ホテルの外貨両替対応を把握しよう
2020年12月現在はインバウンド客が激減している状況ですが、あらゆる国からお客様が訪れるホテルでは、外貨から日本円への両替対応をしていることが多いです。
インバウンド需要が回復する時に備えて、外貨両替のルールやホテルでの対応方法をしっかり押さえておきましょう。
日本人が海外旅行で遭遇したホテルでの両替トラブル事例についても紹介します。ぜひ、事例から、外貨両替に対応する際の注意ポイントを考えてみてください。
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外貨両替の概要と基本ルール
頻繁に海外に行く人や、為替取引をしている人でなければ外貨両替にはあまり馴染みが無いですよね。まずは、外貨両替の概要と基本ルールから見ていきましょう。
外貨両替とは、ある国の通貨を別の国の通貨に替えることを指します。換算額は日々変動するレートによって決まり、レートは両替を行う機関によっても差があります。
また、手数料も発生するため換算額から手数料を差し引きし、残った分が両替後の受渡し通貨ということになります。
日本円から外貨に両替する場合はレートが低いほうが多くの外貨が手に入り、外貨から日本円にする場合はレートが高いほうが、多くの日本円を受け取ることができます。この差額で利益を得ることを狙うのが為替取引なのですね。
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日本のホテルでの外貨両替方法
日本のホテルでは通常、外貨から日本円への両替のみの対応をしています。逆はできないホテルがほとんどなので、案内時には注意しましょう。レートは銀行と同じくらいの場合が多く、取引銀行と同一にしているということもあるようです。
それをふまえて、日本のホテルにおける外貨両替の方法を見ていきましょう。
フロントで外貨両替
シティホテルやリゾートホテルなど、高級志向で規模の大きなホテルではフロントで外貨両替の対応をしています。
数字の入れ替えができるパネルを用いて、その日のレートをお客様の目に付くところに張り出していることが一般的。取引の透明性を示すことで、お客様が安心して外貨両替を利用できるのですね。
フロントでは申込書に必要事項を記載していただき、ホテルによっては本人確認書類をチェックした上で、外貨両替を行います。
自動外貨両替機での対応
ビジネスホテルやカプセルホテルなどでは、自動外貨両替機を導入してインバウンド需要に対応していることが多いです。
また、シティホテルなどでもフロントでの外貨両替対応に加え、外貨両替機も設置していることがあります。
自動外貨両替機は24時間利用できて多言語対応している上に、本人確認書類も不要。また、フロントよりも多種類の外貨を両替できたり、優待レートのクーポン券が使えるものもあります。
そして何より、計算間違いや言葉の壁による勘違いといったトラブルが無く、スムーズに外貨両替を完了できる点がメリットではないでしょうか。
インバウンド客の増加に伴って、2014年ごろから自動外貨両替機を導入するホテルが増えています。
ホテルのフロントでの外貨両替はトラブルに注意!
外貨両替は、何かとトラブルが起こりやすい取引です。日本のホテルの外貨両替は公正明大であると言われていますが、海外ではどうなのでしょうか。
ここでいくつか、海外旅行で両替トラブルに遭遇した日本人観光客の事例を紹介します。事例を把握し同じようなトラブルを起こさないように気をつけましょう。
高い手数料でびっくり
ある女性がフランス旅行にて、「トラベラーズチェック」と呼ばれる小切手をユーロに替えたときの話です。
その女性は宿泊しているホテルで両替ができるということだったため、手数料などをよく調べないまま利用したそうです。
フロントの担当者から早口のフランス語で説明されて、意思疎通に苦労しながらなんとか両替はできたものの、手数料が30%も掛かってしまったのです。
手数料についての説明や掲示物はあったのでしょうが、語学力不足で理解できず、泣く泣く諦めたということでした。
このケースにおけるホテル側の落ち度は、手数料の高さではなく海外から来たお客様に対して分かりやすい説明をしなかった点でしょう。
外貨両替はそもそも、海外からのお客様の利用を想定したサービスです。にもかかわらず、多言語対応していないというのはおかしな話ですね。
レートが悪く詐欺に遭った気分
ある女性はハワイのホテルで日本円を米ドルに両替した際「なんだか少ない」と感じたそうです。
そのホテルでは両替後のレシートも発行されず、おかしいと思って英語で交渉を試みたものの、「何を言っているのか分からない」という顔をされ、まともに取り合ってもらえなかったということです。
後に、旅行のガイドブックで「ハワイでは空港や銀行以外ではレートが悪い」という旨が記載されているのを見つけ、納得したと語っています。
最終的に納得できたとはいえ、観光中も「詐欺にあったのでは?」とモヤモヤして楽しめなかったのではないでしょうか。フランスの例と同じく、ホテルの多言語対応不足と説明不足でお客様が残念な思いをしたケースです。
両替後に金額が合わないことが発覚!
最後に紹介するのは、ドイツの街中にあった両替所での出来事です。
ある男性はその両替所で10万円の日本円をユーロに替えました。担当者が電卓を使ってきちんと計算をしている様子だったので信頼し、提示された額で両替したとのことです。
しかし、両替所を出てから自分で計算してみたところ、どう考えても100ユーロほど足りなかったのです。
すぐに引き返して金額が足りない旨を伝えるも「きちんと計算しているので問題ない」の一点張り。ドイツ語も英語もあまり話せないので諦めるほか無かったそうです。
この両替所の担当者に悪意があったのか、ミスだったのかは何とも言えません。しかし、悪意のないミスであったとしても両替を頼んだ側からすれば「カモにされた」という印象が残りますよね。
日本のホテルで外貨両替の対応をする際も疑いを掛けられぬよう、分かりやすい説明と正確な計算を厳守しましょう!
外貨両替にスマートに対応できるホテルを目指そう
外貨両替は空港などでもできますが、混雑しがちな空港よりもホテルで落ち着いて両替しようと考える人は多いものです。
インバウンドのお客様で再びホテルが賑わうようになれば、高い需要が見込まれます。
ホテルスタッフの対応スキルを磨くとともに、自動外貨両替機の導入なども検討して備えましょう!