ホテルや旅館の宿泊約款とは?
ホテルや旅館の宿泊約款とは、営業時間や料金の支払方法、施設側が宿泊を拒否する条件などについてまとめた規定です。
政府登録ホテル・旅館では必ず作成し、観光庁へ提出することが義務付けられています。政府登録ホテル・旅館とは、国際観光ホテル整備法の基準をクリアし、インバウンド客が安心して宿泊できる施設として、一定のサービスレベルが保証されたホテルや旅館のことを指します。
政府登録以外のホテル・旅館については任意とされていますが、宿泊約款を策定、使用することが一般的です。
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ホテルの宿泊約款とは何のために作るものか
それでは、宿泊約款とは何のために作るものなのでしょうか。賃貸に住んだり、スマートフォンを使用する際には企業と利用客の間で契約を結びますよね。同じように、ホテルや旅館に客様が宿泊する際にも契約を結ぶ必要があります。
宿泊約款は、不特定多数の宿泊客と個別の契約を結ぶ手間を省くために作られるものです。宿泊客にとっても、ホテルに泊まるたびにいちいち契約内容の説明を受けなければならないというのは不便ですよね。双方の利便性のために、宿泊約款が用いられるのです。
なお、宿泊約款の内容はホテルや旅館で決めることができますが、利用客の権利を守るために、政府登録ホテル・旅館以外の施設でも行政機関の認可を受けることが必要です。観光庁がモデル約款を公開しており、これに倣って策定することが一般的です。
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一般的なホテルの宿泊約款の内容とは
宿泊約款には具体的にどのようなことが書かれているのでしょうか。ホテルや旅館で働くからには、大まかな内容は押さえておきたいところですよね。一般的な宿泊約款の内容をチェックしていきましょう。
なお、宿泊約款に定められていない事項については法令や一般的な慣習によるもとのされます。
ホテルや旅館が宿泊を拒否する条件
宿泊を拒否する条件をまとめた項目は、宿泊約款の中に必ず存在します。条件の内容としては、下記のようなものがあげられます。
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- 満室により客室の余裕がないとき
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- 宿泊しようとする者が法令の規定や公の秩序、善良の風俗に反する行為をするおそれがあると認められるとき
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- 宿泊しようとする者が、明らかに伝染病だと認められるとき
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- 天災や施設の故障、その他やむを得ない事由により宿泊させることができないとき
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- 宿泊しようとする者が暴力団や反社会勢力の関係者である場合
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- 他のお客様に著しい迷惑を及ぼす言動をした場合
- ホテル又はホテル従業員に対し、暴力的要求を行った場合、合理的な範囲を超える負担を要求した場合
宿泊の登録
ホテルや旅館にチェックインする際、宿泊カードに氏名や住所、電話番号といった個人情報の記入が求められますよね。このことについても、宿泊約款で規定が設けられています。
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- 宿泊客の氏名、住所、年齢、性別、職業
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- 日本国内に住所がない外国人であれば国籍、旅券番号、入国地及び入国年月日、パスポートのコピー
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- 出発日及び出発予定時刻
- その他当ホテル・旅館が必要と認める事項
例:伝染病が流行している時期は「前日はどこに泊まったか、明日以降はどこに泊まるのか」といった情報など
こうした情報をホテルに提供し、宿泊者情報を登録することが定められています。
客室の使用時間・営業時間
客室の使用時間はチェックインの手続きを終えてから、ホテルを経つ日のチェックアウト時間までですよね。使用時間の延長の可否や、延長する場合の追加料金についても含めて宿泊約款の中に織り込まれています。
また、館内施設の営業時間や食事を提供する時間、門限などについても記載されていることが一般的です。
利用料金について
宿泊料金を支払うタイミングや、支払方法についても宿泊約款に記載されています。通貨の他に旅行小切手やクレジットカード、電子マネーなどその他の利用できる支払方法が定められています。
また、基本宿泊料やサービス料のパーセンテージ、追加料金や税金などの内訳の表が掲載されます。
ホテルや旅館の責任・宿泊者の責任について
滞在中にトラブルが起こった場合の対応方針をはっきりさせることは特に重要です。宿泊約款では万が一に備えて下記のように責任の所在を明文化しています。
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- フロントで預かった金品の紛失や盗難、破損は弁償する
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- 契約した客室を提供できない場合は、できる限り他の宿泊施設を斡旋する
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- チェックイン前に預かった荷物は責任をもって保管する
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- 忘れ物を見つけた場合は一定期間施設で保管した後、警察に届け出る
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- 駐車場は場所を提供するのみで、車両の管理は行わない。ただしホテル・旅館の故意や過失で損害を与えた場合は賠償する
- 宿泊客の故意または過失によって、ホテル・旅館が損害を被った場合は弁償していただく
宿泊約款を理解してホテルや旅館で働こう
細かな文字で書かれている宿泊約款は、なかなかきちんと読もうという気持ちにはならないかもしれませんね。しかし、宿泊客に守ってもらうべきことや、ホテルで取るべき責任などが記載されている、宿泊施設の法律とも言える重要なものです。
理不尽なクレームに対応する際も、宿泊約款を理解していれば根拠のある説明ができるはずです。ホテルや旅館、そして自分自身を守るためにも、宿泊約款の内容はきちんと理解して働きましょう。