注目の旅行スタイル・ペットツーリズムが抱える課題とは
ペットツーリズムとは、ペットと一緒に楽しむ旅行のことです。猫やうさぎなどの動物を連れて行く場合もありますが、ペットツーリズムの中心は野外活動が得意で好奇心旺盛な犬ではないでしょうか。
宿泊施設や観光施設でペットツーリズムを受け入れる事には、ペットがいるという理由で旅行が困難だと思っている層や、ペットを飼えるだけの経済的な余裕がある層を呼び込むことで、高い利益を得られる可能性があります。
しかしその一方で、クリアしなければならない課題も少なからず存在します。この記事では、ペットツーリズムが抱える課題について詳しく解説します。ぜひ参考にしてくださいね。
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ペットツーリズムの課題7選
犬を中心としたペットツーリズムには、きちんと対策を取らなければ大問題になりかねない要素が多々あります。どのような課題があるのか、見ていきましょう。
ペットよって向き・不向きがある
人間にとっては楽しい旅行でも、ペットにとってはストレスになるかもしれません。長時間の移動に加え、知らない場所で知らない人と接することを、不安に感じるペットもいるでしょう。
ペットの性質・性格によっては、ペットツーリズムが不向きな場合もあるのです。
トラブル発生のリスクが高まる
ペットを連れての旅行では、人間だけの旅行よりもトラブル発生のリスクが高まります。
むだ吠えによる騒音や脱走、迷子、ペット同士のけんかといったトラブルは、容易に想像がつくでしょう。また、粗相で人の持ち物を汚したり、人にケガを負わせたりといったことも考えられます。
ペットツーリズムのメイン層である犬は、油断できない動物であることを忘れてはなりません。
移動に労力がかかる
旅行の際、ネックになりやすいのは荷物を持って移動することの苦労です。
公共交通機関の場合は大きなケージに入れて持ち歩かなければなりません。マイカーの場合でも、ペットの車酔いが心配です。
魅力的なペットツーリズムの施設やサービスを作っても、移動の苦労を懸念して利用を控える飼い主もいるのではないでしょうか。
マナーの問題
ペットの飼い方に関するマナーは、たびたび問題になっています。当然ながら、ペットツーリズムにおいても無視はできません。
きちんとしつけがされていないペットが参加したり、排泄物を持ち帰らない・きちんとリードを付けない飼い主がやってきたりすることは、地域の環境を悪化させる原因になり得ます。
ペットのケガや急病の対応
ホテルや旅館など、お客様が長く滞在する施設では安全を確保しなければなりません。ペットツーリズムを受け入れるのであれば、ペットたちの安全も最大限に考慮する必要があります。
滞在中にペットの急病やケガが発生した場合、対応してくれる動物病院が近くにあるのか、適切な対応ができるのかといったことは重要な課題と言えるでしょう。
従業員への教育
ペットツーリズムを受け入れる施設の従業員は、動物の適切な扱い方だけでなく、飼い主の心理に対する理解も必要です。
愛犬・愛猫を「犬・猫」と呼ぶことや、ペットの食事を「餌」と言うことに対して不快に感じる飼い主は少なくないでしょう。
一般的な接客マナーに加え、ペットに対する接し方もきちんと教育しなければなりません。
動物が苦手な方への配慮も必要
周辺観光施設を訪れる方や、近所に住んでいる方の中には、恐怖心があったり、アレルギーを持っていたりと、動物が苦手な方もいることでしょう。
また、ペットツーリズム専用ではない施設において、動物が苦手なお客様と、ペット同伴のお客様が一緒に過ごすことも考えられます。
動物が苦手な方への配慮は、ペットツーリズムにおいて特に重要な課題ではないでしょうか。
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ペットツーリズムを受け入れる際のポイントとは?
課題をクリアし、快適なペットツーリズムを提供するためにはどのような対応が必要なのでしょうか。いくつかのポイントを解説します。
受け入れのルールを設ける
安全・快適なペットツーリズムを提供するためには、受け入れのルールを設け、周知することが重要です。
例えば、「むだ吠えしない」「トイレトレーニングが済んでいる」といったことをクリアしているペットのみを同伴可能にする、滞在中はリードを外さないといった条件を設定してはいかがでしょうか。
また、トラブルが発生した際の責任の所在を明確にすることも重要です。ルールを説明した上で同意書にサインをもらうなど、証拠を残すことが望ましいでしょう。
移動の負担を減らす
前述の通り、ペットツーリズムの壁として立ちはだかっているのは「移動の大変さ」です。多くのお客様を呼び込むためには、多少なりとも移動の負担を軽減するための工夫が必要ではないでしょうか。
例えば、ペットも乗れる送迎バスを提供したり、衣類などの荷物を宅配便で先に送ることを提案したりといった方法があります。ペットを連れての旅行を想像し、できる工夫を考えてみてくださいね。
キャパシティオーバーに要注意
ペットツーリズムを受け入れる施設のスタッフは、人間のお客様をおもてなししながらペットたちのことも考える必要があります。一般的な観光施設で働くスタッフよりも業務負担が大きくなりがちなので、キャパシティには十分な注意が必要です。
また、施設の広さについてもよく考慮し、キャパシティを超える受け入れを避ける必要があります。例えば、のびのびと走り回れるドッグランを持つホテルに、適切な数の犬を受け入れるのであれば、ペット同士のけんかや動物が苦手な方にかける迷惑を防げるはずです。
キャパシティに対して受け入れるペットの数が多すぎることは、人間にとってもペットにとっても大きなストレス。気持ち良く過ごしてもらうためには、キャパシティオーバーに注意してくださいね。
従業員への教育・研修を徹底する
従業員たちにはぜひ、動物に対する接し方や飼い主の心理を学んでもらいましょう。
ペット関連の資格取得を支援したり、専門家による講義を受けてもらったりと、本格的な教育・研修を実施することが理想的ではないでしょうか。
正しい知識を身につけることで、質の高いサービスを提供し、お客様とペットの安全を守れるようになるはずです。
適切な対応で楽しいペットツーリズムを提供しよう!
多くの課題を抱えるペットツーリズムですが、ペットとの旅行は人生に大きな喜びをもたらすはずです。今回の記事を参考に、適切な対応で楽しいペットツーリズムを提供してくださいね!
なお、ホテル・旅館の仕事を探す際には、おもてなしHRが力になります。