旅館のバリアフリー化は誰もが当事者になり得るという心のバリアフリーから始まる

旅館やホテルの多くがバリアフリー化を進めています。バリアフリー法によって定められた基準があり、より多くの利用者が安全に、安心して利用できるような工夫がされています。バリアフリーは決して特別なことではありません。私たちの全員が当事者であり、対象者になり得るということを理解することが大切です。

目次

    バリアフリーとは

    iStock/PeopleImages

     

    段差を無くしたり、手すりを付けたり、そういった工夫がされることは当たり前になってきました。バリアフリーは、バリアフリー法という法律によって細かく定められているものです。

     

    バリアフリー法

     

    高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律として、バリアフリー法というものがあるのはご存じでしょうか。

     

    2006年12月に、病院やデパートなど不特定かつ多数の人が利用する建物を対象とする「ハートビル法」と鉄道やバスなどの公共交通機関を対象とする「交通バリアフリー法」を統合する形で施行されました。

     

    この法律の特徴のひとつとして、市町村による重点整備地区の設定というものがあります。

     

    例えば、駅から病院へ向かうなどの頻繁に使用される道のりと、利用する交通機関を想定して、その動線上のバリアフリーを地域毎に進めるというものです。

     

    政府は、2018年11月にバリアフリー法の一部を改正しました。

     

    顕在化する課題がいくつも存在すること、増加する外国人観光客に対する配慮の多様化、そういった理由によって、バリアフリー化のは急務であるといえる状態です。

     

    新築、新設に関わらず、既存の施設や設備にもバリアフリー化の義務が課せられれおり、当事者の参画による利用者による効率的なバリアフリー化を狙った基本構想制度が設けられています。

     

    旅館のバリアフリー

    iStock/Navamin-keawmorakot

     

    バリアフリー法で定められている内容は、建物の構造や設備に関わるものだけではありません。私たちの心に対する、ソフト面のバリアフリーの必要性についても考える必要があります。

     

    建物のバリアフリー

     

    バリアフリー法の中では、ホテルや旅館は特定建築物と分類され、バリアフリー法の対象となっています。

     

    例えば、2,000 m²以上のホテル又は旅館を建築する場合には、建築する客室の総数が50~以上のときは、車椅子使用者用客室を当該客室総数の1%以上設けなければならないとされています。

     

    他に、出入口の幅と前後のスペースを80㎝以上、廊下は120㎝以上というような細かな基準も設定されています。

     

    また、客室についても以下のような基準があります。

     

    • ・客室の出入口幅有効80cm以上 
    • ・客室内の便所及び浴室等の出入口幅 有効70cm以上(努力義務75cm以上)
    • ・客室内に階段又は段を設けない

     

    和室の場合は対象にならないこともあるようですが、最近では和洋室のようなスタイルを導入する旅館も増加しており、バリアフリー化を可能にしています。

     

    心のバリアフリー

     

    バリアフリー法の中では、ソフト面のバリアフリーとして心のバリアフリーの強化についても打ち出されています。

     

    バリアフリー法の中では、バリアフリーに関する教育や啓発への国の支援も盛り込まれています。バリアフリーを社会的課題とし、私たちの生活に直結したものと捉えることが重要と考えられています。

     

    心のバリアフリーには、バリアへの気付きに対する効果が期待されます。

     

    バリアフリーは、目が不自由な人、車いすを利用している人だけに向けられたものではありません。乳幼児を抱えた人や、日本語が分からない外国人、高齢者もその対象です。

     

    何がバリアになっているのか、どのような手助けが必要なのか気付くことが、ハード面のバリアフリーの第一歩です。

     

    決して特別なことではないという意識を持つことが、心のバリアフリーには必要です。

     

    旅館のバリアフリーの具体例

    iStock/9Air

     

    旅館が実際に取り入れているバリアフリーの例を紹介します。

     

    客室のバリアフリー

     

    障害の有無や年齢に関わらず、多くの人が利用できることを考えた設計をユニバーサルデザインと言います。

     

    ホテルや旅館の中には、ユニバーサルデザインを取り入れた、ユニバーサルルームを設けている場合があります。

     

    客室内の段差を無くしたり、手すりを設置するほかに、ベッドやスイッチの一を低くするなどの工夫がされています。

     

    温泉のバリアフリー

     

    温泉地にある旅館の場合は、入浴に関する配慮が求められるでしょう。

     

    車いすを利用している場合や、高齢者の場合は、入浴に関わる課題が多く存在しています。転倒のリスクなどもあり、入浴を躊躇してしまう人も少なくはないでしょう。

     

    温泉利用に対するバリアフリーとしては、客室との段差がない露天風呂付きの客室や、リフト付きの温泉もあります。

     

    また、予約時の依頼で介護ヘルパーの派遣を手配している旅館もあるようです。

     

    情報のバリアフリー

     

    目が見えない、耳が聞こえないといった障害を抱えている場合には、正確な情報を得ることが難しい場合があります。

     

    点字、筆談など、情報の伝達方法への工夫が必要です。特に、非常時の情報については重要です。客室内に警報ランプが設置されていたり、非常時に寝具が振動するなどの工夫がされていることがあります。

     

    また、情報の伝達は外国人観光客に対しても同様に課題があります。外国人観光客の増加と共に、多言語化nたいする意識が高まっています。

     

    館内や室内の案内をの表記に外国語を取り入れたり、従業員の外国語対応も情報のバリアフリーと言えるものです。

     

    旅館のバリアフリーに活かせる補助金

    iStock/fizkes

     

    バリアフリー化の必要性や重要度は理解していても、改修に関わる費用は当然ながら課題になります。観光庁は、旅館やホテルに対する補助金によって支援しています。

     

    宿泊施設バリアフリー化促進事業

     

    観光庁は、2018年から訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金(宿泊施設バリアフリー化促進事業をスタートさせました。

     

    宿泊施設が実施する客室や共用部のバリアフリー化改修等の取組を支援のための補助金で、1宿泊事業者当たり上限500万円が、公募によって交付されます。

     

    高齢者・障害者等を含めた訪日外国人旅行者の増加を見据えた、利用客の安全・安心の確保を図るための改修等を支援する目的で実施されています。

     

    旅館のバリアフリーはバリアを知ることから始まる

    iStock/AzmanL

     

    バリアフリーは、障害の有無や年齢、人種に関わらず、誰もが平等で公平であることを目指したものです。

     

    全員が全く同じ状態になることは難しいことかもしれませんが、安心・安全であることは平等でなければなりません。

     

    バリアが何であるか、どんな手助けが必要なのかは、それぞれ異なります。

     

    バリアフリー化に重要なのは、旅館のどの部分が誰にとってのバリアなり得るのか気付くことから始まります。

     

    そして、必要だろうという想定と、実際に必要となる受け手側の意識に隔たりを無くすことも大切です。

     

    誰もが当事者であるという意識、当事者になり得るという意識が求められます。

     

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