感染症にかかると出勤停止になる?
感染症にかかったら接触を避け感染を広げないようにすることが重要ですが、そうとわかっていても、仕事の責任から無理をしてでも出勤しようと考える人は少なくありません。
ですが、感染症に罹患した人が出社してしまったら、感染は広がるばかりですよね。そんな状況を防ぐため、感染症にかかった社員に対して、会社側が出勤停止を命じる場合があります。
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感染症による出勤停止に関する法律
日本では、感染症法や労働安全衛生規則において、ある一定の感染症にかかった場合、出勤停止の措置を取ることが定められています。
代表的な感染症は、エボラ出血熱やコレラ、SARSなど、感染のリスクが高く甚大な被害をもたらすと考えられるものです。
また、感染症にかかった従業員が出社し職場内に感染を広げてしまうと、業務全体に支障をきたす可能性があるため、会社によっては就業規則に感染症での出勤停止を定めているケースもあります。
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出勤停止になる感染症とは?
感染症といっても、感染から発病するものもあれば、ほとんど症状がなく終わってしまうものなどその種類はさまざまです。
以下の疾病にかかった場合、「感染症等による出勤停止」の扱いとなります。
- 感染症法第18条における就業制限の対象となる疾病
- 労働安全衛生規則61条による就業禁止の対象となる伝染性の疾病・その他の疾病
上記の感染性の疾病は、感染症法第6条により次のように定められています。
感染症法で就業制限の対象となっている感染症
<一類感染症>
エボラ出血熱、痘そう、ペスト、ラッサ熱など
<二類感染症>
急性灰白髄炎、結核、SARS、鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ)など
<三類感染症>
コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症など
労働安全衛生規則で就業禁止の対象となっている感染症
<四類感染症>
E型肝炎、A型肝炎、狂犬病、鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ以外)、マラリアなど
<五類感染症>
インフルエンザ(鳥インフルエンザ・新型インフルエンザを除く)、ウイルス性肝炎など
その他にも、指定感染症(新型コロナウイルス感染症)、新型インフルエンザ、再興型インフルエンザなどの分類があります。
また、感染症法による就業禁止は、各都道府県知事の通知による対応になりますが、労働安全衛生法によるものは、産業医等の指示や意見を聞いた上での判断となります。
労働安全衛生法による感染症の場合、予防措置がとられていれば就業禁止の対象にはなりません。法律の性質の違いによって出勤停止の対応は異なりますので、注意が必要です。
これらの法律によると、ノロウイルスは出勤停止の対象には含まれていません。
ただし、飲食店などの食品を取り扱う業種においては、ノロウイルス感染者が従事することで大規模な食中毒を引き起こす可能性があります。
そのため、法律上で定められていなくても、厚生労働省により、出勤停止の処置をとることが望ましいと指導されています。
また、福祉施設や医療関係施設など、免疫力の低い高齢者や乳幼児などと接する職場においては、ノロウイルスによる出勤停止を就業規則として定めている場合もあるようです。
感染症で出勤停止になった場合のお給料は?
感染症によって出勤停止となってしまった場合、気になるのがその期間のお給料ですよね。体調不良により会社を休む場合、次の二つの手段によって収入を確保することができます。
有給休暇の利用
感染症にかかったことで出勤停止が命じられた場合、有給休暇を利用することが可能です。ただし、有給休暇が残っていない場合は欠勤になるので前もって確認しておきましょう。
休業手当の申請
休業手当とは労働者の生活の保護を目的とした制度のことです。法律で指定されている感染症のほか、会社の就業規則により定められている感染症に感染した場合、休業手当を申請することができます。
出勤停止とは?出勤停止の意味から給料の扱いまでまとめて紹介!
出勤停止になる可能性がある感染症を知っておこう!
感染症に罹患した場合、法律や会社の規則によって出勤停止を命じられることがあります。
感染症は誰しもがかかる可能性がある疾病ですから、万が一のことを想定し、感染症による出勤停止のルールや会社の就業規則をしっかり確認しておきましょう。
また、会社から出勤停止を命じられた場合には休業手当を申請できるケースもあります。有給休暇が利用できない場合や利用を望まない場合の手段として、知識を深めておくことも大切ですね。