温泉の種類によって特徴や効能が異なる!
温泉の種類ごとに、泉質の特徴や効能が変わります。温泉水に含まれる成分の違いで泉質は分類されており、温泉法によってそれは細かく規定されています。
泉質の特徴はそれぞれ異なりますが、温泉に浸かって得られる効能は基本的に共通しています。
ただし、これらの効能はそれぞれの泉質に共通しているものに過ぎません。基本的な効能に加えて、泉質ごとに特化した効能があるのです。
温泉の泉質は、以下の種類に分けられます。
・塩化物泉
・炭酸水素塩泉
・硫酸塩泉
・二酸化炭素泉
・含鉄泉
・硫黄泉
・酸性泉
・放射能泉
早速、泉質ごとの特徴や効能を見ていきましょう。それぞれの温泉の種類について細かく書かれた記事も紹介しておりますので、もっと詳しく知りたい方はチェックしてみてくださいね。
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単純温泉
通称:「美肌の湯」「美白の湯」
特徴
多くは無色透明・無味無臭で、肌への刺激が少ないことから、誰でも泉質を気にすることなく楽しめる温泉として知られています。
お湯はやわらかく、クセがありません。敏感肌の方だけでなく、赤ちゃんや子ども、妊婦、ご年配の方なども安心してお湯に浸かれるので、家族での温泉旅行には単純温泉がピッタリですよ。
効能
単純温泉の泉質はシンプルですが、体への効き目はもちろんのこと、うつ状態などの心の病にも効能があるようです。
また、単純温泉に含まれるアルカリ性の成分が肌の新陳代謝を促進させるので、肌の疲れも取り除く効果も期待できます。
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塩化物泉
通称:「熱の湯」「温まりの湯」
特徴
塩化物泉は海水のような塩分を含む泉質で、磯の香りを感じる方もいらっしゃるそうです。
通常は無色透明ですが、鉄分を含んでいると緑っぽい色や、赤褐色となる場合もあるのだとか。
保湿効果が高く、ポカポカと体の芯から温まるので湯冷めしにくい泉質となっています。特に冬場に塩化物泉に入ると、よりリラックスできるかもしれませんね。
効能
湯冷めしにくい特徴は、冷え性にお悩みの方にはおすすめの泉質です。
また、塩化物泉に含まれる塩分は殺菌力に優れているので、切り傷などに効果が表れやすくなっています。
それだけでなく塩化物泉の泉質は女性ホルモンのエストロゲンの働きを活発にする働きもあるので、月経障害や婦人症にもよく効くそうです。
炭酸水素塩泉
通称:「美肌の湯」「清涼の湯」
特徴
炭酸水素塩泉は、とろりとしたお湯ざわりが特徴です。
基本的には無臭ですが、各地の炭酸水素塩泉に含まれている成分によって薬や鉄のような匂いがするお湯もあります。
炭酸水素塩泉に浸かれば、肌の水分の蒸発が活発になります。水分が蒸発すると同時に体の熱が逃げていく作用があるので、湯上りはとても爽やかな気分を味わえるでしょう。夏場におすすめの泉質です。
効能
炭酸水素塩泉の成分は肌の新陳代謝を高めてくれるので、切り傷だけでなく慢性皮膚病にも効能があります。
古い角質や皮脂汚れも落としてくれるので、肌をツルスベにする効果もありますよ。
硫酸塩泉
通称:「傷の湯」「脳卒中の湯」
特徴
硫酸塩泉のなかでも、含まれている成分によって以下のような種類に分けられています。
・芒硝泉(ナトリウム硫酸塩泉)
・正苦味泉(マグネシウム硫酸塩泉)
3種類はそれぞれ微妙に特徴が異なりますが、共通しているのはお湯の色です。はじめは無色透明ですが、時間が経つにつれて緑褐色に変色していくのです。
保湿効果が高いので、乾燥肌の方にも向いている泉質でしょう。
効能
硫酸塩泉は「脳卒中の湯」というニックネームが付くほど、血圧を下げる効能に長けた泉質です。
血圧を下げたい方のほか、痛みを和らげる鎮静効果は病後の回復を目指す方にとって相性が良く感じられるでしょう。
さらに、硫酸塩泉に含まれる成分は肌をコーティングしてくれるので、肌のハリを取り戻す働きもあるようです。
二酸化炭素泉
通称:「心臓の湯」
特徴
天然の二酸化炭素泉は、日本ではあまり見られない珍しい泉質です。
お湯は無色透明で、無臭です。二酸化炭素泉に浸かると体中に炭酸の泡が付きますが、シュワシュワとした感覚は、他の泉質ではなかなか体感できない爽快感があるでしょう。
ぬるめのお湯なのでゆっくり長湯したい方にはうれしい泉質かもしれません。
効能
二酸化炭素泉に含まれる炭酸ガスの泡は、皮膚に直接刺激を与えます。それが血液の循環を促し、血圧を下げ、血行を促進してくれるのです。
