NDCとは?NDC導入のメリットと旅行業界への影響について

NDCという言葉を見聞きしたことはあるでしょうか。NDCは「New Distribution Capability」の略で、あえて和訳すると「新たな流通を可能とするもの」と表現できます。ここでは、航空券の流通に大きな変革をもたらすNDCについて、その概要や導入のメリット、航空・旅行業界に与える影響について解説します。

NDCとは?

航空券予約システム

iStock/scyther5

NDCとは「New Distribution Capability」の略で、航空会社の業界団体であるIATA(国際航空運送協会)が推進する、航空券流通データの新しい通信規格です。具体的には、航空券の検索・予約・決済・発券などの処理を行う際、航空会社と旅行会社のシステム間でやり取りするデータの形式を定義しています。

大手航空会社を中心にEUや欧米の人気経路でNDC手配が始まり、日本においても航空会社独自のコンテンツ販売に注力し、NDCを介した手配が増えてきました。
今後、航空会社はますます運賃やコンテンツの販売を強化するでしょう。空港や航空機の設備が進化しサービスが複雑になるとその分手配も複雑になります。そこで、GDSに加えてシンプルに解決するために登場したのがNDCというわけです。

NDCの役割とは?

航空流通規格

iStock/Chainarong-Prasertthai

NDCの役割とは何でしょうか。NDCが登場する以前から使用されているGDSと比較しながらご紹介します。

GDSとは?

GDS(Global Distribution System)とは、世界中の航空会社やホテルなどの予約・発券ができるコンピュータシステムで、各社の予約システムと接続されており、リアルタイムでの予約が可能です。世界各国の旅行会社に設置されていたり、旅行会社の予約システムと接続して販売されていたりします。

GDSとの違いは?

GDSの画面は、基本的に文字によって構成されています。そのため、航空機に新しく導入したシートのデザインや機内食のメニューなど、画像や動画で情報を得ることはほとんどできず、アンシラリーサービス(航空券本体以外の付加サービス)も柔軟に販売することはできませんでした。NDCはこうした課題を解決しようと開発され、統一の規格を設定することにより、航空会社と情報を必要としている人が直接やり取りする自由度を高めたものです。

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NDC導入のメリットは?

空港ラウンジ

iStock/zxvisual

航空会社や旅行会社がNDCを導入するメリットはどこにあるのでしょうか。3つの観点から探ってみましょう。

コンテンツの充実

航空券における座席の指定、機内食、ラウンジ利用などを写真や動画を使ってアンシラリーサービス手配も充実させることができます。また、扱える予約クラスが大幅に増えるため、手配の幅が広がるというメリットもあります。

顧客ロイヤリティ

顧客全員に同じサービスやコンテンツを提供するのではなく、顧客一人一人に最適な情報を提供したり、マーケティング活動を行うことが可能です。また、マイレージ会員サービスを基にパーソナライズされた限定価格の航空券やプロダクトを提示することができます。

システム連携

NDCは、XMLという方式で航空券に関する様々な情報をやり取りするためのデータ規格。世の中にある様々なシステムと連携が可能で、親和性の高さがNDCの特徴です。

NDC導入による航空・旅行業界への影響

機内サービス

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NDCの登場により、航空会社や旅行会社の販売機能は向上しますが、旅行の流通は複雑であり、この状況は変わらないと言われています。現在、複数から集まるコンテンツを一元管理できるのはGDSだけです。その他にも、予約や変更、顧客サービス、旅行規定への対応、請求書発行、データ解析など、GDSは幅広い役割を担っています。

旅行業界では、一人の顧客に対し数多くの人や企業が関わり様々な価値を提供しようと取り組んでいます。NDCの導入によって、これまでにはなかった商取引が考案されるようになるでしょう。航空会社や旅行会社がNDCをどう活用していくか、そして様々な事例を基に良い方向に形成していくと考えられています。NDCとGDSを組み合わせて活用することが、最強の手配方法だと言えるでしょう。

日本におけるNDC

日本の空港

iStock/baona

NDCはIATAにより世界中に導入されています。このNDCにより、航空会社は顧客に対して販売力の強化、航空製品の差別化、アンシラリサービスの提供が可能になりました。
日本市場でのNDC導入は、欧州地域のフライトがお得に予約できる、手荷物をお得に追加できるなど、様々な部分で期待できます。
また、今後は独立系のNDCが日本市場へ参入することが予想されます。その中で、GDS事業のスリム化は避けられず、航空旅客に対してのサービスレベルの差別化や多様化を図ることになるでしょう。航空会社や旅行会社は、日々変化する利用者のニーズに対応していくことが大切です。

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