旅館の浴衣をきれいに着こなす帯の結び方とは?
旅館に泊まると、客室に浴衣が用意されていることがあります。旅館の浴衣はおはしょりや補正は不要で、一般的な浴衣よりも幅が広く作られています。
誰でも簡単に着られるように工夫されたデザインですが、それゆえに着崩れしやすい、すっきりと着られないといったことで悩む方は多いはず。
旅館の浴衣を美しく着るコツは、帯の結び方にあります。この記事では、旅館の浴衣をきれいに着こなす、帯の結び方について解説します。
また、「浴衣の帯を結ぶのが苦手……」というお客様のために、旅館がするべき工夫についても触れるので、旅館スタッフの方も参考にしてくださいね。
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旅館の浴衣・基本の帯の結び方
旅館の浴衣はリラックスウェアです。部屋でくつろぐ分には適当に結んでも問題ありません。しかし、浴衣で食事会場に行ったり、周辺を散歩したりするときには美しく着こなしたいですよね。
一部の旅館では、帯の裏と表で色が違っていることもあり、きれいに結べば全体のアクセントにもなります。浴衣を美しく着こなすための、基本的な帯の結び方をマスターしましょう。
ステップ1・浴衣を着る
帯をきれいに結ぶためには、浴衣を着る段階から押さえておきたいポイントがあります。まず、浴衣に袖を通したら、左右の腕を大きく広げましょう。こうすることで背中の縫い目が中央に合います。
また、浴衣は左側が上になるように着ることがマナー。右側の布を左側に当て、なるべく奥に入れ込みます。一般的な浴衣よりも幅が広く作られているため、入れ込みが浅いと胸元が大きくはだけてしまうので、注意してくださいね。
最後に左側の布を、アルファベットの「y」の字に見えるように被せて完了です。右側を上にするのは「死装束」として縁起の悪い着方になるので、間違えないように気をつけましょう。
ステップ2・帯を後ろでクロスさせる
いよいよ帯を結んでいきます。まず帯を横に持ち、おへそのあたりに帯の中心を合わせましょう。
中心がずれないように手で押さえながら、後ろで帯をクロスさせます。
ステップ3・余った帯を前で結ぶ
後ろでクロスさせ、余った帯は前に持ってきましょう。持ってきたら両端を、1度結びます。この時、縦方向に結ぶことがコツ。下向きになる紐をしっかりと引っ張ることで、着崩れを防げます。その後、リボン結びをすれば完成です。
リボン結びにした部分は、かわいらしく華やかに着るなら正面やサイドに、スマートに着こなすなら後ろ側に持っていくのがおすすめ。
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旅館の浴衣をもっとおしゃれに!帯の結び方3選
帯にはさまざまな結び方があります。細い紐タイプの帯は上記のリボン結びが適切ですが、幅が広いタイプの帯ならいろいろな結び方を試すのも良いでしょう。ここでは、比較的簡単にできる、おしゃれな帯の結び方を紹介します。
詳しい結び方は動画などで学べるので、チャレンジしてみてくださいね。
文庫結び
文庫結びは、体にぴったりと巻きつけた帯の上部に、立体的な羽根を作る結び方です。江戸時代から続く伝統的な結び方で、一般的な浴衣の他、振袖や花嫁衣裳などにも使えます。
羽根を作った部分の結び目にひだを重ねたり、羽根をリボンの形にしたりといったアレンジも可能。覚えておけば、さまざまなバリエーションを楽しめるのではないでしょうか。
元禄結び
元禄結びは、華やかさよりも粋を楽しみたい方におすすめの結び方。羽根の結び目が見えず、直線的でスマートな印象に仕上がります。
また、文庫結びに比べて羽根が短く、立体感が少ないため、動きのじゃまにならない点もポイント。周辺や館内を散策する時に、適した結び方ではないでしょうか。
貝の口結び
貝の口結びは、非常にシンプルな結び方。細い帯でも太い帯でもパリッと決まることが特長です。浴衣の柄や、帯の色を引き立てたいときに用いるのがおすすめ。
また、男性の帯の結び方として定着しているので、覚えておいて損はありません。シンプルな結び目は、背中の中心より少しずらすと粋に見えると言われています。
【旅館の対応】帯の結び方が分からないお客様にはどうすべき?
外国人のお客様や、和服に親しみがないお客様は、浴衣の帯の結び方にとまどいやすいものです。リクエストがあれば丁寧に教えて差し上げる必要がありますが、他にはどのような対応ができるのでしょうか。
浴衣に不慣れなお客様に対して、できる工夫を見ていきましょう。
着方の説明書きを用意する
外国人のお客様が多く訪れる旅館であれば、浴衣の着方・帯の結び方についての説明書きを用意することをおすすめします。
イラストを入れたり、多言語での解説を添えたりすれば、外国人の方にも浴衣を楽しんでもらえるのではないでしょうか。
ベルト式の帯を用意する
マジックテープやゴムなどで、ベルトのようにとめるタイプの帯もあります。より簡単に着脱できるので不慣れなお客様も安心して使えるのではないでしょうか。
ただし、旅館で一般的に使う帯よりも、コストが掛かる点はデメリット。すべての帯をベルト式にするのではなく、ベルト式もある旨を告知して希望者に渡すスタイルが適しているかもしれません。
パジャマなども用意する
お客様の中には、浴衣よりもパジャマやルームウェアが良いというお客様もいます。浴衣の他、洋服スタイルの館内着も用意しておくと、より親切ではないでしょうか。
予約の時点でどちらが良いか聞いておいたり、チェックイン後に好きなタイプの部屋着を選んでもらったりする旅館もあります。
お客様の好みに合わせて、臨機応変に対応しましょう!
帯の結び方をマスターして旅館滞在をより楽しもう!
浴衣をすてきに着ることができれば、旅館滞在はもっと楽しくなるはずです。お客様として旅館を訪れる方も、旅館スタッフとしてお客様をおもてなしする方も、今回の記事を参考に浴衣の着こなし方を考えてみてくださいね。
なお、旅館の仕事に興味がある方は、おもてなしHRをご活用ください。