今、注目の無人ホテルとは?
無人ホテルとは、予約管理システムや先端技術を駆使して無人で運営しているホテル。新たなビジネスモデルとして注目されています。
利用の流れとしてはフロントスペースに設置された受付端末で本人確認・チェックインを済ませた後、自動でカードキーが発行されたり、スマートフォンに客室のロックを解除する暗証番号が届いたりすることが一般的。その後は人工知能・ロボットによるサービスやセルフサービスで滞在時間を過ごします。
この記事では、無人ホテルが増加している背景や無人ホテルのメリット・デメリット、無人ホテルを運営する際のポイントについて解説します。
新時代のホテルについて考える際の参考にしてくださいね。
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無人ホテルが増加している背景とは?
無人ホテルが徐々に広まっている背景には、以下のような理由があります。
新型コロナウイルス対策
2019年の12月頃から、新型コロナウイルスの世界的な流行が始まりました。感染拡大を防ぐためには、人対人の接触を極力避けることが重要です。
ゲストと従業員の接触を極限まで減らした無人ホテルは、新型コロナウイルス対策として有効と言えるでしょう。
ヒューマンエラーの防止
心のこもったおもてなしはホテルの大切な商品ですが、人がすることには必ず間違いがあります。予約情報の確認やルームキーの受け渡しといった、ヒューマンエラーが起こりやすい場面は機械に任せた方が正確。
ミスをなくし、効率的な運営をするためにも、無人ホテルは理にかなっているのです。
人件費などの削減
豪華なホテルで手厚いおもてなしを受けたいという人が居る一方で、とにかく安く宿泊したいと考える人も居ます。低価格での宿泊を提供するためには、コストを削減する必要がありますよね。
無人ホテルは人件費を非常に低く抑えられます。また、制服やまかないなども用意しなくてOK。
さらに、昨今では従業員の新型コロナウイルス対策に多額の費用が掛かっているという企業もありますが、そのような諸経費も掛かりません。
人を雇うことに関するさまざまな費用がかからないため、宿泊費を低く設定できるのですね。
▼こちらの記事ではホテルのオープニングスタッフとして働くメリット・デメリットについて紹介しています。併せてご覧ください。
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
無人ホテルのメリット・デメリット
これまでのホテルは、スタッフが常駐していることが当たり前でした。ホテルの無人化はひとつの革命と言っても良いでしょう。この変化はホテル側とゲスト側にどのようなメリット・デメリットをもたらすのでしょうか。
ホテル側のメリットとデメリット
ホテル側のメリットとデメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
<メリット>
- 作業の効率化
- 人的ミスを減らせる
- 感染症の対策ができる
- 人件費削減
<デメリット>
- 無人化ホテルの初期費用がかかる
- 現地・現金決済ができない
- 口コミ評価が低くなりがち
- 電話対応の体制が必要
無人ホテルが増加している理由の項目でも解説した通り、ホテル側のメリットは、スタッフのミスを減らし、コストを削減できることです。
また、感染症対策としても有効で、クラスターの発生による臨時休業のリスクが減ることも大きなメリットでしょう。
その一方で、無人化ホテルの初期費用が高額だったり、接客・サービス面での差別化ができないために口コミ評価が低くなりがちだったりというデメリットもあります。
また、専用機材が必要で初期費用が掛かる点もデメリットでしょう。たとえばスマートロックの専用端末は1台約7万円以上が相場です。さらに現地決済ができない、接客を受ける機会がないといったことでホテルの評価が下がることも考えられます。
そして無人ホテルが定着しても、不明点やトラブルに対応するスタッフを何人か配置したり、電話窓口を設けたりすることは必要でしょう。完全無人ですべてのお客様に満足をもたらすことは、まだ難しい段階なのかもしれません。
なお、以下の記事ではコロナ禍によって変化した営業職の在り方について解説しています。併せてご参照ください。
ゲスト側のメリットとデメリット
ゲスト側のメリットとデメリットは、以下に挙げられます。
<メリット>
- フロントに並ぶ必要がない
- 感染に対する不安が減る
- 宿泊料金が安い
- スタッフの目を気にせずリラックスできる
<デメリット>
- チェックイン・アウト方法が分かりにくい
- トラブル時などの対応が遅くなりがち
- 連泊中に客室清掃が入らないこともある
- 人によっては不安を感じる
ゲスト側のメリットは、フロントに並ばなくてもチェックイン・アウトが済むことです。
スマートフォンやパソコンから事前にチェックインできる無人ホテルもあり、疲れている時などは便利に感じるでしょう。
さらに、人との接点がない分、密の状態を回避できると同時に、「スタッフがいない」という気楽さを楽しむこともできます。
一方、デメリットとしてはチェックイン・チェックアウトの方法が分かりにくいことや、連泊でも客室清掃が入らない場合があるといったことが挙げられます。ただし、一般的なホテルにも自動チェックイン機や掃除なしプランはあるため、無人ホテルだけのデメリットとは言えません。
また、これまではスタッフがいることの安心感があり、不明点があってもすぐに確認できましたが、無人ホテルではスタッフに対応してもらうまでに時間がかかる場合があります。
そして、館内に人の気配が少ないことや、無機質な機械・ロボットに対して不気味さを感じ、不安な気持ちになるゲストも居るでしょう。無人ホテルは、人によっては落ち着かない環境なのかもしれません 。
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無人ホテルの運営には何が必要?
無人ホテルを運営するには、しっかりとした準備が不可欠です。また、「ホテルスタッフが居なくても大丈夫!」という安心感をゲストに与えることも重要でしょう。
無人ホテルの運営に必要な物や体制を見てみましょう
チェックイン機器
まずは、チェックイン機器の準備をしましょう。無人ホテルや効率重視のビジネスホテルなどでは、セルフチェックインシステムが導入されています。
セルフチェックインシステムは、タブレット端末やスマートフォンからのチェックインが可能で、画面上から本人確認もできます。
初めて利用するゲストは使い方に戸惑いがちなので、ホームページなどにチェックインの方法を明記すると良いでしょう。
スマートロックの導入
無人ホテルにおけるルームキーは、スマートロックを活用することが一般的。
スマートロックは専用機器でチェックインした後に、スマートフォンに送られる暗証番号を使って解錠するという仕組みです。
関連記事では、スマートロックについて詳しく解説しています。併せてご参照ください。
緊急時の体制
無人ホテルにセキュリティ面の不安を感じる人は少なくないでしょう。
安心・安全の滞在を提供するには、警備会社との連携が必須です。また、ホテルによっては以下の体制を完備しています。
- バックオフィスにスタッフが待機している
- エレベーターなどの操作に暗証番号やカードキーが必要
ゲスト・スタッフ以外の侵入を防ぎ、緊急時は迅速に対応することが重要です。
地域条例の確認
無人ホテルを導入する前に、旅館業だけではなく地域の条例もチェックしましょう。
例えば、旅館業では本人確認を「対面または対面と同等の手段」としてICTの活用を認めています。
しかし、地域の条例は「対面限定」となっていたら条例に従わなければなりません。
無人ホテルを開設する前に、地域の保健所などに確認してくださいね。
無人ホテルで宿泊業界に新たな風を吹き込もう
ホテル運営の無人化は感染症防止だけではなく、最小限のコストで利益を生み出す効果が期待できるのですね。
その一方で、ゲストとのコミュニケーションを円滑にすることが難しくなる懸念も。快適な滞在を提供するためには、さまざまな工夫が必要なのですね。
無人ホテルの仕事を探す際には、おもてなしHRをご活用ください。