ホテルのビジネスモデルの種類とホテル業界の新たなビジネスモデルとは?

新型コロナウイルスの影響で、ホテル業界は大きな打撃を受けています。このように、外的要因に影響を受けやすいホテル業界では、社会動向・社会情勢をチェックし、経営に反映させることが大切です。実際に、流行に敏感なホテルでは、新しいビジネスモデルが続々と登場をしていますので、ホテル経営やホテルのビジネスモデルについての理解を深め、自ホテルの経営にお役立てください。

ホテル業界でも新しいビジネスモデルが続々登場

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スマートフォンや、インターネットの普及は、現代人の余暇の過ごし方に変化を与えるようになりました。

これらの普及やライフスタイルの変化に伴い、一時は旅行客減少に警鐘を鳴らしていた政府でしたが、観光庁が示したデータによると、2019年度の日本人の国内宿泊旅行の消費額は前年比+1.4兆円、訪日外国人旅行の消費額は+0.3兆円であり、観光は未だに根強い人気があるということがわかっています。

しかし、ホテル業界をはじめ、観光業は景気などの外的要因を受けやすい業界であることに変わりはありません。常に先の時代を見ながら行動を続けなければ、生き残りは難しい業界とも言えるでしょう。

民泊やゲストハウスが増え、競争が激化している今、流行に敏感なホテルは続々と対抗策を打ち出しており、新しいビジネスモデルも増えてきました。

ホテル業界で注目が集まる新たなビジネスモデルへの理解を深め、経営のヒントにしてみてはいかがでしょうか。

参照:旅行・観光消費動向調査 / 観光庁

ホテルのビジネスモデル:4つの運営方式

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ホテルのビジネスモデルを考える前に、ホテル経営にまつわる知識をおさらいしていきましょう。4つの運営方式をご紹介しますので、「誰が経営・運営をしているのか」ということに焦点をあて読み進めてみてください。

所有直営方式

土地・建物ともに自社が所有し、直接経営をするのが所有直営方式です。多くの資金が無いと取ることができないこの所有直営方式は、電鉄・航空会社などを中心に展開されています。

急速にホテルを増やすことはできませんが、知名度があるため、経営は安定的です。所有直営方式は、独立型とも呼ばれ、ホテル経営の基本とも言える経営形態となっています。

リース方式(賃貸借契約)

土地・建物のオーナーと賃貸借契約を結び、運営はホテル会社が行うという方式が、リース方式です。

建設の必要がないため、所有直営方式より開業はしやすいものの、土地・建物のリース料は決して安いものではないため、電鉄やホテルの子会社などが運営を行うという場合が多いようです。

管理運営委託契約方式(マネジメントコントラクト方式)

土地・建物のオーナーとホテルの経営会社、ホテルの運用会社の3者からなるのが、管理運営委託契約方式(マネジメントコントラクト方式)です。土地・建物のオーナー自身がホテル経営者である場合もあります。

運営は全てホテル運営会社が行い、ホテルの売上に応じて運営の委託料が支払われます。また、土地・建物のオーナーとホテル運営会社が共同出資をし、ホテル経営会社を設立するという場合もあるようです。

オーナーはホテル経営・運営のノウハウがなくとも売上が上がり、運営会社も高額出資をしホテルを建設する必要がないため、双方にメリットがあります。

フランチャイズ方式

コンビニエンスストアなどでもよく耳にするフランチャイズ方式は、ホテル業界でも取られています。

ホテル経営会社は、加盟料(フランチャイズフィー)と、売上の一部の契約料(ロイヤリティ)をチェーン本部に支払う必要がありますが、国内外の有名ホテルの名を借り、有名ホテルのノウハウをもとに経営をすることができます。

その他の方式

  • ・リファーラル方式:独立の直営ホテルが相互送客協定を結び運営する経営形態
  • ・アフィリエイト方式:世界で有名な独立ホテルを組織化する経営形態

上記のように、リファーラル方式や、アフィリエイト方式という方式でホテルを経営しているホテルもあるようです。

ホテルのビジネスホテル:業態の分類

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ホテルのビジネスモデルにまつわる基礎知識は、運営方式のほかに業態の分類もあります。「どんな経営をしているのか」という観点で分類分けがされています。

  • ・シティホテル:大都市の中心部にある、高級ホテル
  • ・ビジネスホテル:都市部の駅周辺にある、比較的安価なコンパクトホテル
  • ・リゾートホテル:行楽地・保養地にある、高級ホテル
  • ・複合型ホテル:都市部・行楽地にあるテーマパークなどと複合したホテル
  • ・エコノミーホテル:都市部駅周辺にある、宿泊に特化した安価なホテル

