接遇の基本を理解しよう

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接客業では、従業員に対して接遇の向上を求める場面は多くあることでしょう。接客と接遇の違いや、接遇にはどういった効果があるのかご紹介します。
接遇は、接客業で使われる言葉です。接客と同意であるように言われることもありますが、接遇の方がより丁寧で手厚い対応でおもてなしをするような意味を持っています。接客は直接的なサービスで接遇は間接的なサービスである、という表現がされることもあります。
接遇は、医療の現場や介護の現場で使用されることもあります。医療接遇や介護接遇を言われ、患者や利用者、その家族の生活の質を向上させる目的を持っています。
また、接遇そのものは質の高いコミュニケーションスキルを身に付けたうえで実践されるものであることから、従業員同士の関わり方や業務の効率を向上させる効果も期待されています。
接遇の指導で大切なことは?

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接遇を指導するためには、接遇とはどういったものなのか基礎から理解してもらう必要があります。そして、それらを効果的に活かすためには感性を育てる必要もあります。
求められる接遇マナー
接遇には、5原則と言われる基本的なマナーがあります。
- ・挨拶
- ・表情
- ・態度
- ・身だしなみ
- ・言葉遣い
どれも、日常生活で取り入れられているような、小さな頃に一度は教わったことがありそうな内容であることに気がつきませんか?
元気に挨拶をする、正しい言葉を使う、身だしなみを整える、当たり前じゃないかと思うようなことが、接遇の基本なのです。
接遇の基本は、日常でのコミュニケーションの基本と同じです。では、どこに違いがあるのでしょうか。
接遇での行動には、相手に対する思いやりの心が伴なっている必要があります。相手の立場に立って相手の事を先に考え、相手よりも一歩先に動く、先回りの行動を取ることが求められます。その気持ちを持ったうえで行われるかどうかが大きな違いでしょう。そしてこれが、接遇の難しさです。
相手の立場に立った挨拶、相手の気持ちを考えた表情、好印象を与える態度や身だしなみ、言葉遣いを考えなければなりません。相手に対する気持ちが込められ、それが相手に正しく伝わる行動が接遇なのです。
接遇の指導方法
接遇の指導の場で行われるのは、単なる基本の習得にはとどまりません。基本を知ったうえで、効果的な活かし方や見え方を学ぶ機会を提供することも大切です。
どのような指導、伝え方が効果的なのでしょうか。接遇を学ぶ場面で度々耳にするのは、お客様の立場に立つ、おもてなしの心を持つというような、実に抽象的な表現です。接遇の指導の場では、実際にどのような行動がお客様の立場に立った行動なのかを明確に提示して、理解してもらう必要があるでしょう。
会ったばかりのお客様に、どのような意識を向ければ思いやりを持つことできるのかを具体的に伝える必要があります。
接遇は、相手の気持ちや感性にアプローチするものです。お客様に喜んでいただく、心地よい空間を提供するためにはまず、そういった体験を自ら積み重ねることが大切です。
接遇の指導の場では、褒めることや気づきを言葉にすることを意識して、従業員の喜びや心地よさの体験をつくり出すことから始めると良いのではないでしょうか。
接遇の改善を行うには?

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接遇を指導することの始まりは、意識の変化を求めることです。基本だからこそ、身について癖になっていることもあります。残念ながら人は簡単には変わりません。そこをどうやって指導し改善につなげていくのでしょうか。
接遇の評価は、接遇を受けた人によってされるものです。表情や身だしなみ、言葉遣いの印象は、自分では分からないものです。
自分では良いと思っていても相手は不快に感じているということに気づかなければ、行動を変えることはできません。
接遇の改善のためにはチェックシートが効果的です。チェックシートを用いることで、接遇力の可視化をすることができます。〇×式や段階評価にし、同様の項目を自分と他者の両方の視点で評価するような仕組みにすることで、新たな気づきが生まれる可能性があります。
接遇の講習の内容とは?

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接遇を学ぶために、講習が開かれることがあります。多くは外部から講師が招かれ、接遇の
プロと呼ばれる人から技術やノウハウを教えてもらうことができます。講習では、基本的な知識や様々なビジネスシーンで役立つ振る舞い方について学習することができます。
他業界で活躍した人からの話を聞くこともでき、新しい視点を学ぶ良い機会にもなります。
社内で組織的に指導改善が行われるものとは異なり、より広い視野を持った他者の話を聞くことができるので、自分自身の接遇を振り返るきっかけにもなるでしょう。
接遇で愛されるホテルマンとホテルをつくる
ホテルには接遇が求められる場面が多くあります。ホテルマンの接遇の質はホテルを支えています。お客さまに長く愛されるホテルをためには、愛されるホテルマンを育てる必要があるでしょう。
接遇力は、コミュニケーション力です。コミュニケーション能力が発揮されるのは、接客の場面だけではありません。従業員同士の意思疎通がスムーズに行われれば、労働環境は整い
業務効率も向上します。接遇力を高めることは、従業員一人ひとりの人間力を向上させることにも繋がります。
定期的なチェックシートの活用や講習など、接遇の改善に効果的な指導を取り入れて、お客様にも従業員にも愛されるホテル作りを意識してみると良いのはないでしょうか。