ホテル・旅館で起きた労災の事例と労災に遭った時の対処方法を解説!

宿泊業は、労災に特に注意が必要な業界です。ちょっとした気の緩みが大事故に繋がる恐れがあり、実際に数々の労災が起こっています。ホテル・旅館で起きた労災の事例を知り、労災に見舞われたらどう動くべきなのかを把握しましょう。

目次

    ホテル・旅館における労災に注意!

    骨折

    Paylessimages – stock.adobe.com

     

    労災とは「労働災害」の省略で勤務中や通勤中に発生したケガ・病気を指す言葉です。

     

    どのような職業でも労災は起こり得ることですが、宿泊業では特に注意が必要です。宿泊業での仕事は、滑りやすい浴室の清掃・高温の油を使う調理・重い物を運ぶなど事故発生の危険が伴う業務が多いのです。

     

    また、長時間労働による疲労やストレスによって、心身の病気にかかるリスクも一般的な会社員より高いと言えるのではないでしょうか。

     

    現在宿泊業で働いている人、これから働きたいと考えている人はホテル・旅館で起こった事例を知り、危険を避けるために何ができるかをかを考えましょう。また、労災に遭ってしまったらどう行動するべきかも併せて解説します。

    ホテル・旅館で起きた労災の事例

    倒れた脚立

    奈津美 中村- stock.adobe.com

     

    さまざまな設備や施設を備え、常に人が出入りするホテル・旅館では常に労災と隣り合わせと言っても過言ではありません。それでは具体的に、ホテル・旅館のどこでどのような労災が起きているのでしょうか。労災が多発している場所や作業の事例を見ていきましょう。

    浴室清掃時の労災事例

    浴室清掃では滑って転倒しケガを負うなどの他、薬品の誤った取り扱いによる中毒も発生しています。浴室清掃という日常的な作業であっても、一歩間違えれば大変な事故が起きるのですね。

     

    • ・湯舟の縁に乗って浴場のガラスを清掃していた際、足を滑らせて転落し、肋骨を折るケガを負った
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    • ・浴槽や配管を二酸化塩素で洗浄する作業において、本来の手順を守らず一度に大量の二酸化塩素発生錠剤をバケツの水に溶かして浴槽に投入。浴槽内から二酸化塩素ガスまたは塩素ガスが発生し、被災者2名のうち1名が塩素ガス中毒の疑いで入院した
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    • ・大浴場の塩素注入器に誤って別の薬剤を入れたことで塩素ガスが発生、吸い込んだ被災者が気道熱傷で入院した

    飲食提供での労災事例

    調理や配膳など飲食提供に関連することは、特に労災が発生しやすい傾向にあります。火や油の使用時に関わらず、さまざまな事故が起きています。事例を読み、気持ちを引き締めて取り組みましょう。

     

    • ・調理場で長靴を履いて歩いていたが、洗浄液などで床が濡れていたため転倒し左肘を強打して骨折
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    • ・食器の入ったカゴを持って階段を下りていたところ、階段の降り口に置いてあったスリッパを踏んで転倒し左足の薬指を骨折
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    • ・冷凍庫から物を取り出す時、右手に包丁を持ったまま庫内の物を出そうとして手が滑り、左手親指に包丁が当たって切り傷を負う
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    • ・脚立に乗って料理に使う梅を採取していたところ、脚立が不安定だったために背面から転落。腰椎を骨折した

    館内・客室清掃での労災事例

    ホテル・旅館の労災が起きているのは、浴室清掃や飲食提供の場面だけではありません。危険が伴う作業であるにも関わらず、日常的に行うことで危機意識が薄れてはいないでしょうか。取り返しの付かない労災に見舞われる前に、作業のやり方を見直しましょう。

     

    • ・プールの清掃中に、足を滑らせて仰向けに転倒。頚椎と腰椎を捻挫した
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    • ・安全帯を付けずに雪下ろし作業を行って転落死
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    • ・ゴミ袋の中の割れたガラス瓶の破片が混ざっており、足に刺さってくるぶしに切り傷を負った

    過酷な労働による労災

    ケガや体の病気の他、メンタルヘルスの労災も発生しています。長時間労働や変則的なシフトがあり、人間関係のストレスを感じやすい宿泊業においては、心の健康を守る意識が重要です。

     

    • ・ホテルのレストランの調理師が月に250時間の残業や同僚の暴力によってうつ病が発症。労災認定の裁判が起きている

    ホテル・旅館で労災に遭ったらどうすればいい?

    病院

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    宿泊業に限らず労災は、いつでも起こり得る可能性があります。実際に労災に遭った時、慌てず冷静に対処できるよう、労災の知識を身に着けておきましょう。

    労災保険で補償されるもの

    企業は全ての従業員を労災保険に加入させる義務があります。雇用形態や勤務時間、従業員数などに関わらず、必ず加入させなければなりません。

     

    そのため、勤務中や通期中に発生した病気やケガであれば、労災保険によって治療費や働けなくなった日数の賃金が補償されます。

     

    また、障害が残った場合や死亡してしまった場合の一時金、葬儀の費用なども労災で補償されることを覚えておきましょう。

    労災で病院の治療を受ける

    業務中または通勤中のケガや病気によって病院にかかる場合、労災保険の利用方法は2通りあります。

     

    ・労働保険指定医療機関で無料で治療を受ける

     

    ・労働保険指定医療機関以外の病院で治療を受け、医療費を立て替えて支払った後、労働基準基準監督署に請求書を提出して全額給付を受ける

     

    いずれの場合も必ず労災で利用することを医療機関に伝え、自分の健康保険は使わないようにしてください。健康保険を使ってしまうと、健康保険から労災保険への切り替え手続きが必要になったり、一時的に医療費を全額負担する必要が出てくるため、注意が必要です。

     

    参照:健康保険の使用に関する注意について/厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

    休業補償の給付を受ける

    業務中または通勤中のケガや病気によって働けなくなった場合の休業補償の給付を受けるための手続きは、以下の通りです。

     

    まず、医師と事業主の証明を記載した請求書を労働基準監督署へ提出します。請求書をもとに労働基準監督署が病気やケガの原因が業務によるものなのか、休業が必要か否かといったことを調査し、支給・不支給が決定されます。

     

    請求の受付から、支給・不支給の決定までは1か月程度掛かる場合があるため、できるだけ早く請求を行いましょう。

     

    なお、労災保険制度の詳しい概要や給付の手続きについては厚生労働省のホームページで詳しく確認することができます。障害が残った場合・死亡した場合に遺族が行う手続きについても記載されているので読んでおくと良いでしょう。

     

    参照:労災保険の概要・請求について/厚生労働省

    ホテル・旅館の労災を防止するのはひとりひとりの意識

    今回紹介した事例を見ると、物を出しっぱなしにしていたり、安全対策を怠ったことによって発生した労災が多いことが分かりますよね。

     

    お客様に良いサービスを提供するためには、安全に働くことができる環境が必要不可欠です。ホテル・旅館で働く人はぜひ、労災防止に強い意識を持ってください。

     

    また、労働環境に不安があるなどの理由で、転職を検討しているならおもてなしHRがおすすめです。おもてなしHRは、ホテル・旅館に特化した転職支援サービスです。知識豊富な専任アドバイザーが、希望に一致する宿泊施設への転職をしっかりサポートしますので、ぜひご利用ください。

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