ブロックチェーンは地方創生にどう貢献できるのか？

地方創生は、簡潔にいえば官民一体となり、地域の活性化を進めるための施策のことを指します。一見して、ITやWEBなどの技術とは関係がないように思えるものの、実際にはブロックチェーンなどの最先端技術が地方創生を更に加速させる可能性があります。では、地方創生はブロックチェーンによってどのように変化していくのでしょうか。地方創生やブロックチェーンがどのようなものかにふれたうえで、現状や相乗効果、今後どうなっていくかをみていきましょう。

地方創生とブロックチェーンとは

地方創生とブロックチェーンはどちらも漠然とした定義で使われることも多いものです。特に地方創生においては、それが何を意味するものなのかわからないことも。また、最先端技術であるブロックチェーンに対しても理解が進んでいるとは言い難い状況です。そうした状況をふまえたうえで、地方創生とブロックチェーンがどのようなものか解説していきます。

地方創生とは

国立社会保障・人口問題研究所が発表しているデータは、人口減少が進んだうえで2040年までに数百の自治体が消滅する予測をたてています。地方創生とは、そうった人口減少・経済力の低下を防ぐための一連の施策のことです。例えば、移住施策や雇用対策、町おこし、空き家の活用なども地域創生に含まれます。

出典:国立社会保障・人口問題研究所　日本の将来推計人口

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンとは、暗号通貨の基幹技術として使われている分散型の台帳です。記録性、セキュリティ性に優れ、ネットワークが繋がっていれば、

• どこからでもアクセスできる
• あらゆる処理が高速化できる
• 台帳を誰でも管理できる

などのメリットがあります。また、中央集権的な管理でないため、ブロックチェーンのシステムのアップデートは民間の人々が民意を反映した機能をつけることも可能です。

どうして地方創生にブロックチェーンなのか？

地方創生は地域の経済を盛り上げ、自治体としての力を失わないための施策です。しかし、その管理システムは中央集権型であり、地域創生の施策も自治体と民間の温度差に気付かないことも。

対して、ブロックチェーンは、独立したネットワークをもつシステムで、サーバーなどのシステムに頼る必要がありません。そのため、データを大きく失うこともなく、不具合が起きにくいといえます。

ブロックチェーンを活用した場合、金融機関などは地域内の経済だけでなく、世界中から顧客を集めることも可能となります。また、日本では電気代の関係により事例は少ないものの、暗号通貨のマイニング(新規発行)を行うなどの取組もあります。

地方創生とブロックチェーンの現状

地方創生及びブロックチェーンの現状を知っていきましょう。現状を知ることでこれからの対策や傾向がみえてきます。

地方創生の現状

地方と政府の取組は、ほぼ中期～長期的なものが多いといえます。例えば、東京への人口の転入超過をどう防ぐかやU・Iターンへの支援金などは官民一体となった取組です。しかし、地域での求人が増加していてもそれを担う人材が足りないなどの問題は深刻化しています。

人材が足りなければ、経済は縮小しつづけることになるものの、具体的な対策に踏み込めていないのが現状だといえるでしょう。

ブロックチェーンの現状

ブロックチェーンは、国によってはすでに行政システムの根幹として使用されるほど有用性が期待されています。また、日本国内でも、大手起業ではすでにいくつかのプロジェクトが始動しており、既存のシステムのあり方を大きく変化させる可能性があります。

また、公文書の管理をブロックチェーンで行うなど、暗号通貨のシステムの一部という見方ではなく、「有用なシステムをどう活用するか」に焦点があてられているのが現状です。

ブロックチェーンが解決する地方創生と社会課題

ここでは、ブロックチェーンがどのような課題を解決するのかみていきます。既存のシステムで解決できなかった課題に、ブロックチェーンはどのようにアプローチができるのでしょうか。

地方の財政難を解決できる(地域の価値の可視化)

地域のPRなども含め誰に対してアプローチしているものかわからないものを、明確な目的を持って活用することが可能となります。例えば、その地域に興味を持つ人に直接アプローチできる通貨の発行などはブロックチェーンを活用するからこそできることだといえるでしょう。

契約の自動化

契約はブロックチェーンによって自動化でき、データへのアクセス・閲覧・印刷なども手軽になります。加えて、地域に存在する不動産会社なども物件の情報をプラットフォームに流し、内見の予約や見学を行うなどの手続きの簡略化を行うことが可能です。

商品情報の追跡

地方で生産した生産物の行く先を管理することが可能です。どのように管理するのかはまた別の問題であるものの、出荷したものが望んだ人々に届いていることなどを確認できます。また、どのようなルートをたどっているのかも確認できるため、産地の偽装が生まれにくくなるといえるでしょう。

地方自治体におけるブロックチェーンの活用事例

日本国内でもすでにブロックチェーンを活用した地域創生は事例があります。ぜひ参考にしてみてください。

1.雇用創出

地方自治体とブロックチェーンを扱う企業が共同で1つの町を、ブロックチェーン都市として策定する取組があります。今後更にブロックチェーンに関連する雇用創出が可能となり、既存のシステムに頼らない街づくりが進んでいくといえるでしょう。

2.不動産プラットフォームの運営

不動産のプラットフォームは、中間者が存在しないため、初期手数料が安くなるというメリットがあります。また、不動産だけでなく、資産管理がブロックチェーンによって可能となるため、資金の移動に手間が生じなくなります。海外ではすでに売却と契約の実例があるため、日本の地方にもその動きは広がっていくでしょう。

3.トークンの発行

トークンを発行する目的は、地域の経済の活性化です。トークンは独自通貨のことを指します。すでに日本でもいくつかの自治体が発行・検討しており、資金集めの手段であるICOなども実施されています。今後、地方自治体が主体となってトークンを発行する機会はさらに増加していくと予想できます。

ブロックチェーンは地方創生を加速させる

地域創生は、地域全体の活性化を行うための施策です。そして、既存のシステムでは叶わなかった運用方法や課題を改善・解決できる可能性がブロックチェーンにはあります。そのうえで、今後どのような取組みが地方自治体によって行われ、ブロックチェーンがどのように関わっていくのかに着目してみましょう。