消防設備士とは?資格の概要と仕事概要
国家資格である消防設備士は、建物の消火栓や自動火災探知機など消防設備の工事や点検、整備を行う資格です。
これらの業務にあたる者には、消防設備士の資格を取得していることが法律で定められており、業務範囲によって資格体系が細かく分類されています。消防設備士は大きく甲種と乙種に分けられ、甲種は特類と1類から5類、乙種は1類から7類まであります。
乙種は消防設備の点検と整備の業務を担うのに対し、甲種は点検や整備に加えて工事も可能です。宿泊業においては、消防設備の点検やメンテナンスの仕事を担うため、乙種の火災報知設備を扱う第4類、避難はしごなどの避難設備を扱う第5類、消火器を扱う第6類の資格が特に実用性が高いとされています。
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消防設備士の資格取得方法
乙種は、学歴や職歴を問わずだれでも受験できますが、甲種は指定された条件を満たさなければ受験できないため注意が必要です。試験内容や合格基準、取得までの流れを見てみましょう。
試験内容
消防設備士の試験は一般財団法人消防試験研究センターによって実施され、四肢択一式の筆記試験と、写真やイラスト、図面などによる記述式の実技試験があります。
乙種の場合の試験時間は1時間45分で、消防関係の法令や設備の構造などさまざまな分野の問題が出されます。甲種では、さらに防火や工事関連の出題や、実技試験では製図が加わるため、試験時間は3時間15分です。
また、第1類から第3類までのいずれかひとつ、甲種第4類及び甲種第5類の3種類以上の免状の交付を受けていることを条件に受験できる甲類特類の試験時間は2時間45分です。
合格基準
甲種・乙種の資格試験の合格基準は科目ごとに40%以上、全体の出題数の60%以上の正解が条件となっており、かつ実技試験においては60%以上の成績を修めることが求められます。
また、甲種特類は実技試験がないため、科目ごとに40%以上、全体の出題数の60%以上の正解が合格基準です。
受験に向けた勉強方法
一般社団法人消防試験研究センターのホームページでは、過去に出題された問題や例題などを閲覧できます。試験のシミュレーションに活用すると良いでしょう。
その他にも、市販の試験対策用のテキストなど独学で勉強する方法や、資格対策セミナーや通信講座を受講する方法があります。自分にあった勉強方法を選んでくださいね。
申し込みから資格取得までの流れ
消防設備士の試験は、年間を通して全国で実施されており、公式HPで日程を確認できます。
受験案内や受験願書は、一般財団法人消防試験研究センターの各都道府県支部などで配布されており、受験手数料は甲種が5700円、乙種が3800円です。
期間内にインターネットや書面で願書を提出すると、受験票が試験日のおおむね1週間前までに郵送されます。合否の結果は郵送されますが、公式HPでも確認が可能です。
試験合格後は免状交付を申請し、交付を受けて資格取得となります。
参考:消防設備士の資格試験について/一般社団法人 消防試験研究センター
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消防設備士の資格をいかせる職種と仕事内容
宿泊施設においても、消防設備や避難設備を整える作業は極めて重要な業務です。消防設備士をいかせる職種にはどのようなものがあるのでしょうか。
宿泊業界に関連する職種を中心に、仕事内容を紹介します。
ホテルや旅館の施設管理・営繕
宿泊施設には、消火器や消火栓、スプリンクラーなどの消火設備、火災報知器などの警報設備、避難はしごなどの避難設備と、さまざまな消防設備が設置されています。
一般的にホテルでは施設管理、旅館では営繕などと呼ばれる職種が、消防設備を整備、管理する役割を担います。消火設備や避難設備が故障した際の交換など、即戦力として現場で活躍できるでしょう。
一般に点検や修理などはお客様のいないときに行いますが、客室内での急な故障などの際はお客様が滞在中の部屋に伺うこともあります。
警備員
警備員は、旅館などでは「夜警」という職種で呼ばれることもあります。宿泊客が安心して過ごせるように施設内を警備する重要な職種のひとつです。
ホテルや旅館では、設備の故障や施設内の異常を早期発見するために、施設をパトロールします。消防設備士の資格を保有していると、目を配る場所や確認すべきポイントにも的確さが生まれ、不測の事態にも迅速に対応できるでしょう。
宿泊施設の管理職
小規模な旅館などでは、支配人やマネージャーなどの管理職が消防設備士の資格を取得する場合もあります。経営者として、お客様の安全を守るために防災意識を高く持ち、消防設備を含め施設全体の環境を整えることが求められます。
消防設備士の資格を取得し、点検作業に自らあたることでコスト削減にもなり、施設全体をより詳しく把握できるでしょう。
施設点検に役立てる消防設備士
消防設備士の資格は、宿泊施設の消防設備を管理・点検にいかせます。ホテル業界への就業を目指す際には、大きな強みとなるでしょう。
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