DDカード・ドンディスカードの提供を見直そう
DDカード・ドンディスカードと呼ばれるドアプレートは、ホテルの客室のつきものです。
「Please Do not disturb(起こさないでください)」もしくは「Please Make up the room(部屋を清掃してください)」と書かれたドアプレートを客室のドアの外側に掲げておくことで、お客様はホテルで快適に過ごすことができるのです。
そんな便利なDDカード・ドンディスカードですが、時としてトラブルの原因となることがあるのです。また、防犯の観点から良くないという意見もあります。
DDカード・ドンディスカードの適切な提供方法を、今一度考えてみましょう。
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DDカード・ドンディスカードが原因で起こり得るトラブル
DDカード・ドンディスカードは本来、お客様の眠りを妨げることなく、都合の良いタイミングで清掃を行うためのものですよね。それによって発生する恐れのあるトラブルとは、どのようなものなのでしょうか。トラブルの事例を解説します。
お客様による掛け間違い
「起こさないでください」と「部屋を清掃してください」が非常に似たデザインであったり、両面印刷である場合、お客様が掛け間違えることが考えられます。
それによって外出中に清掃して欲しかったのに清掃されなかったり、寝ている時に清掃係が入ってきてしまうといったことが起こり得るのです。
他のお客様にいたずらされる
まれに、他人の客室ドアに掛かっているDDカード・ドンディスカードの裏表をひっくり返したり、カードを持ち去ってしまう人がいるそうです。
ホテルの従業員はもちろん、自分が見たタイミングで表示されているメッセージで判断するしかなく、場合によっては非常に気まずい状態になることもあるでしょう。
DDカード・ドンディスカードをしっかりと目視した上でドアをノックしても、重いクレームに発展するリスクを孕んでいるのです。
無銭宿泊のために悪用される
あるホテルでは、無銭宿泊をした人が請求されることを避けるために「起こさないでください」の表示にして立てこもったという事件があったそうです。
また「起こさないでください」の表示で客室にいるように見せかけて、お金を払わずに逃げる手口もあるので注意が必要です。
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DDカード・ドンディスカードによる防犯上の懸念
2017年の10月、ラスベガスで銃乱射事件が起こりました。58人が死亡、546人が死亡するという凄惨なテロでしたが、その犯人がホテルに連泊している間「Please Do not disturb」のドアプレートを出し続けていたそうです。
ホテルの従業員を客室に入れないようにした上で、複数の銃を持ち込むなど、テロの準備を進めていたのです。
この事件により「ホテルスタッフが頻繁に客室に出入りしていれば、準備に気が付いてテロを防げたかもしれない」という声が挙がり、DDカード・ドンディスカードのあり方を変えていこうという動きが始まりました。
「Please Do not disturb」が出ていても、24時間あるいは48時間以上継続して客室にこもることはできないと決めたホテルもあれば、DDカード・ドンディスカードそのものを廃止したほうが良いのでは?と考える人もいます。
お客様に快適な滞在を提供することはホテルの使命であり、DDカード・ドンディスカードはその使命を果たすための重要なアイテムです。しかし、この事件のように、ホテルが犯罪の温床となってしまう危険性を孕んでいるのですね。
安全・安心なDDカード・ドンディスカードの提供方法とは
DDカード・ドンディスカードを安心・安全に使っていただくためには、提供方法を見直す必要があります。犯罪やトラブルの要因となることを防ぐためにできる工夫や、注意するべきポイントを見ていきましょう。
片面印刷や色違いにする
お客様による掛け間違いを防ぐには、片面印刷タイプや「起こさないでください」と「部屋を清掃してください」のメッセージが色違いになっているタイプのDDカード・ドンディスカードを使うことが有効です。
色違いタイプであれば、従業員も確認しやすく客室清掃の効率アップも期待できるでしょう。
スイッチ式にする
ドアプレートタイプのDDカード・ドンディスカードは、いたずらの標的にされてしまいます。それを防ぐ目的で、ランプの点灯によってメッセージを切り替える装置を導入しているホテルもあります。
客室内のスイッチを操作すると、外側のドア付近に取り付けられたメッセージランプが光るという仕組み。取付工事が必要で、ある程度の費用がかかりますが、遠目からでも客室清掃が必要か否かを判断できるというメリットもあります。
お客様の様子に目を配る
ホテルマンなら、常日頃からしっかりと目配りをしていることだと思いますが、ラスベガスの銃乱射事件の例を念頭に置き、お客様の様子をよく観察してください。おかしな様子に気が付いたら、必ず責任者にアラートを上げましょう。
また、客室フロアの廊下には解像度の高い防犯カメラを設置するなど、館内全体の安全対策に努めることが重要です。
DDカード・ドンディスカードはメリットもデメリットもある
日々、ホテルで当たり前に使われているDDカード・ドンディスカードには、思いがけないリスクが潜んでいるのですね。メリットとデメリットをしっかりと理解し、トラブルや犯罪を防ぐ対策を整えた上で提供しましょう。
また、ホテルの安全を守るためには、館内を手薄にしないことも重要です。ホテルの採用活動にはぜひ、宿泊業に特化した採用支援サービスであるおもてなしHR をご活用ください!