退職届の提出時・退職時のトラブルに要注意
会社を辞めると意思を固めても、会社側の対応によってすんなりと辞められないことがあります。気持ちよく新しいスタートを切るためには、いつまでも前の職場と揉めているわけにいきませんが、どのようなトラブルが考えられるのでしょうか。
トラブルに見舞われた時の対処方法や相談できる窓口・トラブルを防ぐために労働者が心がけたいポイントを見ていきましょう。
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想定される退職届の提出時・退職時のトラブル
会社を辞める際には、余計なトラブルに見舞われることなくスムーズに旅立ちたいものですよね。しかし、日本の社会においては「会社を辞める=悪・裏切り」と考える人が少なからず居るものです。
あの手この手で繋ぎとめようとし、退職時のトラブルに発展するのですね。まずはどんなトラブルが想定されるのかを解説します。
引き止めや退職時期の引き延ばし
引き止めや退職時期の引き延ばしに遭うのは、それだけ企業にとって必要な人材であった証拠。喜ぶべきこととも言えますが、しつこく迫られるのは困ります。
辞める理由を聞かれて「不満点は改善するから辞めないでくれ」「後任が見つかるまで待ってほしい」となどと言われ、すんなりと辞めることができなくなるのです。
また「不満点は改善するから」と言われ、納得して残ることにしたとしても口先ばかりでいつまで経っても改善されないケースも考えられます。
退職届・退職願の受理を拒否される
辞めさせないために、退職届・退職願の受理を拒否されることもあります。
本来、人手不足だから・辞められると困るからといった会社側の都合で受理を拒むことは出来ないのが原則ですが、企業の体質が古かったり・上司のリテラシーが低かったりすると起こる可能性があるトラブルです。
口頭で辞意を伝えただけでも辞めることは可能ですが、後々の手続や、何かあった時の証拠として、書面で受け取ってもらうことがベストです。しかしこちらはケースバイケースですので、退職届を書かない場合についても後述します。
脅迫される
辞意を表明したら「今辞めたらこれまでの育成に掛かった費用を請求するぞ」「辞めて不利益が出たら損害賠償を請求する」「裁判を起こすぞ」などと脅迫されたという話を時々耳にします。
「損害賠償」「裁判」といったキーワードで怖がらせ、引き止めようとするのは悪質です。後の項目で詳しく解説しますが、大抵の場合、脅迫は無視して問題ありません。屈することなく辞めましょう。
退職日までいじめられる
退職届が受理され、無事に辞められることになったとしても油断できません。リテラシーの低い職場では、退職日までいじめられる恐れがあるのです。
「辞める人にやらせる仕事はない」と仕事を割り振られなくなったり、上司が他の部下に「辞める人と口を利かないように。寄せ書きやプレゼントを渡したりするな」といった圧力を掛けることがあります。
辞めることが決まっているとはいえ、陰湿やいじめやパワハラの被害に遭うのは辛いことですよね。
退職金が支払われない・不当に減額される
退職金の制度があるのに支払わない・不当に減額するといった許しがたい行いをされるケースもあります。自己都合で辞めるのだから強く出られないだろう・どうせ計算していないだろうという目論見なのかもしれません。
退職金で損をしないためには、規定をよく確認し自分で試算してみることです。まるきり支払われないのはもっての他ですが、計算が合わない場合もごまかされている恐れがあります。
有給休暇を認めない
有給休暇の取得は、有給休暇を付与される条件を満たす労働者が持っている当然の権利です。有給休暇を余したまま退職するのは、お金をドブに捨てるようなものですね。
退職日を調整するなどの工夫で、使い切って辞めるべきです。しかしながら、辞意を表明した後の取得が認められないというトラブルが少なくありません。
辞める・辞めないに関わらず、そもそも有給を取らせてくれないブラック企業もあるでしょう。
会社都合の解雇なのに退職届の提出を求められる
業績悪化などによる、会社都合の解雇であるにも関わらず、退職届を提出させる企業があります。退職届が提出されれば、会社都合ではなく自己都合での退職ということで処理ができ、会社側に有利に働くためですね。
2020年、新型コロナウイルスの影響で解雇された人々の中からも、会社から退職届の提出を求められたという声が上がっています。
離職票・雇用保険被保険者証が貰えない
無事に退職できたと思っても、退職後に離職票や雇用保険被保険者証が送られて来ないというトラブルも考えられます。
離職票・雇用保険被保険者証が手元に無いと、失業保険の給付を受けたり、新しい職場の社会保険の加入に支障が起こります。事務的なミスや失念によることもあれば、わざと渡さない嫌がらせと言う場合もあり得ます。
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退職届の提出時・退職時のトラブルの対処方法
退職届の提出時・退職時にはさまざまなトラブルが想定されるのですね。それでは実際、今回紹介したようなトラブルに見舞われてしまったら、どうすればいいのでしょうか。泣き寝入りせず、対処する方法を解説します。
退職届は郵送でもOK
民法では、辞める日の2週間前までに辞意を示せば退職できるとされています。辞めさせない・退職届は受け取らないと言われても、最初に辞意を表明してから2週間経てば、法的には辞めることができるのです。
こんな辞め方をおすすめするわけではありませんが、どうしても辞めさせてもらえない場合、辞意を表明し、2週間経過したらそれ以降は出社しないと言う手段もあります。さらに、やむを得ない事情がある場合は、2週間待つことなく即退職も可能なので、覚えておいてくださいね。
ただし、前の項目でも解説した通り、退職届を受理されないままではのちのちの手続きに不都合が生じてしまうので、郵送すると良いでしょう。会社側が受け取ったという証拠を残せる、内容証明郵便がベストです。
脅迫は無視で大体大丈夫
「損害賠償を請求する」「裁判を起こす」という脅迫は、大抵の場合無視しても問題はありません。普通に働いていた人が普通に辞めるのであれば、損害賠償請求や裁判を起こす根拠が無いのです。
ただし、過失や故意によって会社に損害を与えたことがあり、それが労働契約に違反するものであった場合は別です。何か心当たりのある人・どうしても不安な人は労働基準局や法律の専門家に相談してください。
公的機関に助けを求める
辞めさせてもらえない・有給休暇の取得が認められない・退職金が規定通りに支払われない・パワハラなどのトラブルは、労働基準局に相談しましょう。会社に直接指導をしてくれたり、適切な解決策のアドバイスが受けられるはずです。
最近は退職代行サービスも登場していますが費用が掛かり、必ずしもベストな選択とは限らないので、まずは労働基準局への相談をおすすめします。
また、雇用保険被保険者証が貰えない場合はハローワークで再発行可能、離職票が貰えない場合もハローワークに相談すれば、発行するように会社に指導して貰えます。
退職届書かないとどうなる?
