「旅館のご飯が多すぎる!」という批判は多い?
最近、SNS上で「旅館で出た夕食の量が多すぎる」という内容の意見が炎上しました。
それをきっかけとして、「たしかに旅館の夕食量は多い」という声も上がりましたが、食事量について旅館側を擁護する声もあり、賛否両論が生まれています。
擁護派の意見としては以下のようなものがあります。
- ・豪華な食事が、旅館に宿泊する楽しみでもある
- ・食事量の多さは旅館側の心からの”おもてなし”の表れだと思う
- ・事前に「食事量を減らしてください」と旅館側に伝えるべき
事実、「宿泊者から旅館側への配慮も必要である」という声がほとんどです。しかし、旅館の夕食に出される料理の品数と量の多さに対して、食べきれずに毎回申し訳なく思うお客様も増えてきているそうです。
実際にお客様から「ご飯の量が多すぎる」と、クレームとまではいかずとも直接指摘された旅館は少なくありません。
SNS上での「旅館で出た夕食の量が多すぎる」という意見の炎上は、旅館の夕食量の多さは日本らしいおもてなしの表れなのか、それとも過剰なサービスなのかという点についても、大きな議論を呼んでいます。
たかがSNS上での炎上と見過ごさず、今後旅館がどのように対応していけば良いのか、改めて見直してみることが必要かもしれませんね。
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なぜ旅館のご飯の量は多くなるのか
旅館のご飯の量の多さには、根本に「日常を忘れるような豪華な食事を提供したい」「お客様に満足していただきたい」という想いがあるはずです。
ただ、旅館によって食事量に対する考えに若干の違いが見られるようなので、それぞれチェックしていきましょう。
日本料理だから品数が多い
大半の旅館は日本料理をメインに提供していることでしょう。日本料理は少しずつ、たくさんの皿数をそろえるのが基本です。
そのため、どうしても品数が多くなってしまうという見方をしている旅館もいます。サービス業である旅館側としては、お客様には少しずつ色々な料理を楽しんでほしいという考え方もあるのかもしれませんね。
さまざまな客層のニーズを満たすため
せっかく宿泊していただくからには、旅館としては、さまざまな客層のニーズを満たすためにサービスの質を落とさないように細心の注意を払いたいですよね。
さまざまなお客様がいるということは、食事の楽しみ方も多種多様です。
お酒を楽しみながら一品ずつ豪華な料理をつまむ方もいれば、旅館のこだわった夕食をご飯や汁物まで味わう方もいるので、食事量をすべて少なめにしては物足りないお客様も。
できるだけ多くのお客様のニーズを満たそうとすると、たくさん食べるお客様に合わせて食事を用意する必要があるのです。
お客様をご馳走でもてなす旅館側にも、お客様の希望に合わせて臨機応変に食事量を減らせるように準備しておくことも必要ですね。
“量もご馳走のうち”という考え方がある
旅館側の気持ちとしては、「お腹いっぱい食べてほしい」「量が少ないと満足してもらえないのでは?」といったサービス精神があります。
やはり、お客様には旅行先や宿では日常から離れてゆっくりしてほしいものです。
それは旅館の料理にも通ずるところがあり、旅館で提供されたものが一般的な食卓に出てくるような量や品数だと、お客様に特別感を味わってもらえるのかという心配もありますよね。
料理の味は一級だとしても、見た目の豪華さにも気を配りたいと考えるのはおかしいことではありません。
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旅館のご飯で大事なのは量か?それとも質か?
昨今、旅館の食事に対して、量よりも質を求めようとする声も目立ってきています。
というのも、新型コロナウイルスの影響で団体客が減ったかわりに、個人旅行に移り変わっている傾向が背景にあり、フードロス削減のためにも料理の量を少なくする必要性にも迫られているのです。
そのため、ほぼ個人のお客様がメインになった旅館業では、現在、料理の品数を減らして、より質の良いものを提供する方向へシフトしている宿も多いようです。
しかし、個人客と団体客が混ざっているような比較的規模の大きい旅館は、料理の量と質をバランスよく決めるのはとても難しいことですよね。
食事の量をとるか質をとるかは、その旅館の規模によって判断しなければならないでしょう。
お客様に旅館のご飯の量に満足してもらうために
特に海外のお客様や若年層の間では、宿泊と食事は別と考えて、地元の方たちと交流しながら飲食店や居酒屋で食事を楽しむ人がたくさんいます。
とはいえ、現状は、まだまだ旅館ならではの料理を求める方は多くいらっしゃいます。
お客様のニーズになるべく応えるために、「少量プラン」を用意するなどの対応もおすすめです。旅館によっては、少なめの食事量にしておいて、別料金で追加注文を受け付けているところもあります。
すぐにできる対策としては、予約していただいた時点で事前に食事量を確認しておく工夫も必要かもしれませんね。
“おもてなし”のバランスも考えよう
料理をどれだけ豪華に並べても、食べきれないほどの品数があることに満足感を得る方や、反対に料理をすべて食べきれないことに不満を感じるお客様は、たしかにいらっしゃいます。
まさに食事量に関しては、それぞれのお客様で感じるものは異なります。旅館にできることといえば、臨機応変に対応できるような工夫を考えておくことでしょう。
ご予約いただいた時点で食事量について確認することも一つの方法ですが、前もって食事量が調整できることを、お客様に明確に示しておく工夫も必要かもしれません。