旅行サービス手配業に必要な資格「旅行サービス手配業務取扱管理者」
旅行における交通機関や宿泊先、通訳案内士やお土産品の購入などを手配する、ランドオペレーターと呼ばれる業務を行う事業者は「旅行サービス手配業」として各都道府県への登録が必要です。
登録するためには、ひとつの営業所につき1名、従業員が10名以上いる場合には複数名の「旅行サービス手配業務取扱管理者」の資格保持者を配置しなければなりません。
この登録制度ができあがった背景や、旅行サービス手配業務取扱管理者の資格を取得する方法、試験の難易度について解説します。
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旅行サービス手配業の登録が必要になった背景
ランドオペレーターはかつて、登録不要で営める事業でした。
誰もが参入できる旅行関係の事業に注目されていた一方で、悪質なランドオペレーターが社会問題となったことは記憶に新しいのではないでしょうか。
高額キックバックを受け取る代わりに外国人観光客を特定の免税店に連れまわす、車の中で健康食品の効果を宣伝して買わせるなど、公正とはいえないオペレーションが横行していたのです。
そして、2016年の1月、下限割れ運賃で運行を受託し、安全性の確保を損なったスキーバスが悲惨な事故を起こします。この事故がきっかけとなって旅行業法が改正され、2018年に旅行サービス手配業の登録制度が新設されたのです。
旅行サービス手配業の登録制度によって禁止事項が明確になり、違反した場合は処分・罰則が科せられるため、ランドオペレーターは適切・公正・安全なツアーを手配しなければなりません。
また、旅行サービス手配業への登録をせずに、ランドオペレーター業務を行うことも、旅行業法違反となります。
参照:旅行サービス手配業の登録の登録制度について/国都交通省観光庁
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旅行サービス手配業務取扱管理者の資格を取得するには?
旅行サービス業手配管理業務取扱者の資格を取得するのは、難しいことではありません。2日間の講習を受けたのちに実施される修了試験に合格すればOK。
修了試験は講習をきちんと聞いていれば、合格できるくらいの難易度です。受験の窓口は複数ありますが、合格率はどこも90%以上なのでまじめに取り組めばそうそう落ちることは無いでしょう。
ちなみにランドオペレーターの業務は、国内旅行業務取扱管理者・総合旅行業務取扱管理者の資格でも可能です。
ただし、このふたつは旅行商品販売のための国家資格で、取得の難易度は高め。ランドオペレーターをやりたいのであれば、旅行サービス手配業務取扱管理者の方が適切といえるでしょう。
旅行サービス手配業務取扱管理者の講習および修了試験は、日本旅行業界業協会で年に数回開催されるほか、申し込めば随時受講できるスクールも存在します。
旅行サービス手配業務取扱管理者の資格は信頼の証
これまで自由にできたランドオペレーター業務に、資格・登録が必要になったことで窮屈さを感じる人もいるかもしれません。
しかし、旅行サービス手配業の登録を行うことは、やましいことのない経営をしている証拠。不透明だった部分が明確になり、お客様からの信頼度が高まれば、旅行業界全体が発展していくことが期待できます。
また、資格取得後の旅行サービス業への登録には営業保証金などの旅行業登録に必要なお金は掛かりません。かんたんな資格と少ない資金で、誰もが観光・旅行の業界に参入できるのです。
興味のある方はまず、資格だけでも取得してみてはいかがでしょうか。