ホテルや旅館の客室が臭い
ホテルや旅館の客室は様々な人が利用します。煙草に限らず、客室の匂いを気にするお客様は多くいます。
客室清掃の際には、部屋の換気を行ったり、消臭剤などを利用した対策を取っているはずです。
特に煙草にや香水に関しては、好き嫌いが分かれるものですし、中には臭いで気分を悪くしてしまう人もいます。
部屋が臭いことを理由に、部屋を変更したいという要望が出ることも実際にある話です。快適に滞在していただくためにも、煙草に限らず清掃時の匂いへの配慮はとても大切です。
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喫煙で起こるホテルのトラブル
喫煙でによって起こるトラブルについて紹介します。匂いだけでなく、火災などの大きな事故に繋がる可能性もあるため、宿泊施設側が対応についても考える必要があります。
匂い
ホテルや旅館の客室には、喫煙ルーム・禁煙ルームに分けられていることが一般的かも知れません。
煙草の匂いは、布製品にしみついてしまうことがあり、部屋を清掃する際に換気を行っても、カーテンや寝具から匂いがするということもあります。
清掃後、新しいお客様が入室するまでの間は、部屋を閉め切っていることも起因して、開けた途端に煙草の匂いが漂ってくるようなこともあるでしょう。
そもそも匂いというものは好き嫌いが分かれやすいものです。煙草は特に万人受けする匂いではないので、匂いが原因でお客様からのクレームが発生してしまうこともあります。
火災
煙草を吸うためには、当然ながら火を使用しますければなりません。
宿泊施設や住居での喫煙で起こり得る問題として、火災が挙げられます。寝煙草や吸い殻の不始末が原因となって、火災は起こります。
不始末が原因となっておこる火災はたばこ火災とも呼ばれ、平成29年の出火原因別でみると3,712件もの火災がたばこ火災であることが分かります。
参照:総務省消防庁HP
過去には、宿泊客の不始末が原因で大きな火災が発生し、多くの死者、負傷者が発生したこともあります。
火災にはならずとも、寝具やカーペットに灰が落ちて焼け焦げてしまうといったトラブルもあります。
一時的に客室の販売ができなくなるといったこともあり、そういった理由から客室内での喫煙が禁止されることもあるようです。
受動喫煙
煙草が体に害があるということは、多くの人が知っていることでしょう。煙草には多くの有害物質が含まれており、喫煙者の健康が害されるということは、様々な場面で提唱されています。
煙草による害は、喫煙者に対してのみ起こることではありません。
度々聞くことのある受動喫煙ですが、煙草から発生する副流煙という煙を吸うことで起こります。
体に有害な物質が多く含まれており、ニコチンやタールといった有害物質は喫煙者が吸う主流煙よりも多く含まれていることもあると言われています。
従業員の中にに喫煙者がいる場合は、従業員の健康も考慮して、喫煙に関するルールやガイドラインを用意しておく必要があります。
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健康増進法の全面施行
2018年7月に成立した健康増進法の一部を改正する法律が、2020年4月1日より全面施行されました。これにより、屋内施設や店舗などの喫煙ルールに変更がありました。都道府県条例等によって、より細かいルールが定められている地域もあります。
参照:厚生労働省HP 健康増進法の一部を改正する法律(平成30年法律第78号) 概要
健康増進法の改正
健康増進法の改正により、多数の利用者がいる施設や旅客運送事業船舶・鉄道、飲食店等では、原則として屋内禁煙となりました。
ルールは大きく、「屋内の原則禁煙」、「喫煙室設置」、「喫煙室への標識掲示義務付け」、「20歳未満の喫煙エリアへの立入禁止」の4つが定められており、違反すると、罰金の対象となることもあります。
客室での喫煙は可能
改正健康増進法においては、「人の居住の用に供する場所は適用除外」という趣旨の内容が含まれています。ホテル・旅館の「客室」も原則禁煙とされていますが、客室は居住の用に供する場所であることから、例外的に喫煙が可能です。
客室での喫煙の可否については、宿泊施設によって異なります。
ホテル・旅館における「屋内」というのは、ロビーや宴会場、ホールなどのことを表します。そういった施設内での喫煙には「喫煙専用室」を施設側が用意する必要があり、その場所では喫煙することが可能です。
宿泊施設での喫煙
客室での喫煙は原則禁煙としながらも、決定についてはホテル毎に異なります。喫煙室の設置、標識掲示義務など、義務付けられていることに対しては正しく実施する必要があります。
喫煙室の設置
宿泊施設での喫煙は、エントランス付近に喫煙可能なエリアを設置したり、喫煙ルーム、ロビーの中に喫煙室を設置するなど、誰もが快適に過ごせるような配慮が必要です。
匂いや健康被害に関する対策はもちろんですが、喫煙者の要望も考えなければなりません。一般的に、煙草は良くないものとされていますが嗜好品であって、喫煙そのものを完全に禁止することは出来ません。
喫煙する人、しない人、どちらも快適に過ごせることが求められます。喫煙者が周囲への配慮をすることと同じように、喫煙者を必要以上に追いやるようなことがないよう、ホテルや旅館は配慮することが必要です。
従業員の喫煙
ホテルでの喫煙について考えなければならないのは、お客様に対してだけではありません。
従業員の喫煙、エチケットやマナーについても考えなければなりません。
お客様への配慮
宿泊施設での喫煙でもう一つ大切なことは、従業員の喫煙です。
特に、接客をする立場の場合は匂いに注意しなければなりません。喫煙をした後の、自分自身から発せられる匂いやに気を付けることは、エチケットでありマナーです。
制服が臭い、髪や手から煙草の匂いがするといったことで、お客様に不快な思いをさせてしまうことがないようにしましょう。
仕事が忙しい中で、喫煙が一息入れるタイミングであったり、従業員同士のコミュニケーションのきっかけであったり、何もかもが悪いというわけではありません。
お客様に対する配慮と同様に、吸う人と吸わない人はそれぞれ気持ちよく過ごせる環境を整えることは、企業として考えるべきことです。
誰もが心地よく過ごせるホテル・旅館をつくる
煙草を吸うことについては、意見が分かれることが多くあります。
害のあるものと思って嫌煙する人もいれば、愛煙家と呼ばれるような人もいます。
健康増進法の改正によって喫煙に対する厳しさは増していますが、全面的に禁止されているものではありません。
法律を守ることは当然のことですが、お客様の心地よさや快適さも守らなればなりません。
喫煙について考えることは、誰もが心地よく安心して過ごせるホテル・旅館づくりのきっかけと言えるかもしれません。