上記は、業態分類の一例です。その他、ホテルのクラスごとにラグジュアリーホテル、ハイエンドホテルなどと呼ばれるものもあります。

新たなビジネスモデルを考える前には、自ホテルはどのような位置づけとなっているのかを、改めて第三者視点で確認をするのがよいでしょう。

ホテルのビジネスモデル:収益構造のメインとなる3つの部門

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ホテルの収益構造は、宿泊部門・料飲部門・宴会やイベント部門の大きく3軸に分けることができ、各部門の売上構成比は約30%ほどと言われることが通説です。

ホテルの経営形態や業態は、立地に大きく左右されるため、気軽に方向転換はできません。よって、従業員が目をつけるべきは「何をメインに売上をあげているのか」という売上構成比です。

ホテルの収益構造のメインとなる3つの部門の機能を、改めてみていきましょう。

宿泊部門

宿泊部門は、ホテルがメインで提供しているサービスです。文字通り、お客様の宿泊にかかる料金は宿泊部門で計上されます。

宿泊部門の売上向上で重要となるのは稼働率でしょう。稼働が高ければ高いほど、安定して売上を上げることができるため、日々高稼働を維持していくのが宿泊部門の使命です。

週末や大型連休などは高稼働を見込むことができるため、どのホテルも宿泊料金を上げ、客室を提供していることが大半です。プランは無数に打ち出すことができるので、自ホテル独自の宿泊プランを提供することも、売上の向上に繋がります。

料飲部門

ホテルの中に設置してあるレストランの飲食代金は、料飲部門で計上されます。

宿泊客の利用はもちろんのこと、宿泊せずとも利用できるレストラン・バーなどを持っているホテルは、安定して売上をつくることができるでしょう。

また、テコ入れしやすいのは朝食です。会場があるホテルであれば郷土料理のバイキング、大きな会場がないホテルであればトーストとコーヒーを全宿泊客に提供するというほどの少しの工夫で、多くの評判を生み出すこともできます。

宴会・イベント部門

宿泊・料飲部門は地道に売上を積み立てていくものですが、動くお金がもっとも大きいのは宴会・イベント部門でしょう。宴会・イベントの売上割合が大きいホテルであれば、その割合は売上全体の約半数にもなるほどです。

しかし、団体旅行客の減少と比例して、宴会やイベントの売上が減少しているというホテルも増えています。

宴会・イベントで売上を再度伸ばす仕組みを作るのか、はたまた個人旅行にフォーカスし、宿泊や料飲部門などで売上を伸ばすのか、などという戦略を練るということが、今後のホテルのビジネスモデルを考えるうえで重要なポイントとなることでしょう。

ホテルのビジネスモデル:ビジネスモデルで重要な4つの視点

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ホテルのビジネスモデルを考えるうえでの、ホテル経営にまつわる基礎知識をご紹介しましたが、いよいよここからが本題です。ホテルのみならず、ビジネスモデルを考えるために重要な4つの視点をご紹介します。

Who(顧客は誰か)

ホテルのビジネスモデルを考える場合であれば、ターゲットを明確にすることが大切でしょう。ビジネスホテルであればビジネスマンなどの男性が多いでしょうし、行楽地であればファミリー層がメインターゲットである場合が多くあります。

自ホテルの立地、地域性などを鑑みて、メインターゲット、サブターゲットを決定しましょう。現在設定しているターゲットで競合に打ち勝つのが難しい場合、必要に応じ、ターゲットを変更に、大幅な方向転換をとるのも手です。

What(どんな価値を顧客に提供するのか)

ホテルは宿泊施設ですから、メインで提供しているのは「宿泊環境」です。そこに、どれだけの付加価値をつけるかということを考えれば、様々なビジネスモデルを創り上げることができます。

とにかく宿泊環境を整備し、お客様の「睡眠の質を高め、翌日の英気を養う」ということに特化した価値提供を行うホテルもあります。その一方で、「大自然を満喫する」という価値提供をするために、体験型のプランを設けているリゾートホテルもあります。

自ホテルが狙うターゲットに向け、どのような価値提供ができるか、またはどのような価値提供をしていきたいのかを考える必要があるでしょう。

How(どのようにして適切な価格で価値を提供するのか)

もっとも考えやすく、具体的なのが「How」の項目です。「What」が目的であれば、「How」は手段・行動と言い換えることができるでしょう。

前述の続きで言えば、睡眠の質の向上を目指すホテルは、全室のベッドのグレードをあげると同時に、全室に空気清浄機を設置したという手段を用いたようです。リゾートホテルの場合は、乗馬ができる体験型のプランを販売し、集客を強めたという事例があります。

