の日数制限があります。例えば、6年半目に20日間の有給休暇を付与された場合。7年半目の付与日を迎えた時点で全く使っていなれば、20日間の繰り越し分と合わせて、40日間の有給休暇を保有することになります。
40日間もの有給休暇を消化するとなると、かなり計画性を持って業務を進める必要がありますね。それだけの日数を保有している場合は、退職日に合わせて使い切るように調整することもあるでしょう。
繰越時効が過ぎた有給休暇はどうなる?
繰越時効の2年間、繰越上限日数の40日間。超えてしまった場合はどうなるのでしょうか。これらの繰越時効・繰越上限日数は、法律によって定められた最低限の期間・日数です。
時効が3年であったり、繰越上限日数が60日であったり、企業によって独自に定めている場合もあります。いかなる場合であっても、時効や日数が超えてしまえば、自然消滅するものに変わりはありません。計画的な使用、自主的な使用も大切です。
有給休暇の繰越には制限があることを知っておこう
有給休暇を使うのは特別な時……と、使うのをためらてしまったり。もったいないように思ったり。積極的に使うのを難しく感じることもあるかもしれません。
有給休暇は、労働者の権利です。心身の疲労を回復させて、日々の業務をより効率的に進めることを目的とした休暇なのです。使用するために特別な理由は必要ありません。
せっかく付与された有給休暇。時効や繰越日数が超えたことを理由に、自然消滅してしまった……ということがないよう、意識的に使用することをおすすめします。