宿泊業の起業はできる?
いつか宿泊施設のオーナーになりたいという夢を持っている方もいるかもしれませんね。
宿泊施設には、旅館・ホテルという大型のものだけでなく、民宿やゲストハウスのようなコンパクトな造りのものもあります。
広々とした客室や温泉が自慢の旅館や、高層階からの展望が魅力のきらびやかなホテルとなると実現は難しそうですが、少人数を受け入れる宿泊施設であれば、実現可能なのでは?と思えるかもしれません。
宿泊業の起業は、条件さえ満たせば可能です。しかし、決して簡単なことではありません。
起業のためには、旅館業法による営業許可が必須です。旅館業営業許可証がなければ営業することはできません。
上記のことを踏まえ、 将来宿泊業を起業したいと考えている方は、起業までの流れを学んでおきましょう。
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【宿泊業の起業の流れ1】物件の取得
宿泊業を起業する場合に最初にすることは、物件の取得です。物件の探し方や物件探しのポイントについて紹介します。
物件の探し方
- ・居抜き物件を探す
宿泊施設を作るには、土地の取得や設計、建築という段階を踏まなければなりませんよね。
想像しただけでも多額の費用や時間がかかります。大型の施設や、こだわりのデザインであれば、なおさらです。
宿泊施設の起業では、建築費が大きな割合を占めると言われています。どれだけ建設費を削減できるかは、安定した経営のために重要な課題です。
その課題解決につながりそうなのが、宿泊施設や飲食店として使われていた居抜き物件です。立地が良かったり、必要な設備が整っていたりするので、改装をするだけで起業することができます。
土地を取得する費用や建築費用を削減することができるので、内装のデザインや家具にこだわる余裕もうまれるでしょう。
外観を大きく変えることができなかったり、水回りの導線に制限があったりすることもありますが、費用削減という観点では、居抜き物件はメリットが大きいでしょう。
- ・許認可が取れている物件を買収する
宿泊業の起業のためには、物件を取得したのちに、各都道府県からの許認可を取らなければなりません。
許認可は旅館業法で定められたもので、施設の規模や種類によって分類が異なります。宿泊施設としての許認可だけでなく、料理を提供する場合には飲食店としての許認可も必要です。
許認可には、一般的に1カ月程度の時間がかかります。多くの書類の準備が必要で、決して簡単な手続きではありません。
許認可が取れている物件で起業すれば、申請書類の作成や許可までの時間や手間を大幅に削減することが可能です。
ここで注意が必要なのは、許認可が取れている物件の場合は、物件を運営会社ごと買い取らなければならないということです。
運営会社の負債も引き継がなければならないため、事前調査は念入りにしなければなりません。
物件探しのポイント
物件探しの際に考えなければならないのは、どのような建物にするかだけではありません。
いくら良い物件があったとしても、利便性を無視した立地や観光スポットが乏しいエリアの場合は、宿泊のニーズは少ないでしょう。
競合他社が少ないエリアや、これから観光地として人気がでそうなエリアで物件を探すことも重要です。
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【宿泊業の起業の流れ2】許可申請手続き
物件が決定したら、開業のための申請手続きを進めます。申請手続きの流れについて紹介します。
許可申請の流れ
許可申請は、営業を行う地域の都道府県知事や、自治体で交付する旅館業営業許可証を取得するために行うものです。申請のためには、いくつかのステップがあります。
- ・事前相談
宿泊施設として営業するためには、都市計画法や景観法、消防法などの基準を満たさなければなりません。まずは、申請場所や構造設備についての図面などを持参して、管轄の都道府県の保健所や担当課の窓口で事前相談しましょう。
- ・申請手続き書類の提出
申請手続きには複数の書類の提出が必要です。
- ・旅館業営業許可申請書
- ・申告書
- ・見取り図
- ・消防法適合通知書
- ・登記事項証明書
その他、各窓口で指定された書類を提出し、2〜3万円程度の手数料を支払います。審査には、数週間~1カ月程度の期間がかかります。
- ・保健所の実地調査
施設の完成後は、保健所の職員が現地調査や構造設備の検査などを行い、設備基準に適合しているか、申請内容に問題がないか確認します。調査には立ち会いが必要です。
- ・営業許可証の交付
書類審査、検査によって基準に適合していることが確認されたのちに、許可が通り、許可証が交付されます。
申請のポイント
宿泊施設としての営業の他、レストランや入浴施設の営業もする場合には、旅館業許可とは別に、飲食営業許可や公衆浴場許可が必要です。
施設のタイプや提供予定のサービスについても事前相談で説明しておくようにしましょう。
【宿泊業の起業の流れ3】従業員の採用・勤務制度の整備
許可証が交付されただけでは、実際に営業することはできません。宿泊業では従業員の存在も欠かせません。従業員の採用、勤務制度の整備について紹介します。
勤務制度整備の流れ
宿泊業は離職率が高いと言われる業界です。長く勤務してもらうためには、従業員が働きやすい環境を整えることが重要です。
- ・勤務時間
- ・待遇
- ・福利厚生
勤務制度の整備のために主に決めることは、上記の3つです。
許認可が取れてすぐに営業開始するためにも、勤務制度の整備は早めに着手しましょう。
採用のポイント
宿泊業は、接客の質の高さが施設の質の高さに直結します。だからこそ、接客マナーやスキルについても、十分な教育が必要です。
新規開業となれば、全員がオープニングスタッフです。未経験者ばかりになると、サービスの質が下がってしまいます。
開業初期は、予期せぬトラブルが起こることもあります。リーダーとなってくれそうな経験者がいると安心です。
宿泊業の起業を成功させるポイントは?
宿泊業の起業は、許認可の申請だけでも大仕事です。しかし、大切なのは安定した経営が継続できる宿泊施設にすることでしょう。宿泊業の起業を成功させるポイントを紹介します。
コンセプトを決める
内装の雰囲気を決めたり、ターゲットとする客層を明確にしたり、どのような宿泊体験を提供したいのかなどのコンセプトを決めることが大切です。
最近では、個性的なコンセプトで集客につなげ、宿泊体験を利用目的にできるようなサービスを提供する宿泊施設も増えてきています。
差別化を図ることで集客につなげ、長く愛される宿泊施設を目指しましょう。
人材育成に注力する
宿泊施設にとって、サービス提供者となる従業員の存在が重要な位置づけです。
気持ちのよい接客、明るさを感じる従業員の様子で、宿泊施設の印象は格段に上がります。
心のこもったおもてなしは、人にしか実現できないものです。質の高い接客で感動がうまれ、リピーターの獲得や口コミの拡散につながることも少なくありません。
徹底した人材育成で、人が人を呼ぶホテルにもなれるでしょう。
ホテル経験をいかしてホテル起業を目指そう!
宿泊業の起業は、費用も時間もかかるものです。施設だけが整っても、サービスを提供する人材が揃わなければ始まりません。
まずは、ホテルや旅館で経験を積み、どのようなホテルを作りたいのか、どのようなサービス提供をしたいのか明確にしてみるといいかもしれませんね。
宿泊施設での仕事に興味がある方は「おもてなしHR」にご相談くださいね。