2024年現在、新型コロナウイルスによる行動制限が解除されたことや、円安の影響などもあり、宿泊業は再び盛り上がりを見せています。宿泊客のさらなる増加が見込まれますが「それに対応できるだけの人材確保ができない……」と悩むホテルもあるでしょう。ホテルの人材確保は、なぜ困難になりがちなのでしょうか。理由や対策方法を見ていきましょう。

ホテル業界の人材確保が困難である理由

少子高齢化が進む日本において、人材確保に頭を悩ませる企業は多いでしょう。その中でも、ホテルなどの宿泊施設では特に人手不足が深刻な状況です。

帝国データバンクの調査によると、2024年1月時点における旅館・ホテルの人手不足割合は68.6％。全業界で3番目に高い割合でした。

ホテル業界でこれほどまでに人材確保が困難なことにはどのような理由があるのか、見ていきましょう。

出典：人手不足に対する企業の動向調査（2024年1月）

給与面の満足度が低い

給与や福利厚生といった待遇面の満足度が低い職場において、人材は定着しにくいものです。

2024年4月時点で、ホテルなどの宿泊業を含む「飲食サービス業等」の月間現金支給額は13万5884円で、全業種で最も低い金額でした。この金額はパート・アルバイトで働く人の賃金も含んだ平均で、正社員として入社したり、フルタイムで稼働したりする場合は、月20万円以上もらえるケースも多いでしょう。

しかし「業界全体で平均賃金が低い」という傾向があることは事実です。そうしたイメージが定着していることにより、仕事を探す段階で「宿泊業界は避けよう」と考える人が多いのかもしれません。

出典：毎月勤労統計調査 令和6年4月分結果速報/厚生労働省

ワークライフバランスが取りにくい

ホテルの離職の理由でいちばん多く耳にするのは「ワークライフバランスが取りにくい」ということではないでしょうか。

ホテルは24時間、お客様にサービスを提供する場所です。そのため、シフト制の勤務が一般的で、夜勤や早朝のシフトもあります。バランスのよいシフトが組まれているホテルもありますが、人手不足が慢性化しているホテルでは、夜勤の終了後に数時間仮眠しただけで早朝シフトに入るということも珍しくないでしょう。

また、年間休日数が100日未満と少なく、連休を取りにくいホテルもあるかもしれません。プライベートの時間が十分に確保できなければ、仕事で感じたストレスを発散することも困難です。その結果、仕事を辞める人が多いのかもしれません。

業務負担が大きくなりやすい

ホテルの仕事において最優先されるのは、お客様に満足感を提供することです。そのため、業務の負担は大きくなりがちです。

長時間にわたる立ち仕事で疲れていても、お客様には笑顔で対応することが求められます。また、やるべきことが立て込んでいる時でも、お客様から声をかけられた時にはそちらの対応を優先しなければなりません。

接客の基本を守るだけでも大変な中で、残業せざるを得ない日があったり、時には厳しいクレームを受けたりすることもあるでしょう。

こうした業務負担の大きさがストレスとなってのしかかり、離職につながるのかもしれません。

ホテルで人材確保を実現するための対処方法

人材確保ができなければ、ホテルはサービスを提供できなくなり、やがて営業を続けることが困難になるでしょう。それを防ぐためにはどのような対処方法があるのか紹介します。

AIやロボットの活用で人間の仕事を減らす

IT技術が発展し、人間の代わりに機械ができる仕事が増えました。ホテルの中にはチェックイン・チェックアウトや、モーニングコールがすでに自動化されているところもあります。

機械に任せる仕事を増やし、従業員の負担を軽減することで離職を防げるのではないでしょうか。また、少ない人数で効率的に業務を進める上でもAIやロボットは役に立つはずです。

しかし、お客様はホテルスタッフによる、心のこもったおもてなしを期待していることが懸念として挙げられることも考えられます。高級ホテルなどでは特にその傾向が強く、お客様に直接影響する部分ではあえて機械を使わないということも。

もちろん、すべてをAIやロボットで代用すればよいというわけではありません。それらを導入する部分とスタッフによる対応が必要な部分を区別し、メリハリをつけて活用するとよいでしょう。

