手ぶら観光とは
「手ぶら観光」とは、荷物が多い&大きい訪日外国人観光客のために日本政府が推進している取り組みです。空港や駅、商業施設などのアクセスのよい場所で荷物を一時預かり、駅やホテルなど次の目的地へ郵送するサービスをいいます。
このサービスの目的のひとつは、大きな荷物を持って移動する外国人観光客の不便を解消し、気持ちよく過ごしてもらうこと。もうひとつは、手ぶらで観光してもらうことによって、外国人観光客の消費額をアップさせることです。
手に荷物をたくさん抱えている状態と手ぶらの状態では、どちらの方がより買い物をしたりレジャーを楽しんだりしやすいか、想像してみるとわかるでしょう。
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手ぶら観光が推進される理由は?
手ぶら観光が推進される理由について、もう少し深掘りしてみましょう。
国土交通省がまとめた資料によると、手ぶら観光が浸透することで得られるとされる効果は以下の通りです。
- 世界最高水準の宅配サービスでのおもてなし
- コインロッカーや列車内荷物置き場不足の解消
- 国内旅行の快適性・利便性向上
- 訪日リピーターの増加
- 消費拡大
快適性や利便性の向上、消費の拡大については上で述べた通りですが、他にもさまざまなねらいがあるようですね。
世界最高水準の宅配サービスでのおもてなし
世界中に物流サービスはありますが、中でも日本の技術・サービスレベルはトップクラスと言われています。
預かった荷物を丁重に扱い、時間通りに目的に確実に届ける。日本人にとっては当たり前に感じられる宅配サービスも、外国人にとっては最高の「おもてなし」のひとつと感じられるのかもしれません。
コインロッカーや列車内荷物置き場不足の解消
例えば都心部の駅には、たくさんのコインロッカーがあります。しかし、当然ながらロッカーの数にも、配置できるスペースにも限りがあります。電車など公共の乗り物に乗った場合も、大きなスーツケースを置いておくスペースを確保するのは難しいです。
手ぶら観光が広まると、コインロッカーや列車内の荷物置き場不足の問題もクリアできます。荷物を持ち歩く外国人にとっても、外国人を迎える日本人にとっても大きなメリットです。
訪日リピーターの増加
手ぶら観光によって得られるのは、まとめてしまえば「満足感」と言えるでしょう。せっかく海を越えて旅行に来たのだから、ストレスなくその土地での観光を楽しみたいのは当然のことですよね。
手ぶら観光で満足感を得られれば、それは日本という国自体への満足度にもつながります。「また観光にきたい」と思ってもらえるかもしれませんし、周りの人に「日本はとても良かったよ」と話してくれるかもしれません。
このように、手ぶら観光を推進することでさらなる新規観光客やリピーターを生むことが期待されています。
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手ぶら観光を利用する流れ
外国人観光客が手ぶら観光を利用する場合の流れを説明します。なお、料金や詳細については宅配カウンターごとに違いがあるため、あくまで一例となります。
手荷物一時預かり
例えば東京駅など、観光の拠点となる場所にある宅配カウンターでは、一時預かりを行っていることがあります。
コインロッカーの場合は預けられる荷物の大きさに制限がありますが、この場合は大きさを気にする必要がないため、荷物が大きく&多くなりがちな外国人観光客にとっては使い勝手のよいサービスと言えます。
利用の流れとしては、一時預かりに対応しているカウンターまで行き、手続きするだけ。料金は、預ける荷物の大きさや重量によって変わることがあります。またカウンターには営業時間があるので、時間内に受付・引き取りを行います。
配送サービス
宅配カウンターで預けた荷物を、そのまま希望の場所まで配送してもらうサービスです。送り先は駅や空港、提携のホテル、海外の自宅などが選べます。
こちらも営業時間内にカウンターへ行き、送り状を記入して配送を依頼します。一時預かりと同様、荷物の大きさや重量、数などに応じて料金は変動します。
また、当日の配送を希望する場合は受付時間が早めに設定されているので、事前にチェックしておきます。
ホテルと手ぶら観光の関係性
手ぶら観光で送られてくる荷物を受け取る以外に、ホテル自体が宅配カウンターとしての機能を持つ場合もあります。その場合、「手ぶら観光共通ロゴマーク」の認定を受けることで、さまざまなメリットが受けられます。
手ぶら観光共通ロゴマークとは
認定を受けると、「手ぶら観光共通ロゴマーク」を受付カウンターに提示できるようになります。これにより、外国人観光客から「ここで手ぶら観光をやっているな、荷物を預けられるな」とわかりやすくなる効果があります。
認定を受けるには、「スーツケース及び土産品の配送または一時預かりの、少なくとも一方が取扱可能であること」「特定エリアに当日配送または翌日配送が可であること」「料金体系の一覧(英語で記載されたもの)をカウンター上やパンフレット等に明示すること」など、複数の要件をクリアする必要があります。
認定を受けるメリット
手ぶら観光共通ロゴマークの認定を受けるメリットには、以下のようなものがあります。
- 外国人観光者へのPR
- JNTOの手ぶら観光HPでカウンター情報を掲載(PRになる)
- 補助金を利用できる
具体的な補助金の内容は、
- 手ぶら観光カウンターの開設、改修費用
- 設備費用
- 多言語化に要する経費
などについて、国から支援を受けられるものです。
手ぶら観光はホテルが提供するおもてなしの一つ
日本政府では、外国人観光客の利便性向上や消費拡大を目的に、手ぶら観光を推進しています。そのなかで、外国人観光客が必ず立ち寄るといっても過言ではないホテルなどの宿泊施設と、手ぶら観光は深い関わりがあると言えるでしょう。
ホテルは空港や駅から荷物が運ばれてくる、いわば「ゴール」としての役割を持つ一方で、チェックアウト時にはさまざまな場所へ荷物を送る「スタート地点」にもなるわけです。
手ぶら観光は、外国人観光客に日本での滞在を楽しんでもらうため、気持ちよく過ごしてもらうためにホテルができるおもてなしの一つです。補助金制度などを上手に活用し、ホテルの利便性を高めていきましょう。