新しいビジネスモデルを打ち出す際には、検討する手段を通じ、お客様に適切に価値提供ができるかを、じっくりと考えてください。

Why(なぜそれが利益を生むのか)

「Who」、「What」、「How」の全ての整合性が取れているかどうかを確認するに必要なのが「Why」という項目です。

ビジネスを続けていれば、時に手段が目的にすり替わってしまうということが生じます。当初打ち立てた目的と手段が混同してしまえば、何のために価値提供をしているのかがわからなくなり、ビジネスの継続が困難になることもあるでしょう。

新たなビジネスモデルを打ち立てる時には、この「なぜ利益を生むのか」という確認を行い、定期的に外的要因と照らし合わせるなどを行い、目的を再確認する必要があるでしょう。

逆に、ビジネスの足取り悪くなった場合は、「なぜ利益を生まないのか」という視点で考れば、新しい道が開けるかも知れません。

ホテル業界の新たなビジネスモデルの例

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冒頭でご紹介した通り、ホテル業界にも新たなビジネスモデルが続々と確立されています。ホテル業界で注目の集まる4つのビジネスモデルをご紹介します。

IoTを活用し省人化を実現したホテル

IoTを活用し、受付、お客様の荷運び、ルームサービス運びをロボットが行うことで、省人化を実現したというホテルも登場しています。

省人化はもちろんですが、お客様を楽しませるという要素も大きいこの取り組みは、エンターテインメント性が高いと国内外で話題となり、新たなビジネスモデルとして注目を集めました。

実際に書籍が購入できるブックホテル

近年、徐々に店舗を増やしているのがブックホテルです。ブックホテルは、書店に併設されているカフェなどと同じように、宿泊客が自由に本を手に取り、読書にふけることができるというホテルです。

宿泊料は多少割高に設定はされていますが、中には、古書や新書が天井まで所狭しと並ぶ空間を用意し、書籍の購入ができるというホテルもあり、全国の読書好きから注目が集まっています。

客室で時間を過ごすことが多いホテルと相性の良い、新たなビジネスモデルと言えるでしょう。

賃貸の部屋を客室としたホテルチェーン

インド発、日本でも導入が始まり注目を集めているのが、賃貸の部屋などを客室とした新しいビジネスモデルのチェーンホテルです。

賃貸の部屋を客室としているホテルは、どうしても「ホテル」のイメージがつきづらく、集客に苦戦するということが多く起こります。

そんな集客に苦戦するマンションなどの独立系ホテルオーナーはフランチャイズ本部と契約を交わすことで、AIに適正価格の設定をさせたり、収益の管理システムが使えるようになることで、経営を軌道に乗せるというホテルが増えています。

該当チェーンホテルであれば、安価で一定の満足度が保障されるような部屋の提供がなされるため、利用客も増えています。テクノロジーを最大限に活用されていることに魅力を感じ、加盟ホテルも続々と増え、その動向は近年、全世界のホテルから注目が集まっています。

テレワーク可での日中の利用者増を目指すホテル

2020年の社会経済に大きな打撃を与えている新型コロナウイルスにより、新たな収益源確保に踏み出すホテルも登場しています。デイユースを「テレワーク・リモートワーク可」とし、宿泊よりも安価な料金で客室を提供しているホテルです。

ビジネスモデルとまで銘打つことは難しいかも知れませんが、「新しい生活様式」のための価値提供をいち早く行ったホテルは、お客様の記憶にも残るうえ、通常時では生まれなかった収益を確保することができます。

また、クラウドファンディングで旅館の立て直し金を募るホテルもあるようです。

リターン品などを施設利用券とすることで、後の集客増に繋げることにも期待が持てます。固定概念にとらわれずに、新たなビジネスモデルを打ち出すために様々な角度から経営を考えてみてくださいね。

ホテルの新たなビジネスモデルを確立するには広い視野が必要!

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ホテルがビジネスモデルを確立する際に必ず振り返っていただきたいのは、4つの視点です。

自ホテル・周辺ホテル・周辺地全体の市場調査を行ったうえで、「誰に」、「どんな価値を」、「どのような手段で」提供するかを考え、時に「なぜ利益が発生するのか」を振り返りながら、検討を進めれば、新しい道は開けることでしょう。

そして、前提としてホテルが新たなビジネスモデルを確立するために必要なのは、徹底した市場調査を行うこと、そして広い視野を持つことです。「そこに時間や人材を割けない…」ということであれば、人材を雇い、新たな価値観を自ホテルに取り入れるのも一つの手です。

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