退職する時に、退職届の提出を求められることがあります。しかし「退職届を書かなかった・書きたくない・忘れていた」といった事情もあるとおもいます。退職届を書かないと、退職できないのでしょうか?
実際は、退職届がなくとも、本人が退職したいという旨を会社に伝えており、会社側が承諾すれば退職することが可能です。書面がないと証明できないのでは?と不安になるかもしれませんが、民法でも書面での退職届は求めていないので、心配はいりません。口頭での退職の意思表示も有効とみなされます。
しかし口頭で退職の意思を伝える=「退職願」ととらえられるため、別途書面での「退職届」の提出を求められるのが一般的です。書面でのやりとりがあることで退職日などを明らかにする目的もあるので、退職時のトラブルを避けたいのであれば、自己都合の退職をするときに限って退職届を提出すると良いでしょう。
また、会社の規定などで、退職時に退職届の提出について取り決めがある場合は、規定に従うようにしましょう。
退職届の提出時・退職時のトラブルを避けるためには
退職届の提出時・退職時のトラブルは、起こってから対処するよりも未然に防ぎたいところです。わだかまりを残さず旅立つために、押さえて起きたいポイントを見ていきましょう。
まずはマナーを守って申し出ること
態度が悪く、職場に多大な迷惑を掛けるような辞め方をされれば、つい意地悪をしたくなるものではないでしょうか。それを理由に離職票を出さない・退職届を受け取らないとなればもちろん会社が悪いのですが、自分の辞め方によってトラブルを招くことがないように気を付けたいものです。
民法では退職日の2週間前に辞意を示せばOK、事情によっては即退職も可能ですが、可能な限り社内規定に従った期間を持って申し出るようにしましょう。
きちんと引継ぎを行い、立つ鳥跡を濁さずで辞めることを心がけてくださいね。
はっきりと辞意を示す
スムーズな退職のためにはまず、はっきりと辞意を示すことが重要です。あいまいな伝え方をすると「辞めようかどうか悩んでいる相談」と捉えられ、話が先に進みません。
本当に辞めると決めたのであれば、引き止められても辞意を示し続けましょう。退職時期の引き延ばしも、就業規則などの根拠を示した上ではっきりと断ってくださいね。
会社都合の解雇であれば退職届は絶対に書かないこと
会社都合の解雇であるのに、退職届を出すように言われた場合は、絶対に応じてはいけません。必要書類にサインする感覚で書いてしまう人が居ますが、失業保険の受給で大損したり、解雇に意義を申し立てる場合、不利になるなど自分の立場を悪くしてしまいます。
また、解雇通知書や解雇理由証明書を必ず請求してください。これらは解雇理由が正当なものか、労働契約や就業規則に沿っているかを判断するのに有効で、解雇に意義を申し立てる際に役立ちます。
解雇の場合は解雇通知書・解雇理由証明書の発行を請求する
解雇通知書・解雇理由証明書は会社が自発的に発行するものではありませんが、労働者から発行の要求があれば、応じることが義務付けられています。
請求したにも関わらず、発行されない場合は労働基準法の違反になりますので、労働基準局に相談しましょう。
記録を残しておく
タイムカードのや出勤簿のコピーを取ったり退職についての話し合いは録音しておくなど、記録を残すことも有効です。記録を持っていることで、筋の通らない対応を牽制する効果が期待できます。また、トラブルが起きたときの武器にもなるはずです。
手帳に書いたメモや、個人的な日記の内容も証拠になります。現状、辞める予定が無い人も、仕事の記録は残す習慣をつけると良いでしょう。
対処方法を知っていれば退職トラブルは怖くない
会社側の対応によって起こる退職トラブルは大抵の場合、公的機関に相談すれば何かしらのアクション・アドバイスはしてくれるはずです。過度に恐れず、マナーを守ってきっぱりと辞意を示しましょう。
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