ホステルはどんな施設?
ホステルは、一般的にドミトリーと呼ばれる相部屋が中心の宿泊施設です。さらに、トイレやシャワーが共用で施設内の設備が簡素であり、ホテルや旅館などに比べ低価格で利用できる宿泊施設となっています。多くの場合、リビングやラウンジのような共有スペースが設けられており、宿泊客同士の交流場所として活用されているのも特徴です。
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ホステルの歴史
ホステルの語源は、ユースホステルです。その起源は、1909年にドイツ人教師のリヒャルト・シルマンが提唱した、青少年向けの宿泊施設を普及させる「ユースホステル運動」に由来するものとされています。
シルマンはワンデルンシューレ(移動教室)という野外教育を行い、児童たちを連れて徒歩旅行をしていました。しかし、当時はまだ児童が安全に格安に泊まれるような宿舎はありませんでした。それから、シルマンと生徒は嵐に見舞われ村の小学校に避難し、その経験からユースホステルを着想したそうです。
そして、1912年にドイツのアルテナにある古城の一角に、世界最初のユースホステルを開設しました。その後、ユースホステルはヨーロッパを中心に広まり、現在では世界中にユースホステルが存在しています。
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日本におけるホステル
多くの宿泊施設があるなか、ホステルという呼称は日本ではそれほど定着していません。
日本においては、1951年に日本ユースホステル協会が発足され、翌年には13施設と契約、さらに1955年には、北海道の千歳市に直営一号のユースホステルをオープンします。その後、高度経済成長の旅行ブームにより、低価格で利用可能なユースホステルが増え始めました。しかし、ビジネスホテルの低価格化やインターネットカフェ、カプセルホテルなどの新しい宿泊形態が誕生したことにより、徐々に施設数が減少していったのです。
ホステルが日本で広まりはじめている
一度は施設数が減少してしまったホステルですが、近年再び注目されるようになりました。
最大の要因として挙げられるのは、日本を訪れる外国人観光客の増加、つまりインバウンドの影響です。日本のアニメ文化やファッション、日本食、建築などの日本ブームに加え、2020年のオリンピック開催地に東京が選定されたことで、より一層注目が集まりました。
また、インターネットの普及や、宿泊代に費用をかけず気軽に旅を楽しみたいと考える旅行者が増えてきたことも、要因の一つとして挙げられるでしょう。
ホステルの利用客の傾向
ホステルを利用する人の多くは、宿泊代を抑えて旅を楽しみたい、国内外に関わらずたくさんの人とコミュニケーションをとりたいという傾向にあります。
ホステルは、ホテルや旅館のようにゆっくりと体を休める目的とは違い、常に自分以外の人が近くにいる環境です。他人の視線が気にならない人や、初対面の人とすぐに打ち解けられる人は、ホステルで充実した時間を過ごすことができるでしょう。
ホステルの仕事内容
ホステルも宿泊業の一つであるため、仕事内容は他の宿泊施設と大きく変わりません。
主な業務として挙げられるのは、フロント対応などの接客業務、予約管理などを行う事務的業務、施設内や客室を清潔に保つ清掃業務などです。
それらに加え、多くのホステルではセルフサービスで食事を提供しています。配膳業務はほとんどありませんが、場合によっては調理業務が必要なこともあります。
また、他の宿泊施設にはないホステルらしい業務といえるのが、イベントなどの企画運営です。地域を巻き込んだイベントやツアー、季節ごとのパーティーなど、利用者同士の交流につながるような企画をすることもあります。
今後ますます広がるホステル
ホステルの概要を説明してきましたが、ホステルは今後どのように広まっていくのでしょうか。現在日本では、訪日外国人観光客の増加に伴い、都市部を中心に「ホステル」が続々とオープンしています。古い建築をリノベーションしたり、クリエイターとコラボレーションしたり、本に囲まれた空間に宿泊できるなど、斬新なコンセプトのホステルが誕生しているのです。日本と異国文化が交錯するホステルの動向は、今後ますます目が離せなくなることでしょう。