外国人観光客向けの二重価格とは?メリット・デメリットや価格設定などのポイントを解説!

新型コロナウイルスによる移動制限が解除され、インバウンド観光が再び盛り上がりを見せる今、観光地ではさまざまな問題が起きています。そのひとつが「外国人観光客に向けた二重価格」で、「適切な対応だ」という意見もあれば「差別ではないか?」という意見もあるようです。問題の中身や、二重価格導入のメリット・デメリットを見ていきましょう。

目次

    外国人観光客に向けた二重価格とは?

    旅館でくつろぐ外国人

    polkadot – stock.adobe.com

     

    外国人観光客向けの二重価格とは、商品やサービスを提供する際に、日本人と外国人観光客を区別して価格を変えることを指します。

     

    同じラーメンを提供するのでも、日本人なら800円、外国人観光客なら1200円というように、外国人観光客の方に高い価格が設定されることが一般的。

     

    2024年3月時点では、明確に料金を変えることはまだ浸透していませんが、外国人向けの英語メニューにのみ、高額な商品を掲載するといった手法を取り入れているところはあるようです。

     

    この背景には「円安ドル高」の影響があります。2024年3月時点で、米ドルの為替レートは1ドル約149円。日本人が「高い!」と感じる金額でも、外国人観光客は「適正価格」もしくは「安い!」と感じることが多いのだそう。

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    二重価格導入のメリットとデメリット

    考え方によって「公平」とも「不公平」とも取れる二重価格。メリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

    メリット

    【収益向上】

     

    外国人観光客向けに、相場よりも高い値段で商品・サービスを提供することは、収益の向上につながります。

     

    円安である今、外国人観光客は価格設定を高めにしても、気持ち良く払ってくれることが多いといわれています。コロナ禍で体力が落ちた企業にとっては、大きな助けになることでしょう。

     

    【地域経済活性化】

     

    観光施設が収益を上げることで、地域経済の活性化が期待できます。利益が増えれば多くの税金を納めることになり、事業が拡大すれば新たな雇用が生まれるのではないでしょうか。

     

    また、価格を高くする分、商品・サービスの質を高めていけば、外国人観光客の間で評判になり、さらに多くのインバウンド客を呼び込めるかもしれません。

     

    【需要の調整】

     

    商品・サービスをあえて高い価格にすることで、需要と供給のバランスを整えることができます。

     

    例えば地域のブランド牛や海鮮を使った名物料理は、多くの人が「食べたい!」と思うことでしょう。海外からはるばるやってきた旅人であれば、なおさらです。しかし「食材が入手しにくい」「調理に手間がかかる」といった理由で、提供できる数には限りがあることも。

     

    そこで提供価格を高くして、需要を調整するのです。「この価格でも食べたい!」という人に行き渡りやすくなり、顧客満足度も上がるのではないでしょうか。

    デメリット

    【評判悪化】

     

    外国人観光客向けに二重価格を設定することで、お店や施設の評判を落とすリスクがあります。

     

    現に「適正価格がわからない外国人を相手にぼったくろうとしている」「不当に高い金額で売りつけようとしている」といった、ネガティブな見方をする人も。

     

    「二重価格を設定する」というやり方に抵抗を感じ、利用を避ける日本人もいるのではないでしょうか。

     

    【差別問題】

     

    「同じ商品やサービスを提供するのに、相手によって価格を変えるのは差別ではないか」という意見もあります。海外の観光地では広く採用されている価格設定ですが、これまで二重価格の習慣がなかった日本では、抵抗を感じる人が多いのかもしれません。

     

    また、外国人観光客と、日本在住の外国人をどう見分けるのかといった点も問題です。

     

    【競争力低下】

     

    「競争力」とは、消費者に自社の商品・サービスを選んでもらう力のことです。これまで、観光地では各施設が「価値のあるものをできるだけ安く提供する」ということに注力してきたのではないでしょうか。

     

    外国人観光客向けの二重価格では、商品・サービスの価格がはねあがります。収益の増加は期待できますが、それゆえに他社との差別化をはかったり、1円でも安く提供するために工夫を凝らしたりといったことがおざなりになるかもしれません。

     

    その状態で、インバウンド需要が低下すれば、経営が立ち行かなくなるリスクもあるでしょう。

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    外国人旅行客への適正な料金設定と対応

    ラーメン

    Natalia-Lisovskaya – stock.adobe.com

     

    メリット・デメリットをふまえて、外国人観光客向けの二重価格を導入する際のポイントを見ていきましょう。適切な料金設定と対応について解説します。

    料金設定の基準

    商品・サービスの料金を設定する際にはコストをクリアにする必要があります。原材料の価格や人件費、水道光熱費、家賃などを計算しましょう。

     

    その上で、インバウンド対応にかかるコストも洗い出してください。例えば、以下のようなコストが発生すると考えられます。

     

    • ・翻訳機の設置費
    • ・多言語対応タブレットの設置費
    • ・外国人向けメニューの作成費
    • ・従業員への語学教育費
    • ・バイリンガル/トリリンガルスタッフの人件費
    • ・ハラル対応メニューの開発費

     

    このように総合的なコストを考えた上で、市場調査や競合他社の分析などを行いましょう。重要なのは「根拠のある価格」にすることです。

    対応

    外国人観光客向けの二重価格を導入する際は「不信感を抱かせない対応」が必要不可欠です。

     

    例えば外国人観光客メニューと日本人向けメニューを作成する際、それぞれの価格だけを掲載したのでは「どうしてこんなに値段が違うの?」と思われてしまいます。合理的な説明を添えるなど、納得してもらえるように工夫をしましょう。

     

    そして、日本人よりも高い料金をもらうのであれば、外国人観光客が気持ちよく利用できる環境を整えることも重要です。多言語対応やサービス品質の向上に努めましょう。「外国人観光客から出た利益の何割かをインバウンド対応のために使う」といったルールを設けることもおすすめです。

    外国人観光客向けの二重価格の導入は慎重に!

    「客単価を上げて収益を増やす」という点で、外国人観光客向けの二重価格設定は有効な手段といえるでしょう。しかしその一方で、やり方を誤ると不信感を持たれたり、差別問題に発展したりといった落とし穴に引っかかることも。今回の記事を参考に、導入は慎重に検討してくださいね!

     

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