ぬるめのお湯だからこそ血圧が上がりにくく、高血圧で悩む方にはピッタリの泉質です。動脈硬化や心筋梗塞の予防にも最適だとも言われています。
心臓に負担をかけずに血行を促進してくれる効果があるので、医療の分野でも注目を集めているようです。
含鉄泉
通称:「婦人の湯」
特徴
含鉄泉は「赤湯」とも呼ばれていますが、源泉は無色透明です。温泉の色が赤や黄色、赤茶色となっているのは、空気に触れた瞬間に酸化したからだそうです。
鉄がさびたような匂いを感じますが、それだけ多くの鉄分を含んでおり、お湯に含まれる鉄分の熱伝導率によって体がよく温まるという特徴があります。
血液やリンパの流れを促すので、老廃物が流れやすくデトックスされ免疫力がグンと上がるでしょう。
効能
鉄分を多く含む含鉄泉は、女性特有のお悩みに大きな効果があります。
筋肉量が少なく体が冷えやすい女性は、冷え性や生理不順といった体のトラブルが起こりやすいのです。そこで含鉄泉に浸かれば、皮膚からも鉄分を補えるのでお悩みの症状が緩和される可能性が高まります。
体の不調を感じる方は含鉄泉で体を温めてみましょう。
硫黄泉
通称:「生活習慣病の湯」
特徴
硫黄泉は「卵が腐ったようなにおい」という独特な特徴を持っています。「温泉に来た!」と実感するような匂いと言う方もいらっしゃるそうです。
源泉の色は無色透明ですが、空気で酸化すると乳白色やエメラルドグリーンに変色します。
硫黄泉は刺激が強い泉質の一つなので、敏感肌や乾燥肌の方は、湯上りに必ずシャワーを浴びて温泉の成分を洗い流すようにしましょう。
また、硫黄泉に浸かるときはネックレスやブレスレット、ピアスなどのアクセサリー類は外すようにしてください。時計やメガネのフレームなども黒く変色してしまう恐れがあるので、注意が必要です。
効能
硫黄泉の成分は血管を拡張させる効果があるので、高血圧に不安を抱える方にはピッタリです。動脈硬化や心臓疾患、脳卒中などの予防にも役立つでしょう。
殺菌効果も高い硫黄泉は、外傷の治りを早くするほか、慢性皮膚病にも効能があるようです。
酸性泉
通称:「皮膚病の湯」
特徴
ほとんどの酸性泉は無色透明ですが、ほんのりと黄味がかったお湯もあります。独特な刺激臭があり、お湯をなめると酸味を感じることもあるそうです。
酸性泉は刺激が強い泉質なので、敏感肌や乾燥肌のほか、小さい子どもや妊婦、ご年配の方には不向きかもしれません。
もともと酸性泉は火山の噴気孔近くから湧き出る場合が多く、高温になりやすくなっています。やけどが不安な方は、お湯の温度を確かめながら慎重に湯船に浸かりましょう。
効能
刺激が強い酸性泉ですが、殺菌力や抗菌力に優れており、特に皮膚病に効果があると言われています。
また、酸性泉にはピーリング効果もあるようです。酸性の成分が余分な角質を溶かすので、肌の新陳代謝を促し、くすみやシミ、シワ、色素沈着などの肌トラブルを改善する働きがあるのです。
ただし、お湯から上がったらシャワーで成分を洗い流し、保湿ケアをしっかり行うことは忘れないようにしてくださいね。
放射能泉
通称:「万病の湯」
特徴
放射能泉は無色透明・無味無臭ですが、刺激が強めの泉質となっています。
「放射能」と聞くと体に悪いイメージがありますが、温泉水に含まれるものは体内に取り込まれてもすぐに排出されるので悪影響を及ぼすことはありません。
むしろ放射能泉は体に良いとされています。微量の放射能で体に負荷をかけることによって免疫力を上げることを「ホルミシス効果」と言い、多くの症状を改善・緩和する作用があるのです。
放射能泉は「浸かる」「吸う」「飲む」ことでホルミシス効果を高められるので、一度試してみることをおすすめします。
効能
放射能泉は「万病の湯」と称えられるほど、効能が多い泉質となっています。放射能泉には、その効能の多さと高さから、やみつきになるファンがたくさんついているそうです。
しかし、万病といってもどんな疾患や症状も治るわけではありません。他の泉質と比べて多くの効能があることは確かですが、医師との相談のうえ利用することが大切ですよ。
自分の状態にあった温泉に入って体を癒そう!
温泉の種類をよく理解しておけば、自分の調子に合わせた泉質を利用することができます。
「住んでいる場所の近くだから」「人におすすめされたから」という理由で温泉を堪能するのも良いですが、たまには泉質から選んでみると温泉の楽しみ方が増えるかもしれません。
さまざまな泉質を試し、ご自身に合った泉質を探していきましょう!