【成功事例あり】集客を叶えるインバウンド戦略の考え方

2018年、訪日外国人観光客は3000万人を突破しました。日本政府はこの勢いのまま、ますますインバウンド客を取り込みたい考えです。とはいえ、今後さらなるインバウンド誘致を進め、成功させるためには緻密な戦略が必要になってきます。国レベルから一企業単位まで、インバウンド戦略の具体的な内容や成功事例を見ていきながら、これから自社で何ができるかを考えてみましょう。

日本が進めるインバウンド戦略

日本

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2002年、国土交通省は観光立国・日本を目指して「グローバル観光戦略」を策定し、4つのインバウンド向け戦略を打ち出しました。

【4つのインバウンド戦略】

  • ・外国人旅行者訪日促進戦略……海外重点市場のニーズに応じた旅行商品の開発、販売など
  • ・外国人旅行者受入れ戦略……利便性の向上など、インバウンド客にとって過ごしやすく、魅力ある空間の整備
  • ・観光産業高度化戦略……外国人旅行者向けツアーの企画・開発や、企業間連携の強化など
  • ・推進戦略……官民連携でインバウンド誘致を推進する仕組みづくりなど

出典:国土交通省「グローバル観光戦略」

これらの戦略を進めてきた結果、策定当時に約500万人だった訪日外国人観光客は、15年間で約6倍に増加しました。こうした国の戦略を踏まえ、企業や店舗単位でできるインバウンド戦略とは何か。具体的に考えてみましょう。

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インフラ整備だけじゃ足りない!インバウンド戦略

地図を持つ人

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インバウンド対策といえば、多言語マップの設置や無料Wi-Fi整備、インフラ整備、ネイティブスピーカーの雇用、キャッシュレス化の推進などが代表的です。

もちろんこれらは大切なインバウンド対策の一つであり、国も補助金を出すなどして積極的に推進しています。しかし4つのインバウンド戦略に当てはめた場合、これらは2つめの「外国人旅行者受入れ戦略」に該当するもので、戦略の一部に過ぎません。

どんなに便利になって受け入れ態勢が万全でも、外国人がそこを知らなければ集客はできませんし、魅力がなければ「また来よう」「周りの人にもおすすめしよう」とは思ってもらえませんよね。

そこをクリアするには、

  1. 外国人が訪れたい国、地域であること
  2. 実際に訪れてみて魅力を感じられる場所であること
  3. ストレスなく安心して過ごせる場所であること

この3つがバランスよく揃っていなければなりません。

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具体的なインバウンド戦略

戦略を立てるビジネスマン

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上で挙げた3つの戦略について、詳しく見ていきましょう。

インバウンド戦略1:訪れたい場所

来てもらうためには、まず知ってもらうことです。見たことも聞いたこともない場所に行ってみたいと思えるはずがありませんよね。

これには、情報発信がカギを握ります。誰でもスマホを手にするようになった現代、多くの外国人がSNSや口コミサイトを参考に旅行のプランを立てています。外国語のハッシュタグをつけて発信する、口コミに丁寧に返信するなど、多くの人の目に留まるよう工夫しましょう。

インバウンド戦略2:魅力ある場所

インバウンドの傾向は「爆買い」などに代表されるモノ消費から、「体験」に価値を見出すコト消費へと移ってきています。これにより、東京や大阪など大都市でない地域でもインバウンド誘致を進めるチャンスが増えているのです。

たとえばその地域に昔からあるお祭りや、伝統工芸品を見たり触ったり作ったりできるアクティビティなど、地元の人にとっては日常でも外国人にとっては魅力的なポイントが意外と眠っているもの。そうした魅力を再発見しブラッシュアップすることも、インバウンド戦略の1つです。

また最近では、夜間の楽しみ方を創出・拡充させる「ナイトタイムエコノミー」が注目されています。都市部と比べて地方では、「終電が早い」「店が早く閉まる」など夜間の楽しみが少ないと指摘されているため、新しい魅力を作り出すのも効果的です。

出典:国土交通省「ナイトタイムエコノミー推進に向けたナレッジ集」

インバウンド戦略3:安心して過ごせる場所

多言語マップの設置、インフラの整備、キャッシュレス化の推進などについてはここに該当します。いずれも外国人が不便なく、安心して過ごせる環境づくりを進める戦略です。

「せっかく良いところなのに不便すぎる」という理由から集客できないのはもったいないこと。この点については国や自治体から補助金が出る場合もあるので、できる範囲で積極的に導入していきましょう。

インバウンド戦略の成功事例

免税店イメージ

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独自にインバウンド戦略を打ち出し、成功した事例を紹介します。

岐阜県高山市の事例

高山市では、「外国人旅行者が求めるのはありのままの日本に触れること」という考えに基づき、さまざまな戦略を立ててきました。

地元食材を使った料理体験や田園地帯(里山)のサイクリングといったアクティビティを提供したり、複数のバス事業者連携してツアーを企画したり、現地目線を取り入れた多言語パンフレットを作成したり。

その結果、外国人宿泊者数は2006年からの10年間で4.3倍にまで増加。2018年の外国人宿泊者数は55万人を超え、5年連続で過去最高を記録しています。

出典:

岐阜県高山市「高山市におけるインバウンドの取り組み」

高山市海外戦略課「平成30年 高山市外国人観光客宿泊統計」

ドラッグストアの事例

中国人の「爆買い」で人気のお店といえばドラッグストアが挙げられます。中でも、早い時期からインバウンド戦略を進めた某ドラッグストアは外国人観光客の取り込みに成功し、売上を伸ばしました。

具体的には、中国利用者の多いデビットカードでの支払いに対応、免税対応店の設置、店内無料Wi-Fiの整備など。外国人観光客のニーズを的確に汲み取り、企業努力によって成果につなげた事例の1つです。

インバウンド戦略の肝は「想像力」

外国人観光客

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訪日外国人観光客を増やすためのインバウンド戦略とひと口に言っても、具体的な内容は多岐にわたります。よく指摘される「インフラ整備」「キャッシュレス化の推進」といったものは戦略の一部に過ぎず、実際にはもっと俯瞰して考える必要があるのです。

どんな戦略を取るにしても、大切なのは「相手の気持ちになって考える」こと。実際に日本を訪れた外国人がどう感じるか、またまだ日本に来たことのない外国人にどう興味を持ってもらうか。想像力を働かせ、それを戦略として落とし込むことが、今後よりインバウンドを誘致するために必要だと言えるでしょう。

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