「雇い止め」とは?
雇い止めとは、契約社員などの有期雇用の従業員に対して、契約更新をせずに契約期間満了を理由に契約を終了させることです。
新型コロナウイルス感染症の影響によって勤め先の経営が悪化した結果、雇い止めにあった人が急増しています。2020年12月上旬、厚生労働省は感染症拡大による解雇や雇い止めが、見込みを含めて7万242人になったと発表しました。
解雇・雇い止めの中心には宿泊業界も含まれており、他人事ではない事態が生じています。
雇い止め自体は違法ではありませんが、雇い止めを無効にできるケースもあります。それは
「契約自体が実質的に無期雇用者と変わらないような場合」と「契約更新に合理的な期待が生じているような場合」が該当します。
たとえば、以下のケースでは雇い止めが無効となる可能性があります。
この場合の雇い止めは、客観的かつ合理的な理由が見当たらないので、無効となる確率が高いでしょう。
会社都合で雇い止めになったとしたら、ご自身の状況を冷静に見極めつつ、今後の対応をよく考えていくことが不可欠です。どのような対策が必要になるのか、しっかりと身に付けておきましょう。
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「雇い止め」と「解雇」の違い
雇い止めとは有期雇用社員の雇用期間が満了になったことを理由に、会社が契約を更新せずに終了させることですが、解雇は雇用期間の途中で会社が契約を終了させることを意味しています。
つまり、契約期間の満了で終了させるのが「雇い止め」、その途中で終了させるのが「解雇」ということになります。
いずれにしても会社が一方的に雇用契約を終了させていることに変わりありません。
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会社都合の雇い止めで損をしないための対策
会社都合で雇い止めを言い渡された場合、そのまま黙って引き下がってしまうと損をしてしまうことがあります。
そうならないためにも、いざというときのために対策をチェックしておきましょう。
失業保険を受け取る
雇い止めによって失業保険を受け取るためにも、離職票は必ずもらうようにしてください。失業保険をより多く受け取るためには、離職票に書かれた「離職理由」も非常に重要なポイントとなります。
たとえば、以下のようなケースは給付金の日数が多めに設定されます。
- ・特定受給資格者(会社の倒産など、経営の悪化によって雇い止めにされた場合)
- ・特定理由離職者(契約期間の更新を希望したが、会社に拒否された場合)
悪質な例だと、離職理由が正しく記載されていないといったことが発生したこともあります。離職理由は、失業保険の金額に大きく影響するので、正しく記載されているのかも確認することが大切ですよ。
損害賠償・慰謝料請求をする
正社員はもちろんのこと、非正規労働者も労働基準法や労働契約法に守られており、違法だと判断された場合は雇い止めは無効となります。
法令に違反するような悪質な雇い止めが行われたときには、損害賠償や慰謝料を請求したり、和解金を得ることもできるのです。
「雇い止めが無効になるのはいいけど、職場に復帰するのは気まずそう」という方は、早期退職手当を解決金に含めて済ませることも可能です。
違法・不当な雇い止めを無効と認めさせる
違法・不当な雇い止めが行われた場合、会社に雇い止めを無効と認めさせれば復職できることがあります。
ただし、条件を満たしたうえで法律をもとに無効を主張する必要があります。自分で判断して行動を起こすのではなく、まずは信頼できる弁護士に相談してみてくださいね。
会社都合の雇い止めの相談はお早めに!
会社都合の雇い止めに違和感を持ったら、一度、労働基準監督署や弁護士、労働組合に相談したほうが良いでしょう。
無料相談も行っているので、まずはそれを活用し、自分が雇い止めで損をしないためにはどうすればよいのか、専門家の話を聞いてみることも大切です。
まだまだ新型コロナウイルスの感染が落ち着く気配はありません。それに伴って業績が悪化していく会社もさらに増え、不当な解雇や雇い止めも増加していく恐れがあります。
もしものとき、すぐに対策を取れるよう、相談窓口を詳しく調べておいても良いかもしれませんね。
実際に雇い止めにあったときには、会社に雇い止めの理由をしっかりと聞くようにしてください。理由に納得がいかなければ、「どのようなことを言われたのか」をメモしましょう。相談時にはその記録が役に立ちますよ。