フルコースとは?
フルコースは、格式が高いとされる西洋の正式なコース料理です。前菜からデザートまで10皿前後、決まった順番で料理が提供されます。
フランス料理においては、最も格式の高いコースは13品とされています。また、フレンチやイタリアンだけでなく、和食や中華にもフルコースという言葉が使われます。
すべての品目・種目を含んだコースをフルコースと呼ぶ習慣があるため、食事以外の場面で耳にしたことがある方も多いかもしれません。
コース料理を提供する店は高級店であることが多く、スタッフもお客様も立ち居振る舞いのスマートさに加え、マナーが求められます。
フルコースを楽しむ前に、コースの順番を学んでおきましょう。フランス料理イタリア料理のコースを中心に、中華・和食のコースについても解説します。
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コースの順番:フランス料理
コースの順番と言っても、料理のジャンルによって決まりはさまざまです。まずは、フランス料理のコースの順番を紹介します。
①アミューズ
「突き出し」や「アミューズブーシュ(ひと口の楽しみ)とも呼ばれ、店からの「おもてなし」を表現する料理。シェフのセンスが表われる。
②オードブル
「前菜」とも呼ぶ。品数の多いコースでは「冷たいオードブル」の後に「温かいオードブル」が供されることも。
③ポタージュ
フランス料理におけるポタージュには多くの食材が使われており、大変な手間がかかっていることが多い。コース料理ではオマール海老のビスクやヴィシソワーズと呼ばれる冷たいポタージュが定番。
④ポワソン
ポワソンは魚料理で、正式なフランス料理のフルコースでは最初のメインディッシュとして肉料理の前に供される。日本においては縁起が良い食材として好まれる海老を使うことも多い。
⑤アントレ
「入口」という意味で、第一の肉料理を指す。本来は前菜の役割を担う料理だったが、現在ではメインディッシュの前に食べる肉料理という位置づけ。
⑥氷菓子
次の肉料理を食べる前の口直しとして供される。果実やリキュールなどを凍らせた「ソルベ」や、氷の粒が荒い「グラニテ」などが一般的。ソルベに砂糖や卵白などを加えて滑らかにした「シャーベット」が出ることも。
⑦ロティ
肉料理のメインディッシュで、ローストした肉のこと。牛肉や豚肉の他、羊肉やカモ肉、鹿肉などが使われることもある。肉をおいしく焼くことには高い技術が必要で、シェフの腕前が特に問われる一皿。
⑧野菜料理
本来は一皿で供される料理。現代ではメイン料理の付け合わせになることが多い。
⑨チーズ
フランスでは特に好んで食べられる食材であり、コースのハイライトとも言われる重要なメニュー。ウエイターが運んでくる複数のチーズの中から、好みのものを選ぶスタイルが一般的。
⑩デセール
デザートのこと。「アシェット・デセール(皿盛りのデザート)」と呼ばれることもあり、お皿に美しく盛りつけることが一般的。ムースやアイスクリームなどくちどけの良い素材が使われる。
本格的なコースでは、次の順番で3種類のデセールが供される。
【アヴァン・デセール】
アイスクリームやジュレ、ソルベなど小ぶりでさっぱりと味わえるデザート
【グラン・デセール】
メインのデザートでもっとも豪華。クレープジュゼットやフォンダンショコラなど、食べ応えのある菓子が中心。
【ミニャルディーズ】
プティ・フルールと呼ばれる小さなお菓子。マカロンやギモーヴ、チョコレートなど一口サイズのものが出される。コーヒーや紅茶と一緒に食べる。
⑪カフェ・プティフィール
デセールが1品の場合は、最後にコーヒーとプティ・フルールが供される。
フランス料理は上記のような順序が基本です。レストランによっては、順番が前後することもあります。
また、食事と一緒に、赤・白ワインやシャンパンが提供されることがほとんどです。お皿の横にセッティングされたナイフ・フォークは、外側に置いてあるものから使いましょう。
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コースの順番:イタリア料理
次に、イタリア料理のコースについて、詳しく見ていきましょう。
①アンティパスト
アンティパストはイタリア語で「食事の前」という意味を持ち、コース料理では前菜のことを指す。
生ハムやサラミ、アンチョビを使った料理が一般的だが、イタリアでは地域によって海水魚や塩漬け肉などが提供されることも。
②プリモ・ピアット
プリモ・ピアットは「第一の皿」という意味で、パスタやリゾットが供されることが一般的。豆料理やスープが運ばれることもある。
③セコンド・ピアット
セコンド・ピアットは「第二の皿」という意味を持ち、供されるのは魚や肉、卵をベースにした料理。
プリモ・ピアットは炭水化物が中心なことに対し、セコンド・ピアットはタンパク質が中心。コントルノと呼ばれる野菜の付け合わせを添えることが一般的。
