DMOにはどんな役割がある?日本版DMOが戦略的に観光地域をつくる

DMOは欧米で発展した概念で、近年は日本でも広がりを見せています。2014年に日本版DMOが着想され、観光庁は、「観光地域づくりの舵取り役」と説明しています。

DMOとは

グリーンオフィス

iStock/GOTO_TOKYO

DMOとは、Destination Management Organization(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)の頭文字の略です。直訳すると「目的地のマーケティングを行う組織」となります。観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など、地域にある観光資源に精通している、地域と協同して観光地域づくりを行う法人のことを指しています

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日本版DMOとは

会議

iStock/ferrantraite

DMOは既に海外で成功事例があり、日本ではその海外のDMOを参考にした「日本版DMO」が2014年に着想されました。地方自治体では今、「日本版DMO」が活発に動き出しています。
地域全体で観光地域づくりを担うといっても、団体や組織、業種によっては古くからの慣習やルールがあったり、観光エリアが複数の市町村は予算取りに苦慮することがあります。日本版DMOは、地域の「稼ぐ力」を引き出し、地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役と言われています。多様な関係者と協同しながら、観光地域づくりを実現するための戦略を策定し、戦略的に実施するための調整機能を備えた法人のことを指しています。

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日本版DMOの役割

マーケティング

iStock/from2015

異なる地域や異業種同士が一体となって観光を行うためには、全体を俯瞰しながら地域の観光機能を集約し、先進的なマーケティング機能を活用する組織が必要となっています。それが日本版DMOの役割であり、観光振興における地域のプロデューサー的な動きと、自治体や事業者のパイプ役も担います。

地域の稼ぐ力を高める

日本版DMOは、法人として観光地域をつくりだします。経営の視点に立ち、その地域が観光で稼げるようになるために、民間企業で行われているマーケティング手法を活かした戦略を策定、実行します。行政の発想にとらわれることなく、観光地経営という視点で、観光そのものを収入の柱とすることで、地域の稼ぐ力を高める役割を持っています。観光客を地方に誘致し、交流人口を増やして地域の稼ぐ力を引き出すことは、地域活性、ひいては移住、定住を促進する役割も期待されています。

インバウンドの誘致

近年のインバウンドの大幅な伸びによって、地方の観光の在り方は変化しています。地方の観光協会や観光課が発信する、不特定多数に向けた観光情報は、日本人旅行者には有効でもインバウンド誘致にはつながりません。訪日客の国別、性別、年齢別などのさまざまな情報をもとにターゲットを絞り込み、それぞれのニーズに沿った観光情報を提供できるように、マーケテイング戦略を練り上げないと集客できない時代になっています。地方観光に民間的な手法が導入されることで、多様な関係者や分野を巻き込むことが可能になり、行政だけでは不足していたデータの収入や分析によって、より明確なコンセプトを持った地方観光をつくり出すことが可能になります。

DMOと観光協会との違い

戦略

iStock/Yagi-Studio

日本には、都道府県および市町村で構成される観光協会があります。観光協会は、観光地の地域内の観光振興を目的とした公益的な団体です。観光協会は、行政の許可や指導を受けることにより、組織としての意思決定が遅れがちな面がありました。
DMOと観光協会が異なるのは、行政の区域に制限されずに動き、公平性に縛られずに成果を上げるために動く点にあります。DMOでは地域が主体となって意思決定がしやすい仕組みが整えられており、観光協会のデメリットを解消しています。エリアマネージメントを重視し、マーケティングを強化したコンセプトを有している点で、観光協会との一線を画しています。

日本版DMOを設立するには

ビジネスマン

iStock/PeopleImages

観光庁は2015年に「日本版DMO候補法人登録制度」を創設しました。2020年1月時点で「日本版DMO」の登録数は150件、候補法人として117件の法人組織が控えています。

法人の登録

日本版DMOを設立、登録するには、活動する範囲に応じた区分を選ぶことが必要です。登録を行った法人や、法人と連携して事業を行う関係団体に対して、関係省庁が支援を行うことで、各地の日本版DMOの形成・確立を後押ししています。

・広域連携DMO
複数の都道府県にまたがる観光地域づくりを行う組織
・地域連携DMO
複数の地方公共団体にまたがる観光地域づくりを行う組織
・地域DMO
単独市町村で観光地域づくりを行う組織

観光庁が登録主体となり、関係省庁は、登録を行った法人や連携して事業を行う関係団体に対して支援を行います。登録制度を設けることで、各地の日本版DMOの形成・確立の促進、地域の情報を共有、各法人間の役割分担がされた効率的な観光地域づくりの実現を目指しています。

DMOの課題

マーケティング戦略

iStock/metamorworks1

多くのDMOでは、財源の確保の点で課題を抱えています。DMOが継続的な活動を行うためには、安定的な運営資金の確保が必要です。日本版DMOの登録要件に「安定的な運営資金の確保」として、安定的な運営資金が確保される見通しがあること、と明記されています。DMOの財源として想定されるものは、行政からの補助金・委託事業や特定財源のほか、独自の収益事業があります。課題としてあげられるのは、地方創生の交付金など補助金に運営費を頼るDMOが少なくないという点です。それらは、時限的なことも多くあります。DMOの持続的な運営のためには、単なる補助金の受け皿になるのではなく、独自の財源も併せ持つ必要があります。

DMOによる新たな観光地域づくりへ

伸びしろ

iStock/voyata

商品を売り込むときには、マーケティング戦略が非常に重要です。顧客のニーズ、市場動向を把握したうえでビジネス展開をする必要があります。これは、各地域にとっての商品である観光地でも同様のことが言えます。地域資源を掘り起こし、全国、世界に通用するものをつくり、戦略的な情報発信と プロモーションを行うことで、外から人を集め、地域にとって持続可能な観光産業を作ることができるのです。DMOによる戦略的な観光地経営は、観光地域づくりの新たな道が拓かれることが期待できそうです。

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