旅館業と宿泊業、それぞれの定義とは
一見同じ事業に思える旅館業と宿泊業。まずは、それぞれの事業の定義について解説します。
旅館業の定義
旅館業とは、旅館業法で「宿泊料を受けて人を宿泊させる施設」と定義されています。旅館業に定義される宿泊形態は、以下の3つです。
- 旅館・ホテル営業
- 簡易宿泊営業
- 下宿営業
旅館業は人を宿泊させることを目的としているため、生活の本拠を置くようなアパートやマンションなどは該当しません。
また、2018年6月14日以前は、旅館営業、ホテル営業と分類されていましたが、2018年6月15日施行の法改正により、旅館・ホテル営業と一本化されました。
宿泊業の定義
宿泊業とは、「社会一般の人や特定の会員などに対して、宿泊施設を提供する事業所」のことを指します。
一般公衆に提供するホテルや旅館などの営利的宿泊施設はもちろんのこと、特定の会員のみに限られる宿泊施設、会社や学校などの事業体附属の宿泊施設およびキャンプ場などが該当します。
ホテルや旅館などは旅館業と同じ宿泊形態のため、似たような事業に思えるでしょう。しかし、特定の会員や事業体附属などの宿泊施設やキャンプ場を対象にしている点で明確な違いがあります。
宿泊業界に詳しいアドバイザーが、あなたに合う職場をいっしょにお探しします。
宿泊業界での職務経験はありますか?
旅館業と判断される4つの基準とは
厚生労働省では、旅館業と判断される基準として、4つの判断基準を挙げています。ここでは、どんな判断基準があるのかをご紹介します。
宿泊料を徴収しているか
ここで示す宿泊料とは、休憩料や寝具賃貸料、ベッド・布団などクリーニング代なども含まれます。
上記の宿泊料を徴収しているかで旅館業と判断されますが、食事代やテレビの視聴料、体験事業の体験料などは含まれません。
社会性があるかどうか
不特定多数の人を宿泊させたり、広告などを使って一般募集を行っていたりするかどうかで判断されます。
そのため、日頃から親交があるような知人や友人を宿泊させる場合は社会性はないと判断されるということです。
継続反復性があるかどうか
宿泊者の募集を継続的に行っていることも、旅館業であることの要件となっています。それが曜日限定や季節限定の募集であったとしても、反復して行っていれば継続反復性があると判断されるのです。
一方で、年1回しか行なわれないようなイベント開催時に自治体の要請により自宅を提供する場合は継続反復性がないと判断されます。
生活の本拠かどうか
生活の本拠となっているかどうかも、判断基準のひとつと定義されます。ウィークリーマンションのように使用期間が1カ月未満だったり、1カ月以上の滞在であっても部屋の清掃やベッド・布団が提供されたりする場合は旅館業に該当するからです。
ただ、使用期間が1カ月以上で、使用者自らが部屋の清掃を行う場合は生活の本拠と考えられるため、旅館業には該当しません。
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
旅館業と宿泊業の主な宿泊形態
前述した通り、旅館業と宿泊業は旅館やホテル、簡易宿所など、さまざまな宿泊形態に分類されています。ここでは、各宿泊形態の特徴を確認しておきましょう。
旅館
和式の構造や設備で作られた施設のこと。温泉旅館や観光旅館などの施設が該当します。
ホテル
洋式の構造や設備で作られた施設のこと。リゾートホテルや観光ホテル、ビジネスホテルなどの施設が該当します。
簡易宿所
宿泊する場所を複数人で共有できる構造や設備で作られた施設のこと。民宿やカプセルホテル、ゲストハウス、ペンションなどが該当します。
下宿
1カ月以上の期間を単位として設定した宿泊料を受けて営業する施設のこと。長期滞在をする工事関係者の宿泊施設などが該当します。(※学生下宿は対象外です)
旅館業を経営するにはどうすればいい?
旅館業を経営する場合は、まず施設を建設しようとしている地域の都道府県知事に許可をもらわなければなりません。
宿泊形態によって構造設備の設置基準があり、たとえば旅館・ホテル営業の場合は「1客室の床面積は、7平方メートル(寝台を置く客室なら9平方メートル)以上であること。」などの基準に従う必要があります。
また、運営する際にも、都道府県の条例で定められている換気や採光、照明などの衛生基準に従わなければなりません。
定義が異なるだけで、どちらも宿泊させる事業を行っている
定義自体は異なるものの、旅館業と宿泊業はどちらも人を宿泊させる事業を行っています。そのため、宿泊させる施設に大きな違いはありません。
旅館やホテルなどの人を宿泊させる施設で働きたい場合は、おもてなしHRにぜひご相談ください。
おもてなしHRでは、フロントからサービススタッフなどさまざまな職種の求人のご案内が可能です。