④フォルマッジ(チーズ)
フォルマッジとはチーズのこと。ドルチェを食べる前に胃を整える役目を持つと言われている。コースに登場するチーズの種類はリコッタやパルメザン、モッツァレラなど。
⑤ドルチェ
ドルチェはイタリア語で「甘美な」「優しい」「甘い」といった意味を持ち、コース料理においては食後のデザートという意味で使われる。タルトやティラミスといった菓子類の他、果物やアイスクリームが提供されることも。
⑥エスプレッソ/ディジェスティーヴォ
エスプレッソは高い圧力を掛けて抽出したコーヒー、ディジェスティーヴォは食後酒のこと。ドルチェと共に供されることが多い。アルコール度数の高いディジェスティーヴォは、消化を促すと言われている。
イタリア料理は、同じ西洋料理であるフランス料理と比べてコースの品目が少ないことが一般的で、提供の順番も異なります。
コース料理の中でもカジュアルに食事を楽しめる傾向にあるようです。
コースの順番:中華料理
中華料理は、他のコース料理と提供の仕方が少し違います。中華のコース料理の順番についても、簡単に見てみましょう。
①前菜
メイン料理の前に供される盛り合わせ料理。棒棒鶏・クラゲ・ピータンなどがポピュラー。
②湯(たん)
湯(たん)とはスープのこと。卵スープなどは前菜の前に供される場合もあるが、フカヒレやツバメの巣といった高級食材のスープはこのタイミングで味わう。
③主菜
中華料理のメインディッシュで、魚・肉・野菜料理が5品ほど供される。メニューは餃子や酢豚、海老チリなど。
④主食
中華料理の主食として、ご飯・麺類が供される。チャーハンや焼きそば、刀削麺など。
⑤点心
点心とはデザートのこと。杏仁豆腐やライチといった甘い物の他に、春巻きや水餃子などの軽食が出ることも。
基本、5種類の料理で構成されています。
中華料理では中国茶が供されることが一般的。緑茶・紅茶・白茶・黒茶・黄茶・青茶・花茶というように多彩で、さまざまな味が楽しめます。
また、席は円卓テーブルの場合が大半です。日本と同じように上座・下座があるため、目上の方がいるときは必ず上座に座ってもらいましょう。入口から一番遠い席が上座、近い席は下座です。
コースの順番:和食
和食には、懐石料理(お茶をたしなむためのコース)と会席料理(お酒をたしなむためのコース)があります。
近年は、同じ意味で使われるケースも見られますが、正式なコースの内容は異なることを覚えておきましょう。以下は、会席料理をベースとした一般的な和食コースの順番です。
①先付け・小鉢
お通し・突き出しにあたる料理。店の創意工夫が表れる。
②前菜
空腹をしのぎ、酔いが早く回ることを防ぐための料理。少量の赤飯やうどん・そばなどが多い。
③碗もの
次の料理に向けて口の中をリセットするための吸い物。店の出汁や味付けの基本を伝える意味も持つ。
④向付(むこうづけ)
もともとは懐石料理の用語だが、現代では「刺身」のことを指す。ただ魚を切っただけでなく、隠し包丁を入れて醤油を染みやすくしたり、昆布で締めて旨味を引き出したりと、店の工夫が凝らされている。
⑤煮物
旬の野菜を使った炊き合わせ。各素材のおいしさを最大限に引き出すために、別々に煮ることが特徴。
⑥焼き物
旬の魚を焼いたものが多いが、店の趣向によっては肉が供されることも。盛付けを華やかにすることがしきたりで、野菜の飾り切りなど、目で見て楽しむ要素もある。
⑦強肴(しいざかな)
強肴は読んで字のごとく「強いてすすめる肴」という意味が込められた一皿。「預け鉢」「進め鉢」とも呼ばれる。
揚げ物や和え物が供されることが多い。コースに「煮物」が入っていない場合は、ここで煮物が提供されることも。
⑧ご飯・香の物(こうのもの)・留め椀(とめわん)
コースを締める料理。ご飯は炊き込みご飯や小ぶりの丼などが供される。香の物は漬物、留め椀は赤だしや味噌汁のこと。
⑨水菓子・甘味
最後に供されるのは、口の中をさっぱりとさせるデザート。水菓子は果物、甘味はアイスクリームやシャーベットが出ることもある。お茶を楽しむ懐石料理の場合は、抹茶と和菓子が一般的。
和食のコースは、繊細な味わいの料理が中心です。熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに味わいましょう。
お皿の扱い方や料理の食べ方のマナーが多い上に、所作の丁寧さ・しなやかさも重要です。初めから完璧にはできなくても、作法を意識することで周囲に上品な印象を与えられるでしょう。
コース料理の順番を学んで食事を楽しもう!
以上、コース料理の順番について解説しました。高級レストラン・ホテルでコース料理をたしなむ際は、テーブルマナーをきちんと守った上で楽しんでくださいね。
また、スタッフの方であれば、コース料理の順番・マナーを理解しておくだけでも、スムーズに業務をこなせるようになるはずです。