インボイス制度の開始!宿泊業がやるべきこととは
2023年10月1日から仕入税額控除に影響する「インボイス制度」が始まります。仕入税額控除とは、原材料や商品の仕入れ、備品の購入といった必要経費を支払った際の消費税を、売上に対する消費税から差し引くことを指します。
2023年9月時点において、日本の消費税率は8%と10%が混在しており、正しい消費税額を算出するためにインボイス制度の導入が決まりました。
インボイス制度の開始後は、適格請求書(インボイス)がなければ仕入税額控除を受けられなくなります。しっかり対策を取らなければ経営が傾きかねないことですが、宿泊業界ではどのように対処すれば良いのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
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適格請求書とはどのような書類なのか
宿泊業界に限らず、インボイス制度に対応するためには適格請求書(インボイス)について理解することが必要です。適格請求書(インボイス)がどのような書類なのか解説します。
発行するには登録が必要
適格請求書(インボイス)を発行するためには、「適格請求書発行事業者」への登録が必要です。
「適格請求書発行事業者の登録申請書」に申請者の住所・氏名や納税地、事業者区分といった必要事項を記載し、税務署に提出することで審査を受け、問題がなければ「登録通知書」が発行されます(電子申請も可能)。
登録通知書が発行されると、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で登録番号や事業者名、登録年月日を確認できるようになります。登録番号は次の項目で解説する、適格請求書(インボイス)の記載事項としても重要なポイントなので、しっかり押さえておきましょう。
また、インボイス制度の対象となるのは消費税の課税事業者です。売上1000万円未満で、消費税の免税事業者として届出している事業者は対象外ですが、課税事業者として登録することで「適格請求書発行事業者」になることも可能です。その場合は税の負担が増えますが「2割特例」という措置が適用されるので、詳細は国税庁のホームページをご確認ください。
参考:
記載事項
適格請求書(インボイス)には、記載すべき事項が以下の通りに定められています。
- 1.適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
- 2.取引年月日
- 3.取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 4.税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)および適用税率
- 5.税率ごとに区分した消費税額等
- 6.書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
引用:国税庁資料
また、タクシーや小売業、飲食店など不特定多数の方と取引をする事業者は適格簡易請求書といって、内容の一部を省略した書類の交付で代用できます。
制度開始後にお客様や取引先から「適格請求書(インボイス)が欲しい」と言われたら、上記の内容で発行できるように、準備を整える必要があるのですね。
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インボイス制度の開始で宿泊業がやるべきこと
消費税の課税事業者は、仕入と売上の両面でインボイス制度に備える必要があります。宿泊業においては経費とお客様への対応とで区別して考えると理解しやすいでしょう。
インボイス制度の開始で宿泊業がやるべきことを解説します。
経費の面でやるべきこと
宿泊施設では、備品や食材、消耗品などたくさんの品物を仕入れますよね。それらを仕入れる事業者が適格請求書発行事業者に登録していない場合、仕入税額控除を受けられなくなってしまいます。
インボイス制度には、適格請求書(インボイス)の発行ができない事業者からの仕入れにおいても一定の割合で仕入税控除が受けられる経過措置期間が設けられており、その間に取引先が適格請求書発行事業者に登録するかどうかの動向を把握する必要があるでしょう。
また、経過措置による仕入税控除を受けるためには、適格請求書(インボイス)の記載事項と同様の事項が書かれた請求書などの保存と、経過措置の適用を受ける旨を記載した帳簿の保存が必要です。
お客様への対応でやるべきこと
宿泊施設には出張や取材旅行といったビジネス目的で滞在するお客様もやってきます。最近では旅行系の動画配信やブログなどで収入を得ている方もおり、適格請求書(インボイス)の発行を求められる場面は多いでしょう。
宿泊施設が適格請求書(インボイス)を発行できなければ、お客様の勤務先や、事業主のお客様は仕入税額控除を受けられません。経過措置期間はありますが、何年も適格請求書(インボイス)を発行できない状態が続けば、ビジネス利用のお客様からは避けられるようになるかもしれません。
なるべく早い段階で適格請求書発行事業者に登録し、スムーズに適格請求書(インボイス)を発行できるように、準備を整えることが望ましいでしょう。適格請求書(インボイス)の発行には、対応した会計ソフトなどを使うと便利です。
宿泊業はインボイス制度をしっかりと理解しよう
多くのお客様が利用し、多くの取引先と関わる宿泊業は、インボイス制度をしっかりと理解して正しく運用することが重要です。国税庁のホームページをよく読み、対応に備えてくださいね!
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