ホテルのクレーム対応
まずはホテルのクレーム対応の基本や場面を確認しておきましょう。
ホテルのクレーム対応の基本
ホテル業のような接客業では、避けることのできないクレーム対応。特にホテル業の場合は、クレーム対応が多くて大変というイメージを持つ人もいるかもしれません。
クレーム対応は、決して簡単なものではありません。お客様からのご意見の中には、対応に苦戦するものもありますし、大きなトラブルになるようなものがあるのも事実。
そういったケースは稀ではありますが、どのようなクレームであってもクレーム対応は丁寧かつ慎重さが求められるものです。
クレーム対応をするときには、お客様の気持ちに寄り添い、傾聴の姿勢を見せること。さらに、ホテル側の意見を正確に伝える必要があります。
クレームの中には、お客様の誤解や誤認が原因となって起こるものや、中には理不尽さを感じるものも。そのような場合は、ホテル側として対応できることできないことを伝え、理解していただかなければなりません。
ホテルのクレーム対応の場面
どのような場面であっても、クレーム対応には真摯に向き合う姿勢が大切です。そして、人為的なのか、自然的なのか、ご意見として受け取れるクレームなのか、悪質なクレームなのか。クレームの種類に合わせた、臨機応変で適切な対応が求められます。
クレーム対応の場面は、お客様がフロントに出向いたりホテルマンを部屋に呼び出したりして、その場で直接意見を言うだけではありません。
メールや予約サイトの口コミ投稿を通して、お客様からご意見をいただくこともあります。そういった場合の対応は、リカバリーの範囲が限られてしまいます。メールの場合は一方的になってしまったり、口コミの場合は多くの人が目にする環境であったり。対面でないからこその難しさもあります。
ここでは、メールや口コミによるホテルのクレーム対応、さらにホテルに落ち度のないケースのクレーム対応についてみていきましょう。例文付きでご説明しますので、対応の参考にしてみてください。
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【例文付き】メールによるホテルのクレーム対応
ホテルを利用したお客様が、問い合わせフォームやメールを利用してご意見を伝えてくることがあります。客室や従業員について、料理についてなど、その内容はさまざまです。
不快に思ったことをその場では伝えられず、ホテルを去ってからも気持ちがおさまらなかった。そういったこともあるでしょう。お客様からクレームのメールが届いた場合の、メール返信のポイントや例文をみていきましょう。
メールによるクレーム対応のポイント
メールによるクレーム対応を行う場合には、必ずおさえておきたいポイントがあります。
- 24時間以内の返信
- 適切な表現を用いる
- 送信前にダブルチェックする
ご意見をくださったお客様は、すでに不快感をもっていることがほとんどです。返信が遅すぎたり言葉遣いが不適切であったりすると、さらに不快感が増す原因になります。さらなるクレームの原因にもなりかねませんので注意が必要です。
メールによるクレーム対応の例文
〇〇様、先日は当ホテルをご利用くださいましてありがとうございました。〇〇ホテルの〇〇と申します。
この度は、当ホテル従業員の対応についてご不快な思いを抱かせてしまうこととなり、大変申し訳ございませんでした。深くお詫び申し上げます。
せっかく足を運んでいただいたにもかかわらず、ご満足いただけるサービスをご提供できず、誠に申し訳ございませんでした。
該当スタッフに対しては、事実確認と〇〇様よりご連絡いただきました内容を伝え、厳しく注意いたしました。
〇〇様からご指摘をいただきましたように、今後はさらに従業員の指導に励み、再発がないように努めていく所存です。
重ねてとはなりますが、この度は誠に申し訳ございませんでした。
今後もご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。
〇〇ホテル〇〇担当
〇〇 〇〇
- あいさつ
- お詫び
- 現在の状況
- 今後の対策の提示
- 重ねてのお詫び
メールの文面の中には、上記の要素を入れるようにしましょう。
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【例文付き】口コミによるホテルのクレーム対応
ホテルの予約に宿泊予約サイトを利用した場合、サイト内の口コミの書き込みができるようになります。口コミは、宿泊を検討しているお客様が参考にする情報でもあります。
メールのような1対1のやりとりではなく、多くの人が目にするものであることを考えると、より一層配慮が必要です。お客様からクレームの口コミが書き込まれた場合の、口コミの返信で配慮すべき点についてみていきましょう。
口コミによるクレーム対応のポイント
口コミによるクレーム対応を行う場合でも、おさえるべきポイントはメールと同様です。口コミには、宿泊予約サイトの利用者が閲覧できるという特性があることを考えると、口コミならではのポイントもあります。