ワークライフバランスを考えた勤務体制にする

ワークライフバランスが取れていないと、従業員が心身を壊してしまいます。

2023年上半期における宿泊業・飲食サービス業の離職率は14.8％。生活関連サービス業・娯楽業に次いで、全産業で2番目に高い離職率でした。この中にはワークライフバランスが取れないことに悩み、辞めていった人もいるはずです。勤務体制を見直すなど、従業員の働きやすさを考えることは急務といえるでしょう。

例えば、閑散期に従業員が交代で休みをとれる制度を設けたり「退勤から次の出勤まで最低〇時間空ける」といったルールを策定したりといった工夫をしてはいかがでしょうか。

出典：令和5年上半期雇用動向調査結果の概況/厚生労働省

入社後の研修やフォローを手厚くする

「入社後に仕事を教えてもらえなかった」「十分なフォローが受けられなかった」といった理由で早期離職する人もいます。

目の前にお客様がいるホテルという職場でそのような問題が起これば、この先仕事を続けることに強い不安を感じるのではないでしょうか。

人材の定着率を上げるためには、入社後の研修やフォローを手厚くすることが重要です。新たな人材を採用する際には、研修・フォローを無理なく実施できる人数にとどめるなど、受け入れ側の状況も考慮してくださいね。

なお、おもてなしHRでは研修用の動画作成のサポートもしております。研修の質を高め、手間を減らすことの一助となるはずです。内容や料金が気になる方は、お気軽にお問い合わせください。

評価基準を明確にする

決して楽ではないホテルの仕事を長く続けてもらうためには、従業員のモチベーションを保つことが必要です。その方法のひとつとして、評価基準を明確にすることが挙げられるでしょう。

給与水準が低いといわれるホテル業界でも、役職や実力に応じて高い賃金が支給されている場合があります。「ここまで成果を出せば今より賃金が増える」といった希望が持てれば、長期に渡って働く従業員が増えるかもしれません。

また、評価制度を明確にすることは、新たな人材を募集する上でもプラスに働くことでしょう。求人情報に制度の説明を記載すれば、求職者が自分のキャリアプランをイメージしやすくなるかもしれません。

非正規雇用者の正社員化を検討する

パート・アルバイト・契約社員・派遣社員といった非正規雇用者が多いことも、ホテル業界の特徴です。このような働き方をしている人の中には「何年働いても昇格できない」といった悩みを持つ人がいるかもしれません。

人手不足が深刻なホテルにおいては、非正規雇用者も当然ながら貴重な労働力のはずです。雇用形態に関する不満による離職を防ぐためには、本人の希望や評価に応じて正社員化の機会を作ることも有効でしょう。

評価の基準を明確にし、チャレンジしやすい環境を整えることが重要ではないでしょうか。

採用活動の進め方を見直す

「求人広告を出しても応募がない」「求める人物像にマッチする応募者が現れない」といった場合は、採用活動の進め方を見直してみてください。

特に、若手の人材が欲しいなら時代に合った方法で募集することが重要かもしれません。今はオンラインで求人広告を出し、応募フォームからの簡単にエントリーできるなど、求職者にとって利便性の高い方法が主流になりつつある時代です。従来のやり方を見直すことで、新たな人材が入ってきやすくなるかもしれません。

また、採用支援サービスを活用し、自社にマッチする人材を紹介してもらう方法もおすすめ。完全成功報酬型のサービスであれば、正式に内定を出すまで費用が発生しないこともメリット。コストを抑えて人材確保を実現できる可能性があります。

ホテルの人材確保にはおもてなしHRをご活用ください

人手不足が深刻なホテル業界ですが、労働環境を整えたり、採用活動を見直したりすることで、人材確保に成功する可能性があります。観光業が再び盛り上がりを見せている今、集客のチャンスを逃さないためにも、従業員が高いモチベーションを保って働けるホテルをめざしましょう。

なお、採用活動の進め方に悩んだ際には、おもてなしHRにご相談ください。おもてなしHRは、宿泊業界を専門とする採用支援サービスです。求人広告の掲載や求職者の紹介といったサービスで、貴館の人材確保をサポートいたします。

おもてなしHRの詳しいサービス内容が気になる方は、資料請求がおすすめです。下記のボタンから無料でダウンロードできますので、お気軽にお問い合わせください。