ホテルにはトラブルが付きもの
多くの人が出入りする非日常空間であるホテルには、予期せぬトラブルの発生がつきものです。トラブルが発生したときに、どう対処するかはお客様の旅を快適なものにできるかどうかの重大な分かれ道です。
ホテルで起こりやすいトラブルと、適切な対処方法を予習すれば、実際に直面しても落ち着いて行動できるはずです。ぜひ、この記事を読んで心構えをつくってくださいね。
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ホテルで起きるトラブルと対処法
ホテルという場所には、起きやすいトラブルに傾向があります。予想だにしていなかった事態に発展することも多々ありますが、一般的に多いトラブルの種類・対処方法を解説します。
それぞれのトラブルについて詳しくまとめた記事のリンクも用意しますので、ぜひそちらも参考にしてくださいね。
予約トラブル
来館されたお客様のお名前が予約リストに無い!というトラブルは、ホテルで起きるトラブルの代表的なものです。予約が無いと言われればお客様はとても不安になってしまいますよね。しかし、落ち着いて対応すれば解決できるトラブルです。
予約代表者名や予約時の電話番号がが申告と違ってたり、外国人のお客様で姓名が逆で見つからないだけということも多々あります。まずは、別の名前や電話番号で予約した可能性が無いか、お客様に聴取しましょう。
また、予約確定メールには予約番号が記載されているので、それを確認すればすぐに調べることができます。チェックインの際は予約確定メールを持参していただくように、ホームページなどで呼びかけると良いですね。
そして、予約サイトの画面を最後まで進めなかった等が原因で、本当に予約が取れていないケースもまれにあります。その際には客室に空きがあれば案内、無ければ近隣ホテルを紹介するなど、柔軟に対応しましょう。
ホテルマンが慌ててしまっては、お客様に「わたし、今夜泊まる場所が無いの…?」という不安を与えてしまいます。
予約のトラブルについては、以下の記事もご参照ください。
お客様がホテルの予約を間違えた!ホテル側はどう対応するべき?
客室や設備のトラブル
客室や設備のトラブルが発生することもあります。虫が出た、シャワーが出ない、エアコンが作動しない、下水の臭いがするなどなど。
問題のある客室にお客様を通さないためには、日ごろから、こまめな整備点検をすることが重要です。こうしたらトラブルで苦情が出た場合は、速やかにお部屋の移動などで対処しましょう。
可能であれば、ワンランク上の客室にお通しすることが望ましいです。そうすることで「残念な体験」から「お得な体験」へと印象が変わったり「部屋のことは残念だったけど、誠意のある対応だったからまぁ良いか」と思ってもらえる可能性があります。
お客様起因のトラブル
お客様は、旅行で浮足立っていたり、出張で忙しかったりと、非日常な気持ちでホテルに滞在しています。そのため、お客様の過失や、まれに故意によるトラブルが起こることもあります。
バスタブにお湯を溜めているのを忘れたことによる漏水、備品の破損、体調不良やチェックインの遅れ、忘れ物。
客室で夜中に盛り上がりすぎる、廊下を騒がしく通行して他のお客様から苦情が来るなどなど。所持金不足で支払いができないということもあり得ます。
ある程度予想できるトラブルについては、宿泊約款で規定を設けておくことが重要です。従業員は宿泊約款を良く読み、理解して対処しましょう。
トラブル別の対処方法や、宿泊約款についての詳細は以下のリンクをご参照ください。
ホテルは忘れ物にどう対応する?ホテルならではの忘れ物のルールを紹介
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
ホテルのトラブルへの対処が印象を決める
トラブルは未然に防ぐことがベストです。しかし、起きてしまったことには、できるだけ速やかかつ円満に収めるように動くしかありません。
トラブルが起きたときの対処の良し悪しは、そのままホテル全体の印象をも左右する重大なことです。トラブル対処の良い事例と悪い事例を学び、適切な方法を考えてみましょう。
素晴らしいトラブル対処の事例
海外の離島にある、高級ホテルの事例です。このホテルに宿泊した方は滞在中、客室から出ることもできないほどの体調不良になってしまったそうです。
その際ホテルのコンシェルジュが、客室まで医師の往診を手配してくた上に、海外保険の書類まで揃えてくれて非常に助かったと語っています。
医者の手配をするところまでは、どこのホテルでも行うことですが、その先の保険のことまで先回りしてくれるのは素晴らしいですね。滞在中のお客様を全力でサポートする姿勢が感じられます。
残念なトラブル対処の事例
冬の寒い日、ある温泉宿に宿泊した方はこんな体験をしています。客室のエアコンが不調だったためか、客室がまったく温かくならず、たまりかねて従業員に部屋を替えてくれるように依頼しました。
すると、「満室だから」と断られた上で、石油ファンヒーターを持ってこられたそうです。暖を取ることだけを考えれば、石油ヒーターでも「まぁ良いか」と考える方も居るでしょう。しかし、そのお客様は小さなお子様を連れての宿泊だったのです。
小さなお子様が居るところで、石油ファンヒーターは危なっかしいですよね。その旨を伝えて再度客室を替えてほしいと依頼して、ようやく別の部屋に通してもらえたとのことです。
保険の書類まで揃えてくれたホテルとは異なり、ごく表面のことだけを考えて対処しようとしたため、お客様の不満を大きくしてしまったのですね。トラブル対処にあたる時は、お客様の状況をよく考えることが重要です。
適切なトラブル対処がホテルの価値を高める
世の中には素敵なホテルがたくさんあります。その中で2度、3度と訪れたくなるホテルとなるためには「滞在中に何か起きてもこのホテルなら大丈夫」という安心感を持ってもらうこと必要です。
「提供して当たり前」のサービスから一歩踏み込んだトラブル対処は、ホテルの価値を高めます。予想外のことが起こると、慌ててしまいがちですが、落ち着いて、プラスアルファの対応を心がけましょう。