- 返信を後回しにしない
- お客様の姓名は伏せる
- 人物の特定ができないようにする
良い内容の口コミであれば返信しやすいもの。クレームへの返信は後回しにしたくなりますよね。しかし、返信を後回しにしてしまうと、逃げた印象を与えてしまうこともあります。
ですから、クレームの場合でも他の口コミと同じタイミングで返信するようにしましょう。またお客様のフルネームや従業員の名前など、人物が特定できる表現も避けるよう配慮してください。
口コミによるクレームの場合は、その先に多くの閲覧者がいることを意識する必要があります。
口コミによるクレーム対応の例文
〇〇(ユーザー名)様
この度は、〇〇ホテルご宿泊いただき、誠にありがとうございます。
このは、当ホテル従業員の対応により〇〇様に不快な思いを抱かせてしまうこととなり、誠に申し訳ございませんでした。心よりお詫び申し上げます。
今後二度とこのようなことを起こさぬよう、スタッフ全員の接客マナーの向上に努めて参る所存でございます。
これからもお客様にご満足いただけるより良いホテルを目指して参りますので、今回の件につきましては、どうかご容赦くださいますよう、なにとぞ宜しくお願い申し上げます。
ご多忙の中、ご感想をお寄せいただき誠にありがとうございました。またのご来館を、当ホテル従業員一同、心よりお待ち申し上げております。
- ユーザー名で表記する
- 文字制限をオーバーしない
必要な要素はメールと同様ですが、口コミの場合は上記についても配慮が必要です。
【例文付き】ホテルに落ち度のないケースのクレーム対応
お客様に対して謝罪を述べることは、クレーム対応の基本です。しかし、クレームの内容によってはホテル側に落ち度がないものもあります。
そういった場合は、お客様の気分を害さないように配慮しながらホテル側に不備がないことを伝え、ご納得いただいたうえで引き下がってもらえるようにします。お客様の意見を全て受け入れる必要はありません。
お客様からクレームのメールが届いた場合の、メール返信のポイント・例文をみていきましょう。
ホテルに落ち度のないケースのクレーム対応のポイント
お客様のクレームの中には、誤解や誤認が原因となっているものもあります。
ホテルに落ち度のないケースであっても、お客様が不快感を抱いていることに変わりはありません。謝る必要はないのでは?と思ってしまいそうですが、謝罪の言葉は必要です。
- 意志を伝える
- お客様を否定しない
- 落ち度がないことを伝える
どのようなケースであっても、丁寧な対応を意識してください。ホテルに落ち度がない場合の難しいところは、落ち度がないことや要求に応えられないことを、お客様に理解していただかなければならないという点でしょう。
お客様は、ホテルに非があると感じていることがほとんどです。お客様のご意見が間違っていたとしても、真向から否定することは避けましょう。余計なクレームが発生したり、解決までに時間を要したりする原因になってしまいます。
ホテルに落ち度のないケースのクレーム対応の例文
〇〇様、先日は当ホテルをご利用くださいましてありがとうございました。
〇〇ホテルの〇〇と申します。
この度は客室清掃の件でご不便をおかけしまして誠に申し訳ございませんでした。
ご連泊をいただきました際に客室清掃がされなかったことについてですが、今回のご宿泊プランは、客室清掃不要にすることでお得にご利用いただける内容となっておりました。
また、タオル類の交換も、ご希望の場合のみとさせていただいだいております。
なにとぞご理解くださいますようお願いいたします。
いただきましたご意見をもとに、チェックイン時に宿泊プラン内容の確認をするなど、対応を検討して参る所存です。
今後もご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。
またのご来館を、当ホテル従業員一同、心よりお待ち申し上げております。
〇〇ホテル〇〇担当
〇〇 〇〇
- 柔らかい表現にする
- 簡潔な文面にする
必要な要素は入れつつも、事実を伝えながら理解を促すことが大切です。長々とした文面にはせず、早期解決につながるように努めましょう。
クレーム対応でホテルの信頼度は変わる!
どのようなケースであっても、お客様に対して適切なお詫びをして納得してもらうことはクレーム対応の基本です。
メールや口コミの場合は対面ではない分、心情を理解することが難しい場合があります。何度かやりとりを繰り返すようなこともあるかもしれません。適当な返答をすることで、かえってお客様の不快感が大きくなってしまうこともあります。
クレーム対応はできれば避けたいものですが、なんとかその場を乗り切ろうとすることは禁物です。メールや口コミによるクレーム対応では、表現に気をつけながら、可能な限りお待たせしないことが鉄則です。
迅速で丁寧な対応は、ホテルの信頼を回復するきっかけになります。ご不安、ご不満を感じているお客様であっても、返信次第で気持ちが変わることもあり得ます。クレーム対応の際には、お客様の立場に立って考えることを